原材料費や原油価格の高騰によって、様々な商品が値上げされている。帝国データバンクによると、7月に値上げされた商品は約1600品目。家計が大変なのはもちろんだが、学校給食にも影響が出ているという。
給食で「栄養を担保」特に家庭でとりにくい栄養素を
そもそも学校給食の役割とはどういったものなのか。栄養学が専門の北陸学院大学・新澤祥恵（にいざわ・さちえ）教授に聞いた。
北陸学院大学・新澤祥恵 教授：
給食の役割で一番重要なのは「栄養を担保すること」。一日に必要な量の約3分の1を担保するようにしています。栄養素の中でも、「家庭でとりにくいもの」、例えば、カルシウムや鉄は給食で多めにとれるようにしています
北陸学院大学の村井万寿夫教授は次のように補足する。
北陸学院大学・村井万寿夫 教授：
こちらは文科省が出している「学校給食摂取基準」で定められた「給食で摂取すべき栄養素」の基準です。
北陸学院大学 村井万寿夫教授：
カルシウムは一日に必要な量の50％、鉄分やマグネシウム、各種ビタミンは40％などとなっています。家庭の食事で摂取量が少ない栄養素を給食で補い、子供達の健やかな成長に役立てようというわけです
材料高騰で苦心の学校現場 子供たちのために知恵をしぼる栄養教諭たち
そんな中で相次ぐ、原材料の値上げ。現場の栄養教諭も、日々、苦労しているという。金沢市立大徳小学校の栄養教諭・田中靖枝（たなか・やすえ）先生に話を聞いた。
金沢市立大徳小学校・田中靖枝 栄養教諭：
子供たちの大好きなカレーライスを作るには、タマネギとかニンジンとか、ジャガイモとか必要なんですけど、春にタマネギが高くなって、ちょっと難しかったです
金沢市の給食は、市の統一献立が決められている。学校内に給食室を持つ小学校でも、メニューや原材料を勝手に変えてはいけない決まりがあるという。しかし、小学校の給食費は、一食当たり250円だ。
原材料費高騰の中、この予算内に納めなければいけない。そこで、学校では…
金沢市立大徳小学校・田中靖枝 栄養教諭：
栄養価に影響がないように、価格のちょっと高いものから価格が安定している野菜に少しだけ使用量を置き換えるという「分量のやり取り」をしながら頑張っているところです
ちなみに、取材した日の献立はホイコーロー。工夫したのは…
金沢市立大徳小学校・田中靖枝 栄養教諭：
ホイコーローに入っている黄色のピーマンと緑色のピーマンが少し高かったので、価格が安定していたニンジンの量を増やしました。
金沢市立大徳小学校・田中靖枝 栄養教諭：
栄養価と予算のバランス、栄養士さんは毎日計算機とにらめっこしながら、子供たちにとってベストの方法を考えています
この日の献立は、子供たちの評判も上々だったようです。
児童：
全体的に栄養のバランスもとれてそうで、美味しかった！
Q.給食の時間はどうですか？
楽しい！
金沢市立大徳小学校・田中靖枝 栄養教諭：
調理員さんも一生懸命、子供たちのために美味しい給食を作ろうと頑張っています。それが子供たちに伝わると嬉しいです
また、田中先生は、今後は食用油の高騰により「揚げ物」を「蒸し物」や「焼き物」に変更するケースが増えるかもしれないと話していた。
北陸学院大学・村井万寿夫 教授：
県内では、原材料費の上昇分を国の交付金を使って補助したり、食材の工夫をしたりして、現時点では保護者の給食費負担を増やす自治体はありません。ちなみに小松市では、4月から中学校の給食費が無償化され、穴水町は9月から小中学校の給食費を無償化、輪島市でも9月から中学校の給食費が無償化されます。
北陸学院大学・村井万寿夫教 授：
子供たちの健康を守るために頑張る栄養教諭さん達のためにも、今後は自治体のバックアップも非常に重要になってきますね
（石川テレビ）
