13日のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)は、ロシアによるウクライナ侵略で、ロシア軍が首都キエフに接近しつつあることをめぐり、出演者が論戦を展開した。

ロシアが中東からの傭兵を前線に送る考えを示していることをめぐり、自民党の佐藤正久外交部会長と立憲民主党の渡辺周衆院議員(元防衛副大臣)は強い懸念を示した。

佐藤氏は、市街戦になれている荒っぽいシリア兵が送り込まれた場合、「考えたくない状況が起きる可能性がある」と指摘。渡辺氏は、シリアで使われた化学兵器が使われ大量虐殺が行われる恐れに言及した。

佐藤、渡辺両氏は、残虐な大量殺戮を防ぐために、NATO(北大西洋条約機構)が軍事介入に踏み切る姿勢を表明し、ロシア側に政治的妥結を促す必要性を訴えた。

一方、ロシアに対する経済制裁の効果を高めるために、番組コメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長・弁護士)が中国の協力を仰ぐべきだとの認識を示した。これに対し、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、ロシアと価値観の近い中国は、国際社会の目をごまかしながらロシアの意向に沿う形で交渉する可能性があるとして、中国に仲介役としての資格はない、と断じた。

その際、橋下氏が「櫻井さんは芯から中国が嫌いだからだ」と指摘したのに対し、櫻井氏は「中国が嫌いだからではなく、中国に仲介を頼んでも良いことはないからだ」と反論し、舌戦を交える場面があった。

橋下氏は、中国がロシアに経済的に支援を行った場合は、西側諸国が中国企業に二次的な制裁を科すよう訴えた。

以下、番組での主なやりとり。

佐藤正久氏(自民党外交部会長):
気になっているのは、ロシアが中東、シリアから傭兵を送り込むという話。相当危険な兆候だ。

粗っぽく市街戦に慣れているシリア兵となると、考えたくない状況が起きる可能性がある。元自衛官として考えると、ロシア兵は本心ではシリア兵とは一緒に戦いたくないと思う。誤算、士気の低下、補給の問題などもあり、ある意味、(ロシア軍が)追い込まれている部分もあるのかと思う。普通だったら、ロシア軍がシリア兵に応援を頼むというのは考えにくい。

小泉悠氏(東京大学先端科学技術研究センター講師):
ロシアがシリアの傭兵を動員しようとしている。ベラルーシ軍も動員しようとしているわけだ。ベラルーシ軍なんて5万人ほどしかいない。そのうち陸軍は1万数千人ほど。その程度の兵力に頼らざるをえないというのは、相当ロシア軍が攻勢の限界に達しつつあるのではないか。シリア傭兵の話に関しては、市街戦でものすごい損害が出ることはチェチェン戦争などでロシアは承知している。これから本格的に市街戦を始めるにあたり、あまりロシア兵に死者を出してはまずいと思っていると思う。今回の戦争はただでさえロシア国民からは不人気で、あまり戦死者を出すと国民から本格的に反発を食らう。そのため、非常に言い方は悪いが、死なせても惜しくない外国人兵士、しかも、公式に戦死数にカウントされない兵隊を集めようとしているのではないか。

渡辺周氏(元防衛副大臣・立憲民主党衆院議員):
懸念するのは、シリアで使われた化学兵器、例えば、サリンのようなものを市街戦で使って大量虐殺をするのではないかということ。さすがにそこまで行った時には、NATOは人道支援という形で何らか次のステージに進むぞということをアナウンスしなければいけない。

佐藤氏:
今、ウクライナ国民が連帯をして国際社会の支援のもとに一生懸命頑張っている。これは非常に尊いと思う。しかし、首都包囲作戦で、チェチェンでの絨毯爆撃のようなことも起きるかもしれない。その時に、NATO、特にヨーロッパは、見殺しにしていいのかという議論は絶対起きるはずだ。起きないとおかしい。そういう(介入の)姿勢を示すことで政治的妥結というものが次第に生まれてくる。

橋下徹氏(元大阪府知事・元大阪市長・弁護士):
経済制裁が速く効果的にロシアに効くかは中国の態度ふるまいかんではないか。櫻井さんのような戦略は確かに正論、王道だ。経済的に追い詰めてプーチン政権を瓦解させる。これが一番だと思うが、これを早期にやってウクライナの人たちの犠牲をなるべく最小限にしようと思えば、中国をロシアから西側の方に引き込んでこなければいけない。櫻井さんはもう芯からの中国嫌いだから、絶対中国にお願いするなどということはやりたくないという気持ちはわかるが。

櫻井よしこ氏(国家基本問題研究所理事長・ジャーナリスト):
橋下さん、あなたは、私の言ったことを二つ読み違えているので、それを訂正する。まず、ウクライナに対して経済制裁だけでプーチンを追い詰めるとは、私は言っていない。NATO、アメリカ、日本でさえも、日本はものすごい限界があるが、戦闘に役立つことをどんどんやっている。

橋下氏:
中途半端だ。肝心なことはやらない。

櫻井氏:
中途半端とあなたは言うが、今すごくやっている。

橋下氏:
(NATOは)戦闘機送らないではないか。

櫻井氏:
経済だけではない。それと、私が中国が嫌いだから中国に仲裁を頼まないと。私は嫌いとか、好きとかの感情論でこの話をしたことはないつもりだ。中国が嫌いだからではなく、中国に仲介を頼んでもよいことはないと思っているからだ。中国とロシアは本当に双子だ。価値観でも、やり方でも、人命を軽視するという意味においても、本当に双子だ。習近平にとってプーチンを全否定するということは、自分が今までやってきたこと、これからやろうとすることの全否定に繋がるから、仲介役になった途端に、まあ仲介できないと思うが、水面下でいかなる形でかロシアの意向に沿った形で、国際社会の目をごまかしながら、交渉して行くだろう。その先にできる国際社会は習近平やプーチンの価値観がどこかに色濃く滲んでいる社会になりかねない。それを私たちは許すことができないという意味で、中国には仲介の資格はない。

中国が対ロシア経済制裁に力を貸すことは全くない。むしろ反対に西側の目をごまかしながら、ロシアを経済的に助けていく方向に着実に動いている。中国を嫌いも好きも全く関係なく、習近平体制が、共産主義の彼らが何を目指しているかを事実関係をもとにきちんと押さえて、中国には無理だねということを私は言っている。

橋下氏:
中国がロシアと組んだ時に、西側諸国は中国に二次制裁をやるかだ。イランへの制裁と同じように。ロシアと関係する中国企業、中国の取引全部を西側諸国が制裁かける覚悟があるかどうか。軍事力でNATOが介入すれば世界大戦になる。これは避けなければいけない。世界大戦ほどの犠牲を避けるということでも、それぐらいの覚悟がないとプーチン政権止まらない。世界大戦と同様になるくらいの経済的な打撃を西側諸国が覚悟を持たないと、プーチン政権は追い詰められない。中国に二次制裁やるなどと言ったらとんでもない経済の大混乱になるが、そこまでの覚悟はあるのか。そこまでの覚悟がないのであれば、NATOが軍事力を背景に交渉するのかの問題だ。二次制裁までやるべきだ。

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