この記事の画像(18枚)

13者連続奪三振、17イニング完全投球という世界をも驚かす活躍を見せるロッテ佐々木朗希(20)が4月25日に登録抹消になった。チームからは「疲労蓄積を考慮」と発表されているが、一体どんな調整を行っているのか。1軍に帯同しきょう6日の登板へ向け異例の調整を進めてきた右腕の一挙一動に注目すると、驚きの投球の秘密、さらには大谷翔平との共通点までも明らかになった。

異例の1週間に注目 

登録抹消の翌26日(火)は天候不良のため、佐々木は屋内練習でダッシュやキャッチボールなど軽めの調整を行った。27(水)にはグラウンドに姿を現し徐々に距離を伸ばしながら約50球のキャッチボール。その後エアロバイクを約10分間行った。

ロッテの菊地大祐トレーニングコーチによると、「バイクとか有酸素運動を多くして疲労を除去する軽めのリカバリー中心のプログラムで1回疲労を取って次の登板に向けて調整をしていく」という。

驚がくの投球を生むルーティーン

そんな中、一つの気になるしぐさが目に留まった。それが投球前に体を“もぞもぞ”と揺らす動きだ。実はこの動きにこそ投球の秘密が隠されていた。入団当時から佐々木のコンディショニングを行ってきたロッテの廣戸聡一インストラクターがこの動作を紐解いてくれた。

「体を揺らしながら『こうやって投げよう』と確認している時間があるんですよ。軸をきちんと作ること、そんな地味なことを入団してからずっと努力しているんですよ」

実は試合中も投球に入る際、この体を揺らす動作を毎回行っている。練習から行うこのルーティーンには重要な意味があると廣戸さんは言う。

「土踏まずの上にきちんと骨盤が乗って、骨盤の上に自分の首の付け根が乗って、頭蓋骨がきちんと乗る。軸を持って立つ、そういう形状を作っているということですね」

投球前、体を揺らしながら土踏まず・骨盤・首の付け根まで一直線に軸を作っているのがわかる。センターから見てみると軸を作った姿勢はやや前かがみだ。廣戸さんいわく「これが人間にとって一番自然な姿勢」だからこそ次の動きにスムーズに移行できるという。

「きちんと立ってすぐに動ける条件を作っている。そこから練習した通りのことをして、同じボール・フォーム・動作を徹底的にやるということが9回を100球で投げ切れる、無駄なボールを投げないという彼のすごい特性に繋がっていくんですね」

佐々木の体を揺らす動作、これこそがフォームの安定につながっていることが分かった。

異例の1週間に注目 

28日(木)はノースロー調整、エアロバイクをこぎ続けること約10分。その後は4年先輩の本前郁也(24)と笑顔で会話するなどリラックスした様子も見せた。すると佐々木は突然、本前の胸を触りだした。

この佐々木が注目する胸は実は野球選手にとって重要なパーツだ。胸周りの柔らかさこそが佐々木の最大の特徴でもあり、廣戸さんも驚きを隠せない。

「本当にこの胸郭が柔らかいです。体幹が柔らかく使えることがとても大切なことなんです」

高いリリースを生み出す体の秘密

そして、この胸周りの柔らかさが佐々木のあるものを生み出していると動作解析のスペシャリスト筑波大学の川村卓准教授は言う。

「彼が他のピッチャーと違うなと思う特徴は、リリースの高さだと思います」

川村准教授が特徴として挙げたのは球を離す位置、いわゆるリリースの高さだ。身長190センチから投げ下ろすこのフォームのメリットをこう挙げる。

「ボールに下向きの角度が出ている。例えば人間の目は、横の動きより縦の動きは追いにくいと思うんです。角度があって上から下に落ちてくるような形で来るというのは目線を保つのが難しいのです」

目は左右の動きより上下の動きの方が追いづらくなるため、角度のある球は効果的だという。それを武器に13者連続など三振の山を築いてきた佐々木だが、それならば全ての投手がマネをするべきだと思うかもしれないが、川村准教授は否定する。

「普通のピッチャーがこのリリースで投げてしまったら、(ボールが)はるか上をいくんじゃないかなというところで佐々木投手は投げているんです。これは天性じゃないかと思いますね。最初見たときに誰にもマネできないなと思いました」

プロでもマネできない高いリリースポイント。では、なぜ佐々木は低めに威力のあるボールを投げられるのだろうか。川村准教授は言う。

「肘が上がってきてからの背中の反りというのが非常に大きいのが特徴だと思います」

胸を反ったパワーが上向きの状態から、一気に胸を返しパワーを下向きに変える。だからこそボールが浮くことなく低めに投げることができるという。

「胸をとりまく胸郭という骨格の使い方が非常に巧みというかうまいと思います」

この胸周りの使い方ができる理由こそがストレッチで見せたこの胸周りの柔らかさ。これこそが高いリリースポイントを生み出している秘密。だからこそ先輩の胸周りをチェックしていたのかもしれない。

佐々木朗希と大谷翔平 投球の共通点

さらに、川村准教授によると佐々木朗希と大谷翔平にはある興味深い共通点があるという。

「踏み込んでから投げるところまでのお尻の動きを見ていただくとわかるのですが、決して下に沈むことなく上に上がっています」

佐々木も大谷も投げる瞬間、お尻を上げる動作をしている。これはスピードボールを武器とする投手に共通する動作だと川村准教授は言う。

「お尻の上がるタイミングと腕を振るタイミングを合わせることによって、腕の振りを助け速いボールを生みます」

腕の素早い振りをアシストするのがこのお尻を上げる動作。つまり左足を踏み込んだ時、お尻を上げる動作をいれることで反動が生まれ、強い腕の振りをサポートする作用がある。

「この腕の振りに対してお尻がグッと上がっていくことによって、腕の回転速度を補助していく形になって、より速く腕を振れる助けになっていると思います」

異例の1週間に注目 

29日(金)は悪天候でまたしても室内練習に。30日(土)は完全試合、プロ野球新記録となる13者連続奪三振の表彰式が行われた。そして1日(日)はオフを過ごした。菊地大祐トレーニングコーチこの1週間をこう振り返る。

「体がだいぶ戻ってきたので、トレーニングも通常通り行えています。本人も気持ちよく次の登板を迎えられるんじゃないかと思います」

佐々木朗希を追い続けた1週間。そこで令和の怪物たるゆえんを発見することができた。次なる登板はきょう6日のソフトバンク戦で、どんな投球を見せてくれるのか楽しみだ。

「S-PARK」佐々木朗希をどこよりも詳しく!
5月8日(日)23時15分から24時30分
フジテレビ系列で放送

S-PARK
S-PARK
メディア
記事 174