――どのような方法で「お嬢サバ」を養殖する?
地下海水や海水を汲み上げて陸上で養殖する“かけ流し方式”と、海から離れた場所で人工的に海水を作って陸上で養殖する“閉鎖循環式”の2種類で陸上養殖をしています。

「陸上養殖」だとアニサキスが入らない理由
――「陸上養殖」で養殖したサバの体内にアニサキスが入らないのはなぜ?
ポイントは“地下海水”を使った「陸上養殖」です。アニサキスは、クジラやイルカの糞尿から海に排出された卵をオキアミが食べ、体内で幼虫が成長し、そのオキアミをサバが食べるため、寄生されます。
地下海水の場合、地下の砂礫(=砂や小石)で、ろ過された海水や岩盤にしみ込んだ海水を汲み上げるため、卵やオキアミが自然に、ろ過されるというわけです。また、人工的に海水を作る場合は、そもそも真水から海水を作りますので、こちらもアニサキスが入る隙がないのです。
JR西日本は、さらに安全性を高めるため、「お嬢サバ」の稚魚は完全養殖の稚魚を使っているほか、アニサキスが寄生する可能性のある、生き餌(=餌に使う生きたままの虫や魚など)ではない、餌を与えています。
――刺身で食べても、アニサキス食中毒の心配は全くないということ?
地下海水や人工海水を使っていますから、心配はございません。念には念を入れるため、出荷にあたって、アニサキスの有無に関する個体検査を実施しています。もちろん、これまでアニサキスが出たことは一度もありません。

――天然のサバや「陸上養殖」以外の方法で養殖したサバと比べて、味や食感に違いはある?
青魚特有の臭みが少なくて食べやすく、脂が甘いと言われています。また、身の色も綺麗と驚かれます。これは、綺麗な海水と管理した餌を使っているためです。
天然ではアニサキスが寄生しやすいため食べられない、白子や真子、肝まで食べられるのは「お嬢サバ」ならでは、です。
――現在は何か所の施設で、年間、どのぐらいの数の「お嬢サバ」を養殖している?
現在は3カ所です。2021年度までは年間1万5000尾程度、2022年度は年間3万尾程度の計画です。

――「お嬢サバ」は、どこで販売している?
関西・関東を中心とした都市部の飲食店(グルメ回転寿司や和食店)や小売店(高級スーパー、百貨店やショッピングセンターの鮮魚売場、JR西日本直営のPROFISH京都駅店)のほか、地元・鳥取県の飲食店(和食店)や宿泊施設(旅館やホテル)、観光施設に併設するレストランなどです。
――年間どのぐらい売れている?
2021年度までは年間1万5000尾程度、養殖し、全て売り切っています。
――アニサキス食中毒の注目が高まったことは、売り上げに影響している?
問い合わせは多くなっていますし、売り上げにも影響しています。影響した、売り上げの金額がはっきりするのはこれからですが、感覚では今のところ、前年に比べて1.5倍~2倍程度というところです。