東日本大震災の発生からまもなく11年。震災後、宮城・石巻市に移住した女性が語り部の仲間とともに、あの日の記憶を伝える活動に取り組んでいる。
阪神淡路大震災で感じた「後悔」がきっかけ
藤間千尋さん。語り部団体と連携するなど、震災伝承に幅広く取り組む石巻の団体「3.11みらいサポート」の一員として活動している。神奈川県出身の藤間さんは、震災後、石巻に移住した。
この記事の画像(13枚)西ノ入菜月 アナウンサー:
元々、石巻にゆかりがあった?
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
本当になくて、震災のあと、私の古くからの友人が先に石巻にボランティアで入ったのをSNSで知って
藤間さんが活動を始めたきっかけは、高校生の時に起きた阪神淡路大震災で感じた「後悔」だった。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
ボランティアなどの行動に移すのは高校2年生では難しくて、それでも行動に移している人をテレビで見てショックだった
2011年、東日本大震災が発生すると、藤間さんは石巻へ行くことを決めた。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
ここで動かないと、居心地の悪い、後味の悪い思いをするのだろうとすごく想像できた
語り部からも厚い信頼
藤間さんはさまざまな活動を経て、今、語り部の支援に力を入れている。この日は、語り部の女性から次のプログラムについて相談を受けていた。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
私自身は被災者ではないので、私には何も言いようがない。語り部がどんな風に思ったのかを聞くことだと
石巻に移住して2022年で11年。語り部からも厚い信頼が寄せられるようになった。
(Q.藤間さんについて)
語り部 高橋正子さん:
石巻の人以上に、石巻の復興がよくわかっている。いろいろ逆に教えてもらえる
(Q.藤間さんについて)
語り部 高橋匡美さん:
必要な時には背中を押してくれる。私が助けられていることの方がすごく多い気がする
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
久しぶりなので楽しみ
一緒に防災や命のことを考える仲間をつくる
新型コロナの影響で対面での語り部の機会は減っている。この日は3カ月ぶりに県外の中学生が石巻を訪れた。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
本日は石巻までお越しいただき,ありがとうございます
6つのグループに分かれた震災学習。藤間さんのグループには、震災当時、小学生だった語り部の近藤日和さんが加わり、中学生に体験を伝えた。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
最初揺れてどんな行動をとった?
語り部 近藤日和さん:
最初、揺れを感じた時点で机の下に逃げてと言われ、机の下に逃げた
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
津波が来るまで、ここにいたわけではない?
語り部 近藤日和さん:
この坂に続く門があって、そこからみんなで日和山に逃げようとなった
中学生たちは当時、近藤さんが避難した坂を実際にのぼり、あの日の様子を追体験した。
語り部 近藤日和さん:
想像よりもすごく大きな波が来て、本当に灰色の液体、それが押し寄せてくるのが見てわかった。本当にこれが現実なのかと考えた
参加した中学生:
家族とかにも、津波って恐ろしいものだと、地震はやっぱり怖いと話をしようと思う
参加した中学生:
実際に被災した方の話を聞いて現実味が増した。やっぱり何かしなきゃいけないと思った
震災を直接経験していなくても、伝えられることはある。藤間さんはそう信じている。
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
一緒に防災とか、命のことを考えるって当たり前だよねっていう社会。そういう雰囲気作りをする仲間が増えたんだなって
西ノ入菜月 アナウンサー:
今後、どんな思いで活動していく?
3.11みらいサポート 藤間千尋さん:
焦らずに少しづつ仲間を増やしていく。そんな気持ちで続けていきたい
(仙台放送)