安倍元首相が銃撃され殺害された事件で、容疑者の供述から宗教団体への恨みが動機の一つだったことが明らかになっている。悪質な宗教団体に潜む危険について専門家に話を聞いた。

安倍元首相の銃撃事件で注目された“旧統一教会”

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
今回の問題は全国的なニュースとして大きく取り上げられているが、同じように苦しんでいる人たちは私の街にもいる。それは誇張ではない

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7月8日、奈良県で街頭演説をしていた安倍元首相が銃撃され殺害された事件。

山上徹也容疑者は、母親に1億円以上の献金をさせ、家庭を崩壊させたとする宗教団体に恨みを持ち、今回の凶行に及んだとみられている。その宗教団体というのが、世界平和統一家庭連合。いわゆる旧統一教会である。

送検される山上徹也容疑者
送検される山上徹也容疑者

世界平和統一家庭連合(旧統一教会) 田中富広会長:
献金の額それぞれは、ご本人の心情に基づいて献金されていると受け止めています。破産されているということをこちらが知っていた立場で、さらにそこに献金を願う、あるいは要求することはありません

このように弁明した旧統一教会の田中富広会長。

「ご本人の心情に基づいて献金されている」と述べた
「ご本人の心情に基づいて献金されている」と述べた

宗教名を隠して勧誘 気づいた時には…

一方で、社会心理学に詳しい新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は、新潟県内でも宗教名などを隠して勧誘する悪質な宗教団体が存在すると指摘する。

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
一般の大学のサークルを名乗って、例えば花を植えるなどSDGsや環境のためにという活動をしているが、そこにやってきた人たちに布教活動をしている。通常のまともな団体であれば、きちんと名乗ると思う。「○○の者ですが、今度こういうイベントを開くので、ぜひお越しになりませんか」というのが通常であって、自分たちの名前を隠して近づいてくるというのは、本来であればその段階で怪しい

そして、だます際に使われるのがマインドコントロール。

マインドコントロールによって信者をだます
マインドコントロールによって信者をだます

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
マインドコントロールの特徴の1つは、自分がコントロールされているとは分からない

マインドコントロールをする方法は4つ。(1)他の情報を遮断する(2)恐怖や不安といった感情をあおる(3)行動を制限(4)思想を植え付け、最終的にはいつの間にか生活、そして人生がコントロールされているという。

マインドコントロールに至る4つの支配
マインドコントロールに至る4つの支配

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
周りから見ると、短時間に人がすっかり変わってしまったと感じると思う。今まで普通の人だったのに、1カ月経ったらすっかり変わっていて、その宗教に関して話すときには目が血走っているとか。そういう様子を見て、通常の説得といったものではないだろう、というところからマインドコントロールの理論ができてきた

全ての宗教が悪ではない 悪質な団体もあると認識を

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
まず申し上げたいのは、宗教が全部悪いわけではない。私たちの周りにも宗教があって、それぞれの色んなものを信じている。それは悪くないが、その中にまれに悪徳宗教やカルト宗教と言われるものがあるのだということをまず知る事が必要

また、山上容疑者のように家族などの多額の献金で苦しむ人たちが多くいるとみられている。

多額の献金で苦しむ人は多いという
多額の献金で苦しむ人は多いという

新潟青稜大学大学院 臨床心理学研究科 碓井真史教授:
先生や親戚・近所の人、確かに親の宗教は否定できないが、悩んでいる子どもを何とか助けてあげられないだろうかと、少なくとも「私は君の話を聞くよ」という人が1人でもいてくれたら、今回の悲劇はもしかしたら起きなかったかもしれない

(NST新潟総合テレビ)