名古屋市にある大鳥居は90年以上前に建てられ、地元では「赤鳥居」と呼ばれ長年親しまれてきた。だが今、この鳥居を「金色」に塗り替える案が浮上し、議論となっている。

地元ゆかりの秀吉が好んだ黄金色に

名古屋市中村区、地下鉄「中村公園駅」のすぐ上に立つ大鳥居。高さ24メートル、幅34メートルと巨大で、街のシンボル的な存在となっている。

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1929年(昭和4年)に豊臣秀吉を祀る豊國神社の参道に建てられ、地元では長年「赤鳥居」とも呼ばれて親しまれてきたが、この大鳥居を「黄金化」する案が議論となっている。

豊國神社 宮司・近藤一夫さん:
100周年の記念事業として何かできることはないかという中の一つに、黄金化するという案が浮かんできたということです

そう話すのは、豊國神社の宮司・近藤一夫さん(59)。中村区の名古屋市編入100周年を記念し、鳥居を金色に塗り替えるプロジェクトが持ち上がっていた。

豊國神社 宮司・近藤一夫さん:
中村区の発展のことを考えると、一つの核となる中村公園、これを中心として発展させていこうというのがもともとの趣旨で

地域の発展を目指す住民団体が、街の活性化の目玉にと、鳥居を地元ゆかりの豊臣秀吉が好んだ「黄金色」にする案を計画。

区民を対象にしたアンケートで意見を募り、寄付を呼びかけた上で、約5000万円をかけて2023年秋をめどに塗り替える予定だという。

”金色化”で参拝客増加も 住民から賛否

実はこの鳥居の黄金化には、モデルとなる“先輩”がいた。

岐阜市の金神社。もとは紺だった鳥居を神社の名前にちなんで金色に変更した。

金神社の宮司:
やはり街の活性化、外から皆さんに来ていただいて、境内に足を運んでもらうというのが我々の願いですので。(金色にして人は)増えました

参拝客A:
パワーをもらっていこうと思って、いつも金に触っていくんです

参拝客B:
インスタ映えというんですか。今どきでしたら

今ではすっかり「映えスポット」に。

サイズもビッグな中村の大鳥居であれば、黄金化でこれ以上に注目が集まる可能性も考えられる。しかし、地元では…。

中村区民A:
慣れ親しんでいるから、やっぱり赤の方が良いですね。金よりね

中村区民B:
私もそう思うね。小さいころからこれを眺めています。この赤い方がいいな

中村区民C:
この方がいいよ。ずっと長いことこの色になっているからね。赤鳥居ってね

中村区民D:
黄金色にしたところで、何がしたいのか私的にはわからないので

若い人からは賛成の声も聞かれたものの、長年赤鳥居に親しんできた年配の人たちを中心に「変えないで」という意見が多かった。

神社を中心とした神道文化に詳しい専門家は…。

皇学館大学 神道学科・高野裕基助教:
古くから朱色は、災厄を防ぐ魔除けの要素を持っている色として認識されていたと言われています。(神社や鳥居は)公共性を持つ存在と言えますので、神社に関わる方々や地域の人々が納得がいくような形で、検討を進めていく必要があるかと思います

(東海テレビ)

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