クラフトビールで地元を盛り上げる…苦難乗り越え完成した3種 被災経験が挑戦を後押し【愛媛発】
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クラフトビールで地元を盛り上げる…苦難乗り越え完成した3種 被災経験が挑戦を後押し【愛媛発】

近年、人気急上昇中のクラフトビール。愛媛県内でも各地で次々とビール造りが始まっている。
さまざまな困難を乗り越えて、大洲市でビール造りに情熱を注ぐ若き醸造家の挑戦を取材した。

クラフトビールで大洲市を元気に

古い町並みが残る肱南地区にたたずむ、大正時代に建てられたレンガ倉庫。この歴史ある建物を改装し誕生したのが、「カフェ&ビアバー臥龍醸造」。

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店内はレトロな空間が広がり、ゆっくりと流れる時間を感じながら楽しめるのがクラフトビール。
臥龍醸造の魅力は、使う材料や作り方にこだわった個性豊かなできたてのビールが飲めること。

ビールを飲んだ人:
うん、飲みやすい

すっきりとした口当たりと、香りや苦みのバランスが絶妙な「ペールエール」。臥龍醸造で初めてできたクラフトビール。

地元企業が街を盛り上げようと乗り出した、南予地域で初となるクラフトビール工房。店の一角でビール作りを手がけるのが、大洲市出身の田中滉己さん(27)と窪田澪さん(24)。

臥龍醸造・田中滉己さん:
やろうと思えば、どんなスタイルのビールでも作れますし、そういった意味では可能性は無限大にあるような飲み物なのかなと思います

臥龍醸造・窪田澪さん:
やりがいのある面白い仕事だと思います

この店では料理人として厨房を取り仕切りながら、ビール造りの責任者も務める田中さん。大阪の日本料理店で働いていたが、全く畑違いのビール造りをすることになったわけとは…

臥龍醸造・田中滉己さん:
水害があったちょっと後に、オトンが網膜剥離になったりとか、ちょっとそういうのがいろいろ重なったりもあったんで…ちょっともったいない気もしましたけど、帰ってこようって思って

きっかけは、4年前の西日本豪雨災害だった。田中さんの生まれ育った家は2階まで浸水し、取り壊された。この被災した経験が、クラフトビールへの挑戦を後押ししたという。

臥龍醸造・田中滉己さん:
乗り越えたじゃないですけど…自分の中では力にはなっていますよね。こういうことがあったけど、でも、みんな頑張ってるんですっていうところを僕自身も見せたいですし、地元を盛り上げられるようなことが何かできたらいいのかなっていうのはありますね

準備期間を経て、プロジェクトが本格的に動き出したのは2021年。田中さんたちは東京の醸造所でビール造りを学んで、準備万端。

臥龍醸造・窪田澪さん:
ビール醸造が始まってからは、僕のこだわりをビールの味に出していきたいと思ってます

臥龍醸造・田中滉己さん:
こんだけお店の雰囲気もいいように作ってもらいよるんで、それに負けんようにちゃんとやらんといかんなあって感じで

一日でも早いオープンを目指して、期待に胸を膨らませる田中さんたちだったが、新型コロナが何度も猛威をふるい、中国に発注していたビールを作るためのタンクも届かない。

念願のビール造りは予定より大きく遅れて、2022年3月になってからだった。

初めてのビール造りに四苦八苦

ようやく自分たちの手でビールを造る日がやってきた。ビール造りを学んでから実に1年、醸造所には張り詰めた空気が漂っていた。

臥龍醸造・窪田澪さん:
1人だと抜けるところもあると思うので、その辺を僕がサポートしつつ

臥龍醸造・田中滉己さん:
不安がすごくてすごくて、ミスったらどうしようってのもありますし、本当にうまくできるんかなあって

午前10時、2人にとって初めてのビール造りが始まった。
砕いた麦からビールの元となる「麦汁」を作る。わずかな温度変化でもビールの品質に影響があるため、どの工程も気を抜くことができない。

ちょっとしたトラブルをいくつも乗り越えながら、作業を続けること4時間。いよいよ最後の工程に入ろうとした時だった。麦汁を発酵タンクに移すためのポンプが突然動かなくなった。原因がわからず、時間だけが無常に過ぎていく…。

その後、いろいろと調べるうちに、「エマージェンシースイッチ」に手が当たってしまい電源が全て落ちていたことがわかった。何とかトラブルを乗り切った2人。ひと息つくことができたのは午後4時半すぎだった。

仕込みから25日後、ついに初めてのビールが完成。

臥龍醸造・田中滉己さん:
うまい!うまい!

その後も2人はビール造りを続けて、ゴールデンウイークまでに目標としていた3種類のビールを完成させた。

「ペールエール」に続いて作ったのは、苦みを抑えてフルーティで優しい味わいに仕上げた「ベルジャンホワイト」。

そして、ホップの香りと苦みを利かせつつ、ほんのり甘くまろやかな「IPA」。

それぞれスタイルもテイストも違う、クラフトビールならではのビールができた。
ゴールデンウイーク最初の土曜日となった4月30日。臥龍醸造は多くの観光客でにぎわった。

ビールを飲んだ人:
おいしいです

ビールを飲んだ人:
飲みやすい。すごいフルーツの味がする。ジュースみたいに飲める

ビールを飲んだ人:
スルッと全部、飲み比べもあっという間に飲んでしまって、とてもおいしかったです

さまざまな困難を乗り越えて、若き醸造家2人が生み出した渾身のビール。そして、料理人でもある田中さんがビールに合わせて考案したのは、イベリコ豚の厚切りベーコンとハーブチーズを使ったカンパーニュサンド。

臥龍醸造・窪田澪さん:
自分でもまあまあおいしいのはできたなと思ったので、お客さんにもそういってもらえるとうれしいです。楽しみながら、せいいっぱいやっていきます

臥龍醸造・田中滉己さん:
ビール醸造に関しては、これから自分たちの色を出していくのがとても大事になってきますし、僕は料理人なので、それに合う料理をどんどん試していきながら。来ていただくお客さんにすごく喜んでもらえるような、そういう空間を提供できたらなと思います

クラフトビールで、大洲を元気に。紆余曲折を経て、若き醸造家が醸し出す新たな挑戦が始まった。

(テレビ愛媛)

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