登山シーズン到来…風光明媚な“活火山”レベル1でも噴火の可能性 「正しく恐れ正しく備える」“防災マイスター”の教え【福島発】
常識が通用しない…いま備える防災

登山シーズン到来…風光明媚な“活火山”レベル1でも噴火の可能性 「正しく恐れ正しく備える」“防災マイスター”の教え【福島発】

各地で山開きも行われ、登山シーズンを迎えている。このタイミングで理解を深めておきたいのが、活火山についてだ。噴火への備えなど、専門家に話を聞いた。

登山シーズンだからこそ知っておきたい「活火山」への備え

活火山とは、概ね過去1万年以内に噴火した火山、もしくは現在活発な噴気活動がある火山のことを指す。
福島県内には吾妻山(あづまやま)・安達太良山(あだたらやま)・沼沢(ぬまざわ)・燧ヶ岳(ひうちがたけ)・磐梯山(ばんだいさん)という5つの活火山が存在する。このうち、吾妻山・安達太良山・磐梯山の3つが「常時観測火山」に位置付けられている。噴火の前兆を捉え、噴火警報など発表するため24時間体制で監視が行われている。

吾妻山・安達太良山・磐梯山の3つが「常時観測火山」に
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仕事柄多くの火山に上るという、火山防災に詳しい東京大学の松尾一郎 客員教授に話を聞いた。

――福島県内は活火山に囲まれている?
東京大学客員教授・「防災マイスター」の松尾一郎さん:

火山というのは風光明媚、四季折々の風景や山頂に湖があったり、所々火山の噴気が出たり。こういう多くの恵みを、私たちにもたらしてくれていると思います。
福島は、県内に5つの活火山がある。噴火したら被害が出るという事でいうと那須岳(栃木県)もそう。活火山の数では、福島県は日本で5番目。ちなみに一番多いのは東京都です

「防災マイスター」松尾一郎さん

ピーク時は1000人が訪れる吾妻山…しかし「対策不十分」警鐘も

4月22日に再開通した福島県の「磐梯吾妻スカイライン」を訪れた。コロナ禍で落ち込んだ観光需要を取り戻そうと、浄土平の駐車場は7月まで、500円の駐車料金が無料となっている。

観光客:
今年も5月の中ごろ来たいなと思うので、無料の駐車場はすごく助かります

この大自然を満喫しようと、ピーク時には1,000人以上の観光客が訪れると想定される吾妻山。その環境が、万が一に備えた対策を難しくさせている。

観光客が多く訪れる吾妻山の対策は…

福島・北塩原村にある磐梯山噴火記念館・佐藤公 館長は、吾妻山の避難方法などをアドバイスしてきた。

磐梯山噴火記念館・佐藤公 館長:
磐梯山や安達太良は登山で利用する火山です。吾妻山はスカイラインがあるおかげで、車で行けますよね。ということは、登山客というよりも観光客がたくさん訪れる火山になります

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長

噴火警戒レベルは、現在最も低い「レベル1」だが、万が一噴火した場合は対策が不十分だと警鐘を鳴らしている。

磐梯山噴火記念館・佐藤公 館長:
秋の紅葉時期、ここには1,000人を超える人が集まっています。ところが、ここに屋内施設はレストハウスとビジターセンターと天文台しかありません。キャパシティからいうと、せいぜい300名くらいまでしか入りきらないんですね。
そういったことを考えると、シェルター、退避壕を駐車場の周り、場合によっては小富士の登山道の周りに設置することが必要ではないかと考えております

その思いを強くしたのが、2014年に噴火警戒レベルが「レベル1」で発生した長野・御嶽山の噴火だ。

御嶽山の噴火では多くの人が犠牲に

磐梯山噴火記念館・佐藤公 館長:
噴火しますと、噴煙が空高く舞い上がります。とくに御嶽山の例ですが、空高く上がった噴煙が、そこから噴石となって落下してきました

登山客58人が犠牲になったその教訓から、国は噴火時に備えた避難計画の策定を義務付け、吾妻山では2018年5月に整備された。
しかし佐藤館長は、きちんと避難情報を観光客に届けるためには、スピーカーの改善など、まだ課題が残されていると指摘する。

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
少なくとも8年前の御岳山の噴火は、他山の石です。山頂火口のそばで登山客がたくさんいて、そのために多くの犠牲者が出たわけです。同じことが実はここでも起こりうるということを、やっぱり肝に銘じる必要があるんじゃないでしょうか

また感染拡大の影響で、それまで毎年行われていた避難訓練は2年連続で中止になっていることも不安要素の1つになっている。
佐藤館長は「観光客自らの行動が大切」と呼びかけている。

磐梯山噴火記念館・佐藤公館長:
ここに活火山があって、ここから噴石が飛んでくることもあり得る場所なんだよということを、ぜひ知ってほしい。いろんな情報を事前にチェックして、旅をするということが重要だと思います

火山を「正しく恐れて正しく備える」 “活火山”の認識持ち備えを

――噴火警戒レベル1で発生した長野県・御嶽山の教訓とは
東京大学客員教授・「防災マイスター」の松尾一郎さん:

御嶽山の噴火前に、火山性地震が相当発生しているんです。ピークは数十回以上発生してます。
これをどう見るか。このタイミングで噴火するとは誰も…分かっていたとしても、なかなか難しかったと思います

火山性地震は発生していたが…

東京大学客員教授・「防災マイスター」の松尾一郎さん:
地方気象台から地元の村に連絡は入っている。とはいえ、御嶽山は、数十年噴火がなくて、いきなり噴火したんです。
行政も登山者も、活火山であることを認識して、極力調べておく。どこに逃げるか、何かあったらどう逃げるかなど、自己責任で身を守る備えをするしかない。
言いたいことは、「正しく恐れて正しく備える」。これが火山との付き合いで一番重要ではないでしょうか

吾妻山は、福島県内で最も活動が活発な活火山といわれる。吾妻山で、最後に観測された水蒸気噴火は45年前の1977年で、火口周辺でごく少量の降灰が確認されている。

また最近では、2022年3月に3年ぶりに、地下のマグマの移動などにより起こる「火山性微動」が観測されている。ハザードマップでは、火口の半径4キロまで大きな噴石が飛ぶことが想定されている。

――最近の吾妻山の活動について
東京大学客員教授・「防災マイスター」の松尾一郎さん:

福島県内の5つの火山の中で、意外と地震が発生している山だと思っています。
先日の福島県沖地震もそうですが、太平洋プレートがちょうど福島県がある大陸の北米プレートの下に潜り込んでいるんですよ。その潜り込みは、火山活動が活発化する要因になる。
私たちの見えないところで火山活動は起こっているので、火山への配慮・備えをしておくことが重要です

(福島テレビ)

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