「Tポイント」や「楽天ポイント」など、いま、様々な企業が戦略としてポイントサービスを採用している。
さらにマイナポイントやキャッシュレス還元など政策としても利用されるなど、ポイント市場は年々拡大している。
矢野経済研究所によると、ポイント市場は2兆69億円まで拡大している(2019年度ポイント発行額ベース)。

「ポイント活動」いわゆる「ポイ活」で社会貢献できる取り組みが始まっている。
累計会員が900万人を越える大手ポイントサイト「モッピー」(株式会社セレス)では、2021年11月からポイントを寄付できるサービスを始めた。
モッピーの利用者は通常、たまったポイントを「Tポイント」などの他社ポイントや現金に換えて使うが、1ポイント=1円として、1ポイントから寄付することができる。これはポイントサイトとしては初めての取り組みだという。
安心の”寄付先”がズラリ
寄付先はSDGsの17の目標から逆引きして関連団体を選ぶことができる。日本ユニセフ協会や日本赤十字社など、詳しくない人でも安心して寄付ができる先が並ぶ。

11月から始まったこのサービス、利用者の内訳をみると5割が女性で、30代・40代が多い。次に40代男性と、10代男性が多いそうだ(※モッピーは12歳から利用が可能)。
「ポイントだとお金より気軽」
このサービスで寄付をした男性と女性に話を聞いた。
松井さん(仮名 46歳 自由業):

「仕事の休憩時間などにパソコンでポイ活をしています。暇な時間にちょっと貯まれば得かなと」
-どういうときに寄付を?
「Tポイントなどの他社ポイントに換えるときの端数で、今までに4,5回ほど、累計で1000ポイント弱を寄付しました。寄付先は『全国こども食堂支援センター・むすびえ』と、もう一カ所子ども関連。以前からニュースで子どもの貧困や虐待などのニュースを見ていて、少しでも何かの為になれば、と思っています」

あささん(仮名 29歳 会社員):

「仕事終わりにポイ活をすることが多いです」「色々な寄付先がある中で、災害に使ってもらえたら、と日本赤十字社を選びました」
-社会貢献は常に意識している?
「ボランティアはほとんどしたことがないし、募金はしたことはあるけどお金を出すとなると色々とハードルが高い。ポイントだとお金より気軽に参加できると思います。操作も簡単でした。簡単な分、実感も少ないということはありますが。今後もポイントの端数があったら寄付にまわしたいです」
約4カ月で600人が寄付
1位:日本ユニセフ協会
2位:全国こども食堂支援センター・むすびえ
3位:国土緑化推進機構
4位:日本赤十字社
11月からの約4カ月間で累計600人がこのサービスで寄付したという。
自然な流れで寄付が可能
寄付として集まったポイントは、現金化されモッピーから支援先に渡る。
「全国こども食堂支援センター・むすびえ」では、全国のこども食堂を支援する団体同士のネットワークづくりに使われているそうだ。
むすびえ担当者:
「我々は寄付が活動の原資。募金だとなかなかしづらい、という現状がある中で、モッピーのサービスの選択肢の一つとして自然な流れでこうした寄付ができる。知ってもらう、考えてもらうきっかけになればいいと思います」
「身近に、気軽に」
「何かしたいけど、よく分からない」。SDGsを耳にするようになった今、こう考えている人も多いのではないだろうか。
「こうした人たちがSDGsを身近に感じ、気軽に参加してもらうことが狙い」だと、モッピーの担当者は話す。
ポイントサービスを組み込わせることで、いまの社会の共通の課題SDGsを推進しようというこうした取り組み。今後さらなる広がりが期待される。