私がお伝えしたいのは「パキスタンで政治混乱の恐れ」です。

不信任案可決で失職したイムラン・カーン氏にかわり、新しく首相に就任したのはシャバズ・シャリフ氏。
野党勢力をまとめあげましたが、反発する議員100人以上が辞職を宣言。
さらに前職のカーン氏からは反対デモを呼びかけられています。

ポイントはこちら!
「経済危機に、外交も難題ばかり。内憂外患の船出」

シャリフ氏は、過去に首相を3度務めたナワズ・シャリフ氏の弟。
新首相にとって急務となるのは、前政権で悪化したインフレの沈静化と、外交面の立て直しですが、いずれも難題です。

前首相のカーン氏は、ロシアによるウクライナ侵攻の直後にプーチン大統領と会談し、国際社会の批判を浴びたほか、アフガニスタンで実権を掌握したイスラム原理主義勢力・タリバンに対する支援を巡り、アメリカとの外交が途絶えるなどしていました。
隣国インドとの関係も悪化しています。

消費者物価指数は、カーン氏の首相就任以来、2桁前後の上昇率で推移。
ウクライナ侵攻によるエネルギー価格の上昇も深刻です。

これらの難題に加え、100人以上が議員辞職を表明したことに伴う大規模な補欠選挙や、パキスタンで強い政治力を持つ軍との関係構築など、いろんな難題にも向き合うことになるシャリフ新首相。
今後、安定した政権運営ができるかは不透明です。

百武弘一朗
百武弘一朗

FNN プロデュース部 1986年11月生まれ。國學院大學久我山高校、立命館大学卒。社会部(警視庁、司法、宮内庁、麻取部など)、報道番組(ディレクター)、FNNバンコク支局を経て現職。