2022年で戦後77年。沖縄戦の体験者は高齢化し、戦争の記憶をどう次の世代に継承していくかが課題といる。そうした中、沖縄戦を体験していない世代だからこそ、柔軟な発想で平和学習のあり方を模索する女性がいる。

記憶のバトンを次の世代に繋ぐ取り組みとは…。

日本はどのように戦争に突き進んでいったのか

狩俣日姫さん:
この無血上陸はなぜできたのか、米軍が無血上陸できた理由をAとBで考えてみてください。A、南部から米軍が上陸すると日本軍が予想していたため、中部からの上陸に対応することができなかった。B、地上戦に持ち込むためにあえて上陸を許した

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宜野湾市に住む狩俣日姫さん(24)。沖縄戦の記憶を次世代に繋げるため、4年前から県の内外の中高生に向けた特別授業を行っている。この日のオンライン授業では、高校生の興味を引こうとクイズを取り入れていた。

狩俣日姫さん:
正解はBです。この沖縄戦のそもそもの目的は何かというと、本土決戦までの戦いに備えるための準備時間を作ることです。なので、この沖縄戦では米軍を一日でも長く沖縄にひきつけることが必要でした

授業では沖縄戦の史実を学ぶだけでなく、日本がどのように戦争に突き進んでいったのかを掘り下げて学習していく。

狩俣日姫さん:
戦前の「戦争を応援しよう」という空気を作るために何をしたか、みんなにメディア・教育・エンタメ・法律という4つのヒントを与えますので、そこからちょっと考えてみてください

狩俣さんは、次の2つの生徒のアイデアを紹介した。

(1)小学校や中学校など義務教育の中で、戦争に積極的になるような授業やルールを教えこむような教育をする。

(2)教育・メディア・エンタメの部分で、日本が強くて他国が弱い。日本が一番。だから、土地やお金を多く得るために戦争に勝とうということをアピールする。

狩俣日姫さん:
みんなに挙げてもらったものと近いようなことが、戦前の沖縄にも起きていました。なんでこういうことを考えてもらったかというと、大半の戦争っていうのは国民から応援される形で始まっています。体験者の方々も戦前は「戦争は正しいもの。日本が勝つことが正しい、日本が勝つことが平和に繋がる」と信じていました。一人一人が、戦争は正しいよねという意識に変わっていきました

授業を受けた生徒:
クイズ形式でやることで、戦争の流れだったり歴史とか、背景がいつも以上に授業より分かったので。それが一番よかったのかなと思います

「現実的なものとして受け止められない」 自身も感じた意識のギャップ

フリーランスで沖縄戦や平和教育の講師として活動する狩俣さん。中学・高校の時の平和学習で、沖縄戦体験者の話を受け止めることができなかった経験が活動の原点だ。

狩俣日姫さん:
中学・高校生の時に戦争体験者の方が話をしてくれたんですが、それに対して話の流れか分からないとか、出てくる言葉の意味が分からないということがありました。話を聞くのは大事っていうのは分かるんだけど、真剣に取り組めなかったというところがある。沖縄戦から77年、戦争を知らない世代にとって戦世の出来事は、現実的なものとして受け止められなくなっているのも現状です

狩俣さん自身も、沖縄戦の体験者の話に距離を感じていた一人。だからこそ、その記憶を次の世代に繋ぐため工夫を重ねている。

狩俣日姫さん:
体験者の方たちの話に対して、もっと生徒一人一人が価値に気づいて、ちゃんと話を聞く姿勢をもち、聞くための材料としてどういった物があれば良いかのかということを意識しながらやっています

生徒たちの住む街にもあった、身近な戦争の痕跡

2022年3月20日、狩俣さんは地元の宜野湾市に住む中学生たちが、地域で起きた出来事を探検しながら学ぶフィールドワークを行った。

訪れたのは嘉数高台。戦争当時、日本軍の陣地が構築され、16日間に及ぶ激しい戦闘が繰り広げられた。

狩俣日姫さん:
戦前の地図を見ながら自分たちの今の嘉数を歩く。そこからどんどん77年前の嘉数と、今の嘉数がリンクしていきました。2022年6月に平和学習を受けて、ふと道を帰る時に沖縄戦を思い出すきっかけを嘉数の中で作れたらすごくいいなと思いました

生徒:
この陣地壕を掘ったんだって。爆発で穴が空いたと思った

生徒:
爆弾を背負って戦車に体当たりするという肉弾戦法…。自分も一緒に死ぬってこと?残酷すぎる

生徒:
でも、勉強しなかったら知らなかった

生徒:
ここで幼稚園生のころ余裕で遊んでた。よくよく考えるとぞっとしない?

生徒:
うん。怖いよね

生徒:
めっちゃ怖い。だって、ここで人が倒れて死んでるってことでしょ

様々な視点で沖縄戦を伝える狩俣さんだが、役割はあくまで戦争を知るきっかけとなる機会を提供することだと話す。

狩俣日姫さん:
資料館はあるけど、沖縄戦のことを学びたいと思って自発的に入ってくる若い世代が、どれくらいいるんだろうって。もうちょっと平和学習とか沖縄戦とかっていう、その上の世代の先輩たちが作ってきて残してくれたものを活用していきたい、というような気持ちがあります

ロシアによるウクライナへの侵攻で無辜の市民が犠牲となっていく惨状が連日伝えられる中、地上戦で20万人あまりが命を落とした沖縄の地から、戦争は決して起こしてはならないと次の世代に記憶をつなぐ取り組みが続いている。

(沖縄テレビ)

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