いつ、どこでやってくるのかわからない“もしもの時”。そんな災害時に欠かせない「防災備品」は、街中や施設のさまざまなところに、さり気なく設置されている。秋田県内ではどのように設置されているのか、見てみた。

見た目も場所もさまざま… 実は身近な場所にある防災備品たち

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秋田県由利本荘市にある、由利本荘総合防災公園「ナイスアリーナ」。災害発生時には緊急一時避難場所としての役割を果たし、防災備品や非常食などの備蓄品を配備している。

中でも、外に置かれたベンチには、ある仕掛けが。一見普通のベンチに見えるが…

座る部分を取り外すと、炊事用の「かまど」に早変わり。災害発生時には、これで炊き出しができる。また、取り外した座る部分は即席のテーブルや簡易ベンチとして、炊き出し時に使えるようになっている。

ナイスアリーナはこのほか、停電時に3日間電気を供給できる自家用発電装置や、雨水を生活雑排水に活用するためのろ過装置なども整備されている。

災害備品に見えない!景観まで考えられた「燃やせる」塀

続いて、横手市にある「道の駅さんない」を訪れた。駐車場に面した道路沿いには、景観になじんだおしゃれな木の塀が並んでいるが、なんとこれが防災備品だという。

塀は、木片がレンガのように交互に重ねられてできている。長さ20cm~40cmの木片に分解できるようになっているため、災害が発生した際は、たき火や炊事用のまきとして使える。

開発した、木材加工会社「ウッディさんない」の高橋嘉男 専務は、「できればそういった災害事案にならなければ良いが、震災時に大変な事故に遭わないように使ってもらいたい」と話す。

“景観”と“災害時の燃料の備蓄”の2つの役割を担うこの塀は、2022年3月に設置して以降、全国各地から問い合わせが来ているという。

一方、JR秋田駅から直通の官民複合施設「秋田拠点センター アルヴェ」では、エレベーターの片隅に置かれた三角形の箱の中に、防災備品が。特別に中を開けて見せてもらうと、中には4人が1日過ごせるだけの飲料水と非常食、毛布にラジオ、マスクなどが入っていた。

ちなみに、備品を取り出したあとの空になった本体は、簡易トイレとして利用できる。

秋田市民交流プラザ管理室の山田芳久 主査は、「緊急時にエレベーターが停止した際は閉じ込められる可能性があるので、その時は利用してほしい」と話す。

災害の発生時に活躍する防災備品は、何気ないところに存在し、万が一に備えていた。

(秋田テレビ)

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