福井市内の海水浴場周辺に、2022年2月ごろから1頭の野生のイルカが住み着いている。その愛らしい姿は口コミで広がり、イルカと触れ合おうと県内外から人が訪れている。
その一方で、海水浴場の運営者や地元漁師は「早くどこかに行ってほしい」と本音を話す。取材を進めると「かわいい」だけでは済まないイルカの危険性が明らかになってきた。

海開きの準備を始める海水浴場…しかし海には一頭のイルカが

福井市にある鷹巣(たかす)海水浴場では、7月8日の海開きに向けて、浜茶屋の建設が進んでいる。この海に度々現れるのが、1頭の野生イルカだ。海に入る人たちに人懐っこく近づき、人間を怖がる様子は全くない。

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5月には、イルカが魚を狩りをする貴重な瞬間も捉えられ、狩りの瞬間を見ていた子どもは「体に傷があって、野生のイルカってとてもすごいと思った」と話す。

野生イルカの目撃情報は、福井市から越前町の沖合まで広く確認されている。イルカは本来、群れで行動する習性があるが、2022年2月ごろから、1頭だけでこの近海に現れるようになった。

愛らしい姿で人気を集めるイルカだが、実は地元の一部では、悩みの種になっている。

「みんなが思っているほど優しく、かわいいものではない」

海水浴場を管理する鷹巣観光協会・小玉征子会長:
今、鷹巣に居座っているみたい。鷹巣だから、鷹ちゃん(と呼ぶ人もいる)。あんまりうれしくはない。早くどこかに行ってほしい

その理由は、イルカが人に危害を加えるおそれがあるからだ。

専門家は、イルカの尾びれではたかれると骨折する可能性を指摘する。また鋭い歯でかまれたり、海中に引きずり込まれたりすることもあるという。

地元の漁師:
もし何かあったとき、海水浴場のマイナスイメージにつながる。漁師の言葉でいうと“邪魔”だな

けがを避けるための対策としては、1.イルカが現れたら泳がない 2.近くにいたら触れない 3.エサをやらない、が挙げられる。

海水浴場を管理する鷹巣観光協会・小玉征子 会長:
みんなが思っているほど優しく、かわいいものではない。厳しくて危険な動物だと認識した方がいい

地元がイルカ対策… 愛らしい姿なだけに苦渋の決断

このままでは海開きができないとの懸念が広がり、地元はイルカを追い出すための対策に乗り出した。漁師が船に乗り込み、海岸から50メートルほど離れた場所まで来ると…、

取り出したのは、筒型の金属の棒。イルカを追い出すのに有効だという。

地元の漁師:
海につけてハンマーで叩く。この音は、イルカが嫌がる音。毎日やればイルカが寄ってこない

長さ1メートルの金属の棒を沈め、ハンマーで叩いて海中に音を響かせるという撃退策。音に敏感なイルカの弱点をつく狙いだ。これを、海水浴シーズン中は、少なくとも1日1回行うという。

愛らしい姿が評判となっているだけに、今回の対応は苦渋の決断だという。

海水浴場を管理する鷹巣観光協会・小玉征子 会長:
今のところ全然事故はない。安心はしているが、これから海水浴の客が来るとどうか…

(福井テレビ)

記事 352 福井テレビ

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