麻薬の一種・アヘンの原料となる「ケシ」が4月、静岡県で3500株以上も自生しているのが見つかった。見つかった品種は愛知県にゆかりがあるとされている。

身近に「アヘンの原料」が大量繁殖…捜査員“こんなに多いのは初めて”

愛知県豊橋市と隣接する静岡県湖西市で、4月13日、風に揺られる薄紫の花があった。畑の角や道に沿うようにして咲いているその花は、「ケシ」の一種「アツミゲシ」だ。

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一見、どこにでも咲いていそうな花に見えるが、実は麻薬「アヘン」の原料になる。こちらのケシは自生したものだが、栽培することは法律で禁止されているのだ。

禁止されているのは、アツミゲシの「セティゲルム種」のほか、「ソムニフェルム種」などだ。花の色には赤・紫・白などがあり、花びらも八重咲きのものや一重咲きものなど様々だ。

近所に住む男性A:
麻薬のアレになるやつだろ?種がこぼれるもんで、どんどん増えとった

男性B:
こういう形の花を見たのは初めて。鳥がばらまいて生えたのかもわからん

今回見つかった「アツミゲシ」は3500株以上。

ケシは繁殖力が強く、実は、全国各地の公園や歩道などの身近なところで、自生しているのが見つかっている。

近隣の住民から通報を受け、東海北陸厚生局 麻薬取締部の捜査員ら5人が駆け付けた。普段は違法薬物の事件捜査にあたる人たちだ。

麻薬取締部の捜査員:
これがどんどん大きくなっていくと、花の下に、房ができるんです。それをカミソリなんかで切ると、いわゆるアヘンが取れる。アヘンを生成するとモルヒネになる。
これほどパッと見て多いのは、私自身は(経験)ないですね

北アフリカ原産も渥美半島で繁殖し「アツミゲシ」に

アヘンの原料となるアツミゲシ。実は、愛知県と意外な関わりがあった。

愛知県医薬安全課の担当者:
過去に渥美半島でかなり広く自生していたということがあったと聞いておりますので、それからアツミという名前がついたのではないかと思われます

原産は北アフリカだが、半世紀以上前の1964年に愛知県の渥美半島で繁殖が報告されたことから、その名が付いたとされる「アツミゲシ」。強い繁殖力で、本州から九州まで広がっていったとみられている。

街の女性A:
あんまり良くないものなら増えたら困るわね
女性B:
怖いですね。知らずに子供とかが摘んじゃったら、すごい危険ですよね

環境への耐性も強く、名古屋の都市部でも確認されている。愛知県で見つかり、撤去される違法なケシは、年間3万2000本以上にも上る。

ケシでも、植えても良い園芸用のものもあり、オニゲシやポピーは植えても問題ない。

植えていいケシ、悪いケシ…見分け方のポイントは?見つけたらどうする

見分け方のポイントは、葉っぱだ。生え方と、その形を注意して見て欲しい。
違法なケシは、茎を抱きこむように葉っぱが生えている。植えてもいいケシなら、茎を抱き込むような葉っぱはないという。
また、形も、違法なケシの葉っぱはノコギリ状になっていて切れ込みが浅く、植えてもいいケシと比べると一目瞭然だ。

身近なところで自生している可能性があるが、見つけた場合について県の担当者は、「普通の雑草と同じ感じで、抜いて枯れ草として処分していただきたい」と話している。花を触ってしまった場合は雑草を触ったときと同じように、手を洗えば問題ないとのこと。

ただ、自分の所有地でない場合や管理していない場所の場合は、県や最寄りの保健所などに連絡してほしいと説明している。

※写真は愛知県提供

(東海テレビ)

東海テレビ
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