サツマイモ卸業者の倒産や大手酒造メーカーの値上げなど、「サツマイモ基腐病」の影響は宮崎県内でも広がり始めている。
中でも南那珂地域のブランド甘藷「宮崎紅」は、ここ数年 深刻な被害を受けていて、それを原料としている酒蔵にも影響が及んでいる。

芋が腐る病気まん延で酒蔵にも影響

「サツマイモ基腐病」はカビの一種が原因で、芋が腐る病気。2018年に県内で初めて確認されて以来、今もまだ抜本的な解決策は見つかっていない。

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宮崎県のブランド甘藷「宮崎紅」もこの病気の影響を大きく受けていて、その中心産地となっている南那珂地域では2021年、栽培面積の50%が被害を受けた。

「宮崎紅」を使用した加工品の製造業でも深刻な問題となっている。

長谷川晋太郎記者:
宮崎紅を使用して焼酎を製造している日南市の酒蔵も、その影響を大きく受けています

日南市飫肥に酒蔵を構える小玉醸造の代表的な銘柄「杜氏潤平」は、開発当初から原料に「宮崎紅」を使っている。その仕入れが厳しい状況となり、思うように焼酎が造れなくなった。

小玉醸造・工藤洋愼蔵長:
自分たちがお願いした量が入ってこない、計画通りに原料が手配できなくなったというのが最初ですね

影響を受け始めたのは3年前。「宮崎紅」の仕入れが前の年の半分ほどになった。造れる焼酎もどんどん減り、20基ほどある貯蔵タンクは空きが目立つようになった。

小玉醸造・工藤洋愼蔵長:
このタンクは空いている段階ですよね。こちらも空いてますし、こちらも空いてますし…ここまでこの時期で空くっていうのは、僕たちからすればもっと作りたいのが本音ですよね

この状況を受け、9月中旬に始めていた焼酎の仕込みを、病気が流行り始める8月中旬より前の時期に収穫された芋で仕込むなど、工夫を凝らしている。
また、代表銘柄「杜氏潤平」を守るため、これまで「宮崎紅」を使用して造ってきた期間限定品は原料を別の品種や米に切り替えている。

「文化継承して次の世代につなげる」

それでもやはり、「宮崎紅」を使うことへのこだわりは強く、この先行きが見えない状況に葛藤の日々が続いている。

小玉醸造・工藤洋愼蔵長:
「宮崎紅」でいきたいというのが本音ですが、今後十分に確保できないということになれば、(他の品種の)紅系のお芋で転換をしていかないといけなくなるということは、常に頭の中には入っています

小玉醸造・工藤洋愼蔵長:
焼酎つくりの文化を継承して、次の世代につながないといけないという使命もあるので、その中で生き残るためには、自分たちができることを精一杯工夫して、そのためにどれができるかを常に模索したいと思います

宮崎が誇るブランド甘藷と共に歩んできた焼酎。甘藷農家同様、酒蔵も一刻も早いサツマイモ基腐病の収束を願っている。

(テレビ宮崎)

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