植物の生命力の強さには驚かされることがある。今、床下に保管していた、野菜の驚くべき姿がTwitterに投稿され、話題となっている。

Twitterユーザーのおこめさん(@gohan_hoka_hoka)が投稿した画像に映るのは、フタをあけた状態の床下収納。そこからは紫と白色をした細長い“触手”、または“芽”のようなものがニョロニョロと伸びている。

床下収納から現れた触手のようなもの(提供:おこめさん)
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おこめさんによると、これは床下収納の中で2021年の夏頃から放置されたジャガイモの姿。ジャガイモをたくさんもらったものの、人に分けても食べきれず、余った分をしまっていたのだそう。

よく見るとたしかに黄色っぽい芽があり、そして、収納の奥にはジャガイモが入っているのだろう段ボール箱も確認できる。閉ざされた空間の中でもジャガイモは芽を伸ばし続けていたようだ。

やばい。床下収納久々に開けたらジャガイモの芽の樹海できてて心臓跳ねた。

「ジャガイモの芽の樹海」と表現する衝撃的な姿にはTwitterでも「生命力を感じる!」「どこをどうしたらそうなる」といったコメントの他、「私の母の車の座席の下に同じものを見つけた事があります。」と同じ経験をした人からのコメントが寄せられ、2万いいねがつく話題となっている(2月1日時点)。

一度閉めて、心を落ち着かせてからもう一度見た

「そういえば…」と片付けていたことを忘れてしまう経験をした人は多いことだろう。しかし、思い出して確認した結果、これほどまでに姿を変えていることはあまりないかもしれない。

おこめさんを始め、投稿を見た多くの人を驚かさせたジャガイモだが、気になるのはその後。どうしたのか、おこめさんに話を聞いた。


ーーなぜ床下収納を今になって開けたの?

部屋の掃除をしていて、ふと床下収納に何かしまったことを思い出して掃除をしようと思ったからです。匂いや違和感はありませんでした。


ーー発見した時、どう思った?

心構えをせずにフタを開けたので、ギョッとして飛び上がりました。一度閉めて、心を落ち着かせてからもう一度見てみて写真を撮りました。未知の生物のようで恐怖を感じました。また、何もない空間でこんなに芽を伸ばせることに、生命のたくましさを感じました。

上から撮影した様子(提供:おこめさん)

ーー何個くらいジャガイモをしまっていたの?

20〜30個ほどあり、ほぼ全てから芽が出ていました。芽が出ていないものは数個ありましたが、しぼんでダメになっていました。

現在は床下収納は空っぽ「当分使わない!」

ーー約半年も放置していたが、ジャガイモの存在を忘れていた?

床下収納なら光が当たって緑色になることもないので安全かと思い、長持ちさせたくて入れておいたら見事に存在を忘れてしまいました。


ーージャガイモはその後どうしたの?

地域的に雪が多いこともあり、植えて育てられる環境もないので、ごめんなさいと手を合わせてから袋に入れてすぐに燃えるゴミの日に出しました。床下収納は使い方が分からず、掃除して空っぽになっています。

現在は掃除して空っぽに(提供:おこめさん)

ーー投稿には多くの反響があるが?

ここまでツイートへの反響が大きかったことは初めてで驚きました。○○に似てる、○○に出てきそう、というコメントなどを見て共感したり笑ったりで楽しませてもらいました。同じように芽が伸びてしまった経験がある方も多く、あるあるな現象かつ、ここまで伸びて衝撃的な見た目になることは珍しいことなのだろうと改めて感じました。

また、ジャガイモと一緒にリンゴを一つ入れておくとジャガイモの芽が出るのを抑えられ(ジャガイモが)長持ちする、という知恵を教えてくれる方もおり、実践してみたいと思いました。床下収納は忘れてしまうので、これに懲りて当分使わないかと思います!

