後遺症は“もぐらたたき” 

医療関係者などおよそ900人が参加して開かれた、東京iCDCの新型コロナウイルス後遺症セミナー。 その中で、後遺症外来で知られる「ヒラハタクリニック」の平畑光一院長は、後遺症について、倦怠感、気分の落ち込み、思考力の低下など14の症状を挙げた。そして「いろんな症状が出たり消えたりするので“もぐらたたき”と呼ばれています」と付け加えた。

また、実際に確認された”後遺症”として、●入浴すると1日寝込む ●1時間の散歩の翌日から3日間、ほぼ寝たきりになった ●ドライヤーを持っていられない ●体のあちこちが痛むのに検査で異常が出ない ●3メートルを小走りしただけで1週間足が痛む、などを紹介。

後遺症として、倦怠感、気分の落ち込みなど14の症状が挙げられている(画像はイメージ)
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さらに、近所への買い物といった「軽い作業」、パートナーとのケンカなどによる「ストレス」にも注意が必要とのこと。その直後は「無症状」だったにもかかわらず、5時間~18時間後に「急激にだるくなる」こともあるという。 

「散歩ぐらい」でもダメ

セミナーで、平畑院長は「生活療法が一番大切だが、一番間違えられやすい」と警鐘を鳴らした。 「散歩ぐらい、大丈夫だろう」、そう思って出歩くと、「簡単に寝たきりの方向に行ってしまう」人も少なくないそうだ。

患者によって、運動、頭脳労働、ストレスの”許容範囲”は異なるという。それを超えると、数日間寝込んでしまう人もいる訳だが、どこまでが許容範囲かは、本人しか分からない。

平畑院長は「生活療法が一番大切だが、一番間違えられやすい」と訴える。

そのため、患者に対しては、「だるくなることをしない」「疲れることをしない」と何度も念を押し、「『動くな』ではなく、「動ける範囲、疲れない範囲で」と説明するという。これらの注意点は、WHOのリハビリ用資料にも記載されているそうだ。

7割が仕事に影響 自殺者も

平畑院長が、およそ3000人の患者を対象に調べたところ、およそ200人が職を失い、およそ1000人が休職を余儀なくされ、休みながら働いてる人も含めると、患者の70%弱に、仕事上の影響が出ているという。平畑院長は、「生活の糧を奪われるそういう疾患なんだということを知っていただきたい」と訴えた。 

また、2年半前に、コロナ後遺症と診断された60代の女性が、自ら命を絶ったことも明らかにされた。倦怠感、筋力の低下、気分の落ち込みなどの症状が見られた女性は、周囲の理解を得られないことに苦しんでいたという。  

「日本にしかない」後遺症治療とは 

一方で、平畑院長が、後遺症治療として「効果が絶大」と太鼓判を押すのが、上咽頭擦過療法(EAT=Bスポット療法)だ。鼻の一番奥、喉との境目の、いわゆる「上咽頭」の炎症を治療する方法で、炎症部分に塩化亜鉛を擦りつけるというもの。

この治療法は、日本では50年以上前から、取り入れられているとのこと。コロナ後遺症では、上咽頭に炎症を起こしているケースが、かなりの頻度で見られるため、この治療法が有効とされている。

平畑院長によると、メリットは、保険適用で「治療費が安い」「日本にしかない」。デメリットは、患者にとっては「痛い」、医師にとっては飛沫を浴びるリスクが高い治療なのに「診療報酬が安い」とのこと。

感染者の急増で後遺症患者が増える恐れがある中、感染した人も、感染していない人も、後遺症への理解を深めるべき時なのではないか。 

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)

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政治部、外信部(=国際ニュース)、経済部を経て、社会部都庁担当、解説委員。取材部の全部署で記者として取材、番組ではディレクター、プログラムディレクター、アシスタントプロデューサーとして制作に当たりました。北朝鮮でキムヘギョンさん単独取材、AIJ年金消失事件取材、TPP取材、女性初の都知事誕生、など多くの歴史的現場に立ち会えた事は本当にありがたいと思っています。