3月、沖縄戦で旧日本軍が使っていた陣地壕から、県立第一中学の「校章」が見つかった。持ち主は誰なのか、なぜそこにあったのか。校章を発見した遺骨収集ボランティアは、手がかりを求めて戦場を生き延びた元学徒を訪ねた。

一中学徒の290人が命を落とす 校章の持ち主は

直径約3センチ、真ちゅう製で桜と葉の模様。「中」という漢字が浮かんでいる。

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遺骨収集で毎年、沖縄を訪れている青森県の浜田哲二さんと律子さんを中心とするチームが、2022年3月20日に糸満市の壕で発見した。

77年前、沖縄戦に動員された学徒が持っていた校章ではないか。浜田さんたちは3月22日、那覇市首里にある養秀同窓会を訪ねた。

首里高校の前身、県立第一中学校の学徒たちの資料を収集し展示している同窓会に、校章を確認してもらった。

養秀同窓会解説委員 山田親信さん:
これは一中の校章だな、間違いない。これはすごい。中という文字が入って、桜のつぼみが

一中生は、鉄血勤皇隊や通信隊などとして沖縄戦に学徒動員され、290人が命を落とした。

これまでに見つかった一中学徒の遺留品は、遺書や飯盒だけ。戦場だった場所からこうして校章が発見されたのは今回が初めてだ。

養秀同窓会解説委員 山田親信さん:
こうしたの見つけていただいて本当にありがたいです。生き残った方はもちろん、亡くなった方もそうですけど、感激するんじゃないかな

校章が見つかった壕には77年前、一中の生徒がいた。校章の持ち主は生き延びたのか、それとも…。

養秀同窓会事務局長 中今純さん:
これが出てきたところに配属された可能性のある学徒は絞り込めるのかな

養秀同窓会解説委員 山田親信さん:
ある程度、ちょっと時間かかるかもしれない。残っている証言と照らし合わせながらやっていくしかないですね

浜田哲二さん:
もし可能ならば、生き残りの人からお話も聞いてみたいよね

生き延びた元学徒「逃げる一方だった」 学友を思う

同窓会を訪れた3日後、浜田さんたちは沖縄戦当時、一中の3年生だった石川栄喜さんを訪ねた。石川さんは鉄血勤皇隊に動員され、炊事班として兵士の食事を作る任務にあたっていた。

石川栄喜さん:
帽子の校章です。おっしゃる通り、間違いありません。校章です

浜田律子さん:
石川さんもつけておられましたか?

石川栄喜さん:
つけてましたよ。きりで穴を開けて帽子にこれを突っ込んで、両方に折り曲げられるようになってた

沖縄戦が始まる頃、学生たちが身に着ける帽子は学生帽から戦闘帽に変わった。石川さんが経験した沖縄戦を聞かせてほしいと浜田さんたちは語りかけた。

浜田哲二さん:
つらい質問なんですけど、石川さんは敵兵アメリカ兵を殺したということがありましたか?

石川栄喜さん:
ありません。逃げる一方。

浜田哲二さん:
逃げる一方だったんですね

校章を前に、77年前の激しい地上戦と亡くなった学友たちに思いを巡らせた。

石川栄喜さん:
県立第一中学校…亡くなった人たちが目に浮かびますね。手足が吹っ飛ぶ。学友たち、はらわたが飛び出す

20年にわたって遺骨収集を続け、今回校章を見つけ出した浜田夫妻に、石川さんは何度も何度も「ご苦労様です」と労いの言葉をかけていた。

沖縄戦の悲惨さ伝える校章 平和学習に役立てる

今年の活動を終える前に、浜田さんたちは校章を同窓会に返却し、その周辺から見つかった遺留品についても寄贈することを決めた。

浜田律子さん:
(この校章に)見覚えあります?

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
あるさ、もちろん

返却と寄贈のセレモニーには、元学徒で当時4年生だった與座章健さんも同席した。

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
誇りのまゆにかぶりたる

浜田律子さん:
そういう歌があったんですね。

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
応援歌

多くの学友の命が戦火に散り、生き残った與座さんが感じた後悔や後ろめたさ。戦時下で行われた教育の恐ろしさを感じている。

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
戦争中に自分の友人知人を失ってしまったという経験のある人は少ないよね。先に逝った連中の分まで何かやらんといかん、という気持ちになってきた

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
誰の物だったかね…

浜田律子さん:
わかればいいなと思いますけど

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
来世に行ったらわかるよ。これ僕のものだったよ、と言って

元学徒で当時4年生 與座章健さん:
来世に行ったときに「やー!しばらくだった。元気だった」という挨拶もできるけど。夢ですかね

無念の死を遂げた一中生の冥福を祈り、沖縄戦の悲惨さを後世に伝える活動を続ける同窓会は、77年ぶりに帰ってきた校章を資料室に展示し、平和学習に役立てると浜田さんたちに感謝を述べた。

養秀同窓会副会長 太田幸子さん:
一中生っていうのは本当に皆さん、誇りを持っていて。持ち主はとっても大切なものとして帽子につけて、激しい戦火の中で命を落としていったと思います。だから本当にありがたい

浜田哲二さん:
若い人たちは今回帰ってきた遺留品を見て、戦争というものはどういうものであろうかということを実感してほしいですね

沖縄戦から77年。見つかった校章は、多くの若い命を奪った戦争を次の世代に伝えていく。

(沖縄テレビ)

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