シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。

今回は小児科の専門医、すずきこどもクリニック院長の鈴木幹啓医師が、乳幼児が主にかかる感染症の1つ「プール熱」について解説。プール熱の予防法や感染症に負けないカラダ作りのポイントなどを解説する。

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プール熱とは?

プール熱というのは、60以上あるアデノウイルスの一部の型によって起こる、目の角結膜がやられ、が出てくる病気です。

1年の中では一番冬の感染が多いです。

「プール熱」というので、夏にプールでうつるのかなと思ったら、実は真夏が一番感染者数が少ない時期です。

インフルエンザのように冬の乾燥した時期にしか存在できないというウイルスではないため、夏でも爆発的に流行する可能性のあるウイルスですが、実際のところ、冬の方が多いです。

感染するのは、ほとんどが幼稚園までの子供です。

小学校は段々少なくなり、大人はほとんどありません。ほとんどが乳幼児で、1歳がピークです。

潜伏期間はだいたい5~7日といわれています。

感染経路は、接触感染といって、ウイルスがいる所を手で触って、口に入れたりとか、目を触るなどして起こります。

あとは、飛沫感染。くしゃみ、咳によって唾液が飛んだり、またエアロゾル感染もするといわれているので、非常に感染力の強いウイルスです。

感染経路はコロナウイルスと全く同じです。

感染力については、コロナウイルスにいろいろな型があるように、アデノウイルスにも感染力の強い型があり、それによって異なってきます。

プール熱の3大症状

プール熱には大きく3つの症状があります。

発熱喉の痛み(咽頭炎)目の充血(結膜炎)です。

アデノウイルス感染症は、病院で「迅速キット」というものですぐ調べられます。

しかし、アデノウイルスというのは、咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすウイルスではありますが、その一部であって、アデノウイルスが検出されたからといって、それがプール熱だとは限りません

多くのお母様方、保育関係者は勘違いされています。目の症状が無い場合は、プール熱とはいいません

咽頭結膜熱なので、この3大症状が一緒になって初めてプール熱と診断されます。臨床症状なので検査キットで診断されるものではありません。

目の症状があって、熱も出て、喉も赤くて、アデノウイルスも検出されたら、プール熱の確定診断となります。

目の症状が無いのに、熱が出て、アデノウイルスが検出されたため「プール熱ですね」と言われるお母さんがいますが、これはプール熱ではありません。

これは単にアデノウイルスによる風邪です。

また、目の充血があっても、発熱も喉の症状も無い場合は、一般的に「流行り目」といわれます。「流行性角結膜炎」といい、これもアデノウイルスで起こりますが、結膜炎の症状だけです。目の涙液からアデノウイルスが検出され、流行性角結膜炎という診断がつきます。

しかし眼科で流行性角結膜炎と診断された後に、発熱、咽頭痛が出たら、咽頭結膜熱(プール熱)に診断名が変わります。臨床症状が揃ってからの診断になるので、アデノウイルス全てがプール熱ではないということを知って頂きたいと思います。

プール熱の対処法

例えば、喉が痛いという子供に「ご飯食べなさい」というのは少し無理があります。

唾を飲み込むだけで痛いという場合は、冷たいものの方が喉を通りやすいです。冷たいジュースやアイスクリーム、ゼリー、プリンなど本人が食べたいというもので水分を摂ってもらうことが一番大事です。

「健康に良いから」とわざわざ食べにくいものを食べさせる必要は無いです。

たかだか1週間程度で、その期間を乗り越えれば通常の食事ができるので、その間は脱水だけを気にして頂ければ良いです。

看病している方が感染しないように、手洗いマスク消毒を徹底すること。そして自分の顔を触らないこと。結膜から感染するので、これがプール熱の名前の由来です。顔を触ると目の角結膜から感染してしまいます。

また、喉の違和感を覚えた時、喉に感染したアデノウイルスの一種から目に感染するわけですが、それは自分がうつしているんです。喉に感染したウイルスを、口を触った手で目を触るので結膜炎が起こる。こうならないように注意が必要です。

予防法と感染症に負けないカラダ作り

プール熱の予防法は、コロナウイルスと全く同じです。

感染力が非常に高いので人との距離を取る、密を避けるということです。密閉空間は換気が悪いのでエアロゾルを吸入する可能性が高くなります。

手の消毒手洗いマスクが基本的な予防対策になります。コロナと同じ接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染で同じ感染経路を示すウイルスなので同じ予防法になります。

コロナウイルスの予防対策をしていれば、自然とアデノウイルスを含めたプール熱の予防をしていることになります。

免疫力を高めるには突発的な対策はありません。

食生活を整えて、腸内細菌叢、腸内フローラともいわれますが、腸内の環境を良くしておくことによって免疫力は高まることがわかっているので良い菌を入れてあげる。そして良い菌が育つような食べ物を食べる。食物繊維、良い乳酸菌酪酸など短鎖脂肪酸という良い菌に対する栄養源を摂ることが大事です。

記事 1 鈴木幹啓

日本小児科学会認定日本小児科学会専門医
2001年:自治医科大学卒業
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、公立紀南病院で勤務後
2010年:すずきこどもクリニックを開院

所属学会
日本小児アレルギー学会
日本小児感染症学会
日本小児精神神経学会
日本小児皮膚科学会
日本小児呼吸器学会
日本遠隔診療学会