コロナ禍で旅行が制限される中、キャンピングカーなど車の中に泊まる旅のスタイルが拡大中だ。長野県内にも関連施設が続々とオープン。背景と魅力を取材した。

休日を車中泊で…「良さは手軽さ」

キャンピングカーの隣でバーベキューを楽しむ家族
キャンピングカーの隣でバーベキューを楽しむ家族
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5月7日の夕方。バーベキューを楽しむ家族に、グラスを傾けてくつろぐ夫婦。2組とも隣に止めてあるのはキャンピングカーだ。

神奈川から:
車中泊に参りました。毎月のように、どこか行っていますので

中を見せてもらうと…

ソファーにベッド、テレビやキッチンも備えている。

神奈川から:
シャワールームになっているんで、シャワーも普通の家庭のと一緒。ワンルームみたいなものですよね

RVパーク飯田さるくら(長野県飯田市)
RVパーク飯田さるくら(長野県飯田市)

ここは長野・飯田市にある「RVパーク飯田さるくら」。ホテルやレストランを含む複合施設「風の山」の一部として、2021年にオープンした。
キャンピングカーなどで車中泊ができるスペースが9区画あり、それぞれに水道や電源が整備されている。この日は7区画が利用されていた。

千葉から来た利用者:
(車中泊の良さは)やっぱ手軽さですかね。テントだと準備して片付けして、いろいろ工程があったりして大変

キャンプ場のように、屋外でバーベキューなどが楽しめる一方…

記者リポート:
近くの建物に入ってみますと、バーやレストランも整備されていて、有料で利用することができます

併設の建物にはレストランやバー、入浴施設が整備されている。また、宿泊ができる個室も3部屋備えている。

神奈川から:
こちらでおいしいの食べられますし、お風呂もゆっくりつかれますし。

――こういう施設があると車内泊しやすい?

神奈川から:
しやすいですね、息抜きになる

自身もキャンピングカーを持つ、風の山の青山利之社長。これまでの経験から、「より快適な場所にしよう」とこの施設を考えた。

風の山・青山利之社長:
私もキャンピングカー乗るんですけど、他の所に行ったときに充実した施設が少なかったので、車中泊して快適に、おいしいものが食べられる施設ができたらいいなと思って。(個室は)車中泊される方のご両親だったりとか、友達だったりとか、車に泊まる方以外の幅を広げようということで、宿泊ができるようになっている

コロナ禍に、密を避けられるアウトドアのレジャーが人気だ。テントを張るキャンプはその代表格と言えるが、キャンピングカーの旅を楽しむ人も増えている。

日本RV協会・高橋宣行副会長:
まず一番の理由は、最近 コロナ禍で公共交通機関を使わずに旅行をしたいという人が増えている。プライベート空間が確保されているので、何より快適なんですよね。雨が降っても

キャンピングカーの関連事業者でつくる日本RV協会によると、2021年のキャンピングカーの販売額は635憶4000万円で、過去最高を記録した。

本格的なキャンピングカーでなくとも、今は座席がフラットになる車種が多く、手軽にキャンプができる関連グッズもあり、車中泊人気を後押ししている。

東京都から来た柴野さん一家。密を避けつつ、2人の娘を自由に遊ばせたいと、2020年に中古のキャンピングカーを購入した。

柴野さん:
コロナ禍になって、こういうキャンピングカーがあるっていうのを知って、購入に踏み切った

柴野さんの妻:
テント泊もやってみたいなって気持ちはあるんですけど、車の中で守られている感じはあるので、子どもたちがいるとそこは安心かなと

愛好者の増加を受けて、日本RV協会は快適に車中泊ができる場所を「RVパーク」として認定している。現在、全国に214カ所。約半分が2020年以降にできた。県内には8カ所があり、「RVパーク飯田さるくら」もその一つだ。

風の山・青山利之社長:
(利用者は)昨年度に比べると、キャンピングカーブームもあって増えてきている。飯田市街にも近いので、近隣の観光スポットに出かけて戻ってきてくれればいいなと

電源やシャワーが使える新施設

車中泊人気を反映して、長野市にはこんな施設も。

記者リポート:
こちらの車中泊の施設は、コインランドリーの駐車場の一角に整備されました。予約やチェックイン・チェックアウトの手続きは、すべてスマートフォンで行うことになっています

ステイポート・ナガノ(長野市)
ステイポート・ナガノ(長野市)

長野市中越に4月にオープンした「STAY PORT Nagano(ステイポートナガノ)」。システム開発を手掛ける中野市の「ポルテロ」が、自社で運営するコインランドリーの駐車場に3台分の車中泊スペースを整備した。

ポルテロ・太田慎也さん:
(長野市は)いろいろな観光地がありますが、なかなかキャンピングカーが止められる場所が少ないとも聞いている。コロナ禍なので、僕たちに何ができますかと考えて整備した

予約や支払いはすべて専用のアプリで行う。チェックインの際に端末で認証をすれば、30分150円で電源が利用できる。建物の一角にある「アメニティルーム」で、トイレやシャワーも利用できる仕組みだ。(電源 30分150円 上限24時間3500円、シャワー 30分500円)

ポルテロ・太田慎也さん
ポルテロ・太田慎也さん

ポルテロ・太田慎也さん:
遊休地活用もできますし、大きい駐車場の片隅でもいいですし、少しでも車中泊の方、ワーケーションしたい方が車中泊できる場所を、僕たちの仕組みで手伝えることができればいい

RVパーク飯田さるくら
RVパーク飯田さるくら

夜が更けていくRVパーク。一家でキャンピングカーの旅を楽しむ柴野さんは、その魅力をこう語る。

柴野さん:
時間を節約できる、時間が増えるって感じですかね。土日休みだと、金曜日に出て前乗りして、土曜の朝から遊べるっていうのは、休みが2.5日みたいに増えるかなって思います

ゆったりと過ごす家族との時間。コロナ禍を背景に、車中泊で信州を訪れる人たちは今後、ますます増えそうだ。

(長野放送)

長野放送
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