病気や障害のある家族の介護やきょうだいを世話する子ども、いわゆる「ヤングケアラー」について、沖縄県が初めて実施した調査の結果が2月10日に公表された。県内には少なくともヤングケアラーと思われる子どもが約1100人いて、その半数が学校生活に影響が出ていることがわかった。

小学5年から高校3年のヤングケアラーたち

ヤングケアラーに関する調査は2021年11月、県内の小学校5年生から高校3年生までの学級担任を対象に実施され、7割にあたる3082人から回答を得た。

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その中でヤングケアラーと思われる子どもの人数は、小学5・6年生で239人、中学校で508人、高校では341人と少なくとも1088人いることがわかった。

子どもの状況で最も多いのは「家族の代わりに、幼いきょうだいを世話をしている」が43.6%、次いで「障がいや病気のある家族に代わり、家事をしている」が13.8%となっている。

ヤングケアラーと思われる子ども1088人のうち48.1%にあたる523人が、実際に学校生活に影響が出ていると考えられ、どのような影響が出ているかについては「学校を休みがちである」(20.2%)や「精神的な不安定さがある」(15.0%)といった回答が多くなっている。

数字は氷山の一角 実態は倍か3倍の人数か

今回の調査について沖縄大学の名城健二教授は、ヤングケアラーの実態を把握する上で大きな意義があると評価する。ただ浮かび上がった数字は、氷山の一角だと考えている。

沖縄大学 名城健二教授:
おそらく実態としてはこの倍、3倍はいるかと思います。子どもたちは家が大変だとそれを隠そうという傾向もありますので、そうなると実は学校も周りの機関も気づきにくい

また今回の調査では、学校生活に影響が出ている子どもへの対応として、見守りの継続が24.4%、教職員間での情報共有は18.7%と比較的行われている一方、スクールカウンセラーや外部の支援機関との連携は8%~9%に留まっていることがわかった。

沖縄大学 名城健二教授:
発見はできたけども、発見しっぱなしではダメだという話なんですよ。困っているご家庭、子どもの状況が分かってきた、どう具体的な支援をするかという事を考えて行かないといけないですね

県は2022年度、児童・生徒に対象を広げて改めて調査を実施し、ヤングケアラーの早期発見をはじめ、どう支援に繋げていくか検討していく方針だ。

(沖縄テレビ)

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