自民党の観光立国調査会は12日、「観光の復興に向けた緊急決議」をまとめ、現在1日最大1万人となっている入国者数の制限撤廃を求めた。
決議では「新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の観光需要は大幅に減少し、観光業は依然として厳しい状況が続いている」と指摘、「多くの国々は、水際対策の大幅緩和に舵を切っており、このまま日本のみ厳しい対策を続ければ、我が国は世界から取り残されかねない」と訴えた。
その上で、次の3点などを求めた。
▼新たなGOTOトラベル事業など、全国の旅行を対象とする観光需要喚起策を早期に開始すること
▼感染状況が落ち着いている国からの小規模管理型の訪日観光ツアーを速やかに開始し、受け入れる地域の関係者の安心安全を確保しながら段階的に訪日観光を拡大するなど、観光開国を早急に進めていくこと
▼空港の検疫体制を見直し、到着時の手続時間を短縮するとともに、入国者数の制限を早急に撤廃すること
政府は現在の入国者数の上限を1日最大1万人としているが、決議文では「ワクチン接種履歴及び出発前検査による陰性検査にも関わらず到着空港での検査が義務付けられており、これが到着時の手続きに極めて長時間を要している。また、空港に広大な検査なスペースを必要とするため、入国者数に制限をかける大きな要因ともなっている」と指摘した。
12日に行われた会合では、出席者から「地域の観光事業者はもう持たない」「感染者数の数字ばかり追いかけていてもしょうがない」などの声が相次いだ。
調査会は決議を、政府の骨太の方針や成長戦略へ盛り込むよう求めていて、近く総理官邸に申し入れを行う予定だ。