よく見るとジャガイモらしき姿が奥に確認できる(提供:おこめさん)

ジャガイモは残念ながら捨てる結果となってしまったが、ツイートの反響でジャガイモの保管方法の知識を知ることができたそうで、悪いだけの結果にならなかったのが幸いかもしれない。

芽の部分には毒素が多く含まれる

おこめさんは燃えるゴミに出して処分したというジャガイモだが、芽が伸びてしまったら食べることはできないのだろうか?また、ジャガイモの芽には毒があるとも聞くが、生長した芽に問題はないのだろうか?

ジャガイモの毒について、農林水産省の担当者に教えてもらった。


ーーそもそもジャガイモはどういった毒を持っているの?

グリコアルカロイドという種類の物質です。グリコアルカロイドにはさまざまな種類があり、主にナス科(ジャガイモもナス科です)の植物に含まれています。ジャガイモに含まれるグリコアルカロイドは、主にソラニンやチャコニンと呼ばれる物質です。

これらの毒素は、ジャガイモに長時間光が当たったり(光が当たるとジャガイモの表面が緑色に変化します)、傷が付いたりすると増え、特に芽や皮の部分に多く含まれることが知られています。


ーーその毒を食べると、どのような悪影響がある?

毒素を多く含むジャガイモを食べたことで、吐き気やおう吐、下痢、腹痛等の消化器症状、頭痛、めまいなどが起きたとの報告があります。

なお、栽培、流通、家庭の各段階で適切な管理がされれば、天然毒素は増えません。市場で流通しているジャガイモは適切に栽培・管理されていますので、購入したジャガイモを適切に保存・調理すれば安全に食べられます。
※ジャガイモのソラニンやチャコニン以外にも、植物体内で生成される天然の毒素は多くあります。これは、虫や動物など外敵に食べられないようにするためであるという説があります。


ーー今回の投稿のように生長してしまった芽にも毒はあるの?

伸びた芽に、どれくらいの毒素が含まれているのか、といった知見は持ち合わせていませんが、出たばかりの芽の部分には、毒素が多く含まれることが知られています。このため、伸びた芽についても口に入れたり、食べたりすることは食中毒を起こすおそれがあり危険です。


ーー芽が伸びてしまったジャガイモは食べられないの?

毒素は芽に多く含まれますが、イモ内部に多く含まれるわけではないため、少しくらいの芽が出たジャガイモは、周辺部を含めて芽をしっかり取り除けば、食べることができます。

ただし、ツイートされた写真のような状態になったものが食べられるかについては、知見はありません。

芽が出たジャガイモ(出典:農林水産省Webサイトより)

なお、通常の畑で育つように緑色の茎や葉に成長せず、ヒョロヒョロと伸びてしまったのは、今回のTwitter投稿のように床下収納など、暗い場所で長い期間保管し、そして温度などの生育条件が揃ったことで、「もやし」が育つのと同じ原理で、光を求め芽が徒長してしまったからだそう。

芽が出ないうちに使い切ってほしい

ーージャガイモはどれくらい放置すると芽が伸びる?

ジャガイモの品種や、保存する環境条件(温度、湿度、明るさ等)、購入する前のジャガイモの状態等によって異なるため一概には言えませんが、一般的に、収穫後3~4カ月を過ぎると休眠が明け、室温に置いておくと芽が伸び始めます。


ーーでは、適切なジャガイモの保存方法は?

保存する場合は、芽が伸びないようにするほか、毒素の増加(光が当たるとジャガイモの表面が緑色に変化し、毒素も増加します。)や腐敗を防ぐ目的も含めて、光が当たらない(できるだけ真っ暗な場所)、涼しくて風通しが良い場所で保存して下さい。

なお、ジャガイモは低温で保存すると、芽の発生や伸長を抑制できますが、ジャガイモの糖分が増えて、調理した際に焦げやすくなるので、農林水産省では夏場などを除き、冷蔵庫での保存はお勧めしていません。夏