岸田政権発足後初となる自民党党大会が13日都内で開かれ、岸田首相は夏の参議院選挙を「最大の政治決戦」と位置付け必勝を呼びかけた。党大会は政権運営の大きな節目。参院選に向けた態勢固めを急ぐ狙いがある。

岸田首相は約20分間の演説で、参院選について「自民、公明両党の連携のもとで勝利し、引き続き政治の安定を担う」「自民・公明の連立与党以外にこの国を任せることができるだろうか。できるわけがない。我々がやるしかない」と強調した。また「参院選は時として大きな政治変革の引き金ともなってきた」「一致団結しまなじりを決して戦い抜く。私自身がその先頭に立つ」と訴えた。

党大会には、公明党の山口代表も出席して挨拶し、「協力の在り方をしっかりと間を詰めて、実のある体制を作らなければならない。そのためにも、二幹二選(※自公両党の幹事長、選挙対策委員長会談)の役割が重要だ。あらゆる選挙区の状況を確認しながら、結果の伴う歩みを進める」と述べ、選挙協力を具体的に進める方針を強調した。選挙協力を巡って取り沙汰された自公の「隙間」の修復をトップ同士がはかった形だ。

挨拶をする公明党・山口代表
挨拶をする公明党・山口代表
この記事の画像(3枚)

一方、岸田首相はロシアのウクライナ侵攻について、「力による一方的な現状変更によって、主権と領土の一体性を犯すロシアの暴挙を強く非難する。我が国は国際社会とともにロシアに強い制裁を科すことでこうした暴挙に高い代償が伴うことを示す」と強調し、国連や安保理改革を目指す決意を表明した。

新型コロナウィルス対策については、「感染防止対策を徹底しながら出口に向けて動きを進める」「経済、社会を動かすことで日常を取り戻すことができるよう歩みを進める。その先に日本経済の回復を描く」と説明した。憲法改正については、「一人一人が国民の皆さんとしっかり対話し、憲法改正という党是を成し遂げようではないか」と協力を要請した。

党大会では、幹事長などの役員任期を1期1年、連続3期までに制限する党則改正や立憲民主党などの支持団体である連合との協調を拡大する方針も正式決定した。

党大会を通して、岸田首相がロシアによるウクライナ侵攻、新型コロナ対策などの重要課題に立ち向かう決意とともに、2021年の総裁選で公約として掲げた党改革実現をアピールした形だ。

ただ、課題も多い。岸田首相が掲げる看板政策「新しい資本主義」をめぐっては、政権発足から5カ月がたった今、党執行部、閣内からですらも「全体像がよくわからない」との声があがる。新型コロナ対策やウクライナ侵攻では、対応の遅れも指摘された。党内に目を向ければ、水面下で非主流派の不満がくすぶり、麻生派から佐藤勉前総務会長ら4人が退会。勢力結集を目指す菅前首相の動きにも注目が集まる。これらの課題を乗り越え、長期政権の試金石となる参院選を勝利に導くことができるのか、岸田首相の手腕が問われる。

政治部
政治部

日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。