地球に優しいスイーツを生んだ、280年続く技と老舗の心に迫った。

発酵アップサイクル

ほっと一息つくのにぴったりのラテに板チョコのようなスイーツ。いずれも捨てられてしまう食材から作られたものだが、そのアップサイクルを実現させたのは……。

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発酵食品開発会社、ソーイ。
江戸時代から続く老舗で、日本酒醸造・しょうゆ醸造業を経て今に至る。

今回、通常なら捨ててしまうコーヒーかすから新たなスイーツを作ることに成功したが、そのカギとなったのは約280年もの間受け継がれてきた発酵技術

ソーイ・石垣哲治代表取締役:
これが使っているこうじ菌です。小麦がベースでそこに菌が付いている状態です。

通常、1種類の菌を使い発酵させることが多いそうだが、ソーイでは複数の菌が付いた自然に近い状態のこうじ菌を使用している。
菌の種類が多い分、生み出される乳酸の量が増えるため、うま味や酸味がアップするという。

発酵前は、出がらしのような匂いがして、味は苦く後味がちょっと嫌な感じが残る。
しかし発酵後は、匂いはすっきりとし、コーヒー独特の酸味や苦みもない。

発酵が終わったコーヒーかすは、パティシエによってチョコ風のスイーツへと生まれ変わる。
コーヒー独特の酸味はあるが、チョコは入っていないのにビターチョコを食べているような味わいがするという。

さらに、スイーツに合うラテも開発。
これも発酵させたコーヒーかすを使用している。

発酵技術で食品廃材ゼロに

この“発酵アップサイクル”には、もう1つ地球に優しいポイントが。

ソーイ・石垣哲治代表取締役:
(コーヒーかすは)水分をたくさん含んでいるものなので、いったん乾燥させなければ加工特性が出なかったところに対し、逆に加水して加工特性を上げて加工したというところに大きな肝がある。乾燥工程を経ないということは、CO2の削減につながるということです。

今後については…

ソーイ・石垣哲治代表取締役:
コーヒーかすに関して言うと、今は沼津市内だけだが全国展開をしていきたいことと、あとは、それができた次に第2・第3弾も出して、よりそういう形でアップサイクル・SDGsの達成という形を我々から少しでもやっていきたい。
“食品廃材を全てゼロにしていく”というのを発酵技術によって成し遂げていきたいというのが、今後の目標です。

(「Live News α」3月22日放送分)