自民党の高市政調会長は12日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演し、2022年度の当初予算で約5兆4000億円の防衛費について、「必要なものを積み上げれば10兆円規模になる」との見通しを述べた。ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、政府は防衛費を増額する方針を決めている。

高市氏は、日本を取り巻く安全保障環境について「中国、ロシア、北朝鮮はいずれも核保有国」と指摘。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、「最前線に国土を構えているという状況の中で、防衛力の強化が重要ということを思い知った」と述べた。
日本の防衛費をめぐり、政府は対GDP(国内総生産)比2%の数値を示して5年以内の抜本的強化を決めたが、このことについて高市氏は「対外的に日本の強い意思を示すという意味だ」と説明した。その上で高市氏は、当初予算と補正予算あわせて年間6兆円台で推移している防衛費について「必要なものを積み上げていったら10兆円規模にはなっていく」との認識を示した。
高市氏は、具体的な防衛費の積み上げとして、相手への「反撃能力」となる長距離の巡航ミサイル「スタンドオフミサイル」など新たな装備品の取得に加え、宇宙、電磁波、サイバー分野など、いわゆる「新たな防衛領域」での研究開発費が「絶対的に足りていない」と指摘した。
一方、同席した立憲民主党の小川政調会長は、GDP比2%を目標としているNATO(北大西洋条約機構)について、「軍人恩給や海上保安組織の経費込み」だとして、日本の防衛費は「NATO平均とそれほど遜色、見劣りする状況ではない」と述べた。
防衛費を増額する場合の規模については、「他国領土を攻撃するかどうかが大きな分かれ目」として、弾道ミサイル、長距離爆撃機、大型空母などを配備すれば、「5兆円、10兆円では利かなくなる」と指摘した。
