ロシアのウクライナ侵攻が地方の景気判断にも影を落とし始めている。

日銀は、きょう「さくらレポート」=地域経済報告を取りまとめ、全国9地域のうち中国地方を除く8地域で景気判断を引き下げた。

多くの地域で持ち直しの方向にあるものの、前回の1月に比べ新型コロナウイルスの感染再拡大によるサービス消費の低迷や、半導体など部品の供給不足の影響が出ているとしている。

さらにロシアのウクライナへの侵攻が貿易活動に影響を与え始めていて、企業からは、「シベリア鉄道経由の輸出が困難となり、海上輸送へ切り替えた」(熊本の輸送機械)といった声や、「ロシアへの経済制裁が長引くことでロシア産の海産物等が品切れになることを懸念している」(北海道のスーパー)といった先行きを懸念する声も聞かれた。

また個人消費については、9地域すべてが判断を引き下げた。9地域で判断が引き下げられるのは2020年7月以来。

オミクロン株の感染拡大で飲食や宿泊サービスが打撃を受けたためで、感染再拡大への警戒が続くなか、飲食店などからは、「本格的な回復には至っていない」との声が聞かれる。

(兜・日銀キャップ 茅野朝子)

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