海外に住む日本人が、最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは、違憲かどうかが争われた裁判で、さきほど上告審判決が言い渡された。最高裁大法廷は、現在の審査制度について「憲法に反する」との判断を示した。
国民審査は、最高裁の裁判官をやめさせるかどうかを決める投票のことで、衆院選に合わせて行われる。海外在住の原告ら5人が、2017年の国民審査で投票できなかったのは、憲法違反などと主張して提訴。一審の東京地裁、二審の東京高裁ともに「違憲」とする判決を言い渡していた。
きょうの判決で、最高裁大法廷は、「国民審査権を制限することは原則として許されない」と述べた。そして、海外に住む日本人が、国民審査に投票するための立法措置が取られていないことについて「やむを得ない事由があるとは到底言えない」と指摘。
その上で、「国民審査法が在外邦人に審査権の行使を全く認めていないことは、公務員の選定と罷免の権利を定めた憲法15条などに反する」と結論づけた。