感染拡大が収まらない新型コロナウイルス。後遺症も深刻な問題になっている中、そのリスクをワクチン接種によって下げることができるという専門家を取材した。

コロナ後遺症に苦しむ母親「1年前に戻りたい…」

後遺症に苦しむ女性(20代):
痛みが出る前に飲む薬と痛みが出たときに使う薬と…。「あれ? 飲んだっけ?」とか日常茶飯事ですね、結構

薬を前に苦しい胸中を語る女性
薬を前に苦しい胸中を語る女性
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いくつもの薬を前に話をするのは、福岡県内に住む20代の女性だ。2021年5月と2022年1月の2度にわたって新型コロナに感染し、これまで1年近くに渡ってその後遺症に苦しんでいる。

後遺症に苦しむ女性(20代):
基本的には倦怠(けんたい)感は、ずっと続いているような感じなんですけど、調子がいい時と悪い時は、結構差がありますね

幼い2人の娘を育てるシングルマザーでもある女性。

さまざまな症状の中でも、子育てをするうえで特に困っているのが、食べ物の味がしない「味覚障害」だ。

後遺症に苦しむ女性(20代):
一度、久しぶりにオムライスを作った時に、下の子に「甘すぎる」って言われて…。上の子は「おいしいよ」って言いながら無理して食べてくれてたんだなって思ったら、こみ上げてきちゃって…申し訳ないなって…

育ち盛りの子どもたちにおいしく食べてほしい…。
味付けのやり直しがきくカレーなど料理のバリエーションを増やしたと言うが、やはり本当の願いは、これまで通りの味覚を早く取り戻すことだ。

後遺症に苦しむ女性(20代):
サクサクだねとか、ふわふわしてるとか、そんな言い方ばっかりなので。甘いねとか、ちょっと辛いねとか、そういう普通の会話がしたい。もう本当に戻れるなら、1年前に戻りたいなって思います

ワクチンの重症予防効果が後遺症も抑制

重症化せずとも後遺症に苦しむ人が少なくない中、感染対策の「武器」とされるワクチンが、後遺症を防ぐ効果があるという研究結果が明らかになった。

イギリスのロンドン大学は、新型コロナワクチンを接種していない、もしくは1回しか打っていない人に比較して、2回接種していた人は後遺症になる割合が半分ほどになったと発表。

ロンドン大学が明らかにした研究結果
ロンドン大学が明らかにした研究結果

イギリスの保健当局は、このほかにも複数の研究で、ワクチンが後遺症のリスクや症状を軽減できるとまとめた。

「ワクチンが後遺症のリスクを軽減する」との報告も
「ワクチンが後遺症のリスクを軽減する」との報告も

こうした研究について、免疫学が専門の久留米大学の溝口教授は、ワクチンの「重症予防効果」から妥当であると話す。

久留米大学医学部(免疫学)・溝口充志主任教授:
これはもう、免疫学的に見ても間違いなく予想通り。ウイルスが暴れて、いろいろな組織、僕たちの体の中を破壊するわけですよ。後遺症っていうのは、何らかの組織の破壊が起こって、その後、出てくるわけですから。それが抑制された、弱くなったということは、それだけ出てくる後遺症が減ってくるということになります

「予想通り」と語る久留米大学・溝口教授
「予想通り」と語る久留米大学・溝口教授

ウイルスが暴れるのを「抑える」という重症予防効果が、ひいては、その後に発生する後遺症をも抑えてくれるというわけだ。

3回目の若者のワクチン接種がなかなか進まない中、溝口教授は「後遺症を防ぐ」という観点からも接種を検討してほしいと話す。

久留米大学医学部(免疫学)・溝口充志主任教授:
後遺症が残ると、記憶力というか、集中力が低下してきます。重症化リスクはないんだけどっていう方が、一番悩まれると思うんですけども、やはりベネフィット、利益はあります

ワクチン接種を呼びかける溝口教授
ワクチン接種を呼びかける溝口教授

さらなる変異ウイルスも確認される中、ワクチン接種にあたっては、後遺症のリスクを下げるという視点を持つ必要もありそうだ。

(テレビ西日本)