2022年2月のFNN世論調査で、岸田内閣の支持率は、1月の前回調査から4.3ポイント減って62.6%。昨年10月の政権発足以来、初めて内閣支持率が前の月から下落した。この背景には何があるのか。

内閣支持率初下落 不支持の理由トップは「実行力に期待できない」

FNNは、2月19・20日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1,011人から回答を得た。

調査で、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、1月の調査から4.3ポイント減って62.6%。「支持しない」と答えた人は3.2ポイント増えて30.0%だった。

発足以来6割台の支持率を維持している岸田内閣にとって、初めての下落だ。

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岸田内閣を「支持する」と答えた人に、その理由を聞くと、「他によい人がいない」(40.1%)が最も多く、「実行力に期待できる」(19.7%)、「自民党中心の内閣だから」(17.6%)、「岸田首相の人柄が信頼できる」(18.3%)と続いた。

一方、岸田内閣を「支持しない」人に、その理由を聞くと、「実行力に期待できない(49.4%)が最も多く、「自民党中心の内閣だから」(22.6%)、「政策がよくない」(16.6%)、「人柄が信頼できない」(4.6%)と続いた。

新型コロナ対策「評価する」が初めて5割割る

特に注目されるのが、政府の新型コロナウイルス対策への評価だ。

今回、「評価する」人が46.9%と、政権発足後初めて5割を切った。また、「評価しない」人は42.8%と初めて4割を超えた。

コロナ対策への評価が下がったことが支持率に影響したものとみられる。

実際、政府のコロナ対策を評価する人を見ると、83.1%が岸田内閣を支持している。一方、評価しない人を見ると、岸田内閣を支持している人は42.8%。コロナ対策への評価が支持率を左右する状況がうかがえる。

岸田内閣発足直後は、新型コロナの感染が落ち着いていたが、今年に入って、感染が急拡大した。これにともない、政府の対応に対する不満も徐々に出てきたものと見られる。

ある自民党議員は21日、支持率の下落について、「ジリジリ下がっているが、結局はコロナ次第だ。夏の参院選までこんな感じかもしれない」と懸念を示した。また、別の議員からは、「コロナ以外のタマが現状不発なので、コロナの減点がそのまま評価に響く」との声が聞こえる。

新型コロナワクチンの3回目の接種について、政府の対応の遅れが指摘されたことも、支持率下落の要因とみられる。

世論調査では、3回目接種について「早く接種したい」(29.4%)、「急がないが接種したい」(37.5%)をあわせると、66.9%が「接種したい」と答えた。「接種したくない」人は11.4%だった。国民の3回目接種への関心は強い。

“まん延防止”、水際対策の緩和 有権者はどう評価

さらに、政府のコロナ対策への評価を見てみたい。

政府は、21日からまん延防止等重点措置を適用する地域を31都道府県とした。この対応について、「適切だ」と思う人は30.5%。「地域によっては緊急事態宣言にすべきだ」と思う人が最も多く46.6%。「まん延防止等重点措置は必要ない」と思う人も20.8%いた。政府の対応への世論の評価は割れている。

オミクロン株の感染が拡大する中、飲食店の営業など経済活動を制限する必要性についても聞いた。「とても必要だ」(8.5%)、「ある程度必要だ」(60.0%)をあわせて「必要だ」と思う人が7割に迫る一方、「あまり必要ではない」(25.0%)、「まったく必要でない」(5.7%)をあわせて「必要でない」と思う人が3割だった。

政府は、外国人の新規入国を原則停止している現在の水際対策について、3月から、観光目的以外の外国人の新規入国を認めるなど、緩和する方針だ。これについて、「緩和は適切だ」と思う人は50.0%。「緩和するべきでない」と思う人は36.9%だった。また、「外国人の入国停止を完全に解除すべきだ」という人も10.2%いた。水際対策の緩和への評価も割れている。

新型コロナは、感染症法では、結核などと同じ隔離措置が必要な「2類相当」となっている。これを季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更すべきだとの声が出ている。これについて世論調査では、「5類の扱いにするべきだ」が58.2%で、「2類相当の扱いを維持するべきだ」(36.9%)を上回った。

5類に変更すべきだという人は、業務が逼迫している医療機関や保健所の負担が軽減すると主張する。一方、岸田首相は17日の会見で、「健康状態の報告・把握、外出自粛等の要請、入院措置ができなくなる。今まだ感染拡大の心配が世の中で感じられている中、分類を変更することは現実的ではないのではないか」と慎重な姿勢を示した。

政府関係者は、今回の調査結果に「まん延防止等重点措置より緊急事態宣言と答える人が多いのに、5類相当にすべしという人が多いのは不思議だ」と疑問を示す。

感染拡大を続ける新型コロナウイルス。出口への明確な道筋がなかなか見えない今、岸田首相の“実行力”が問われている。

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久) 

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三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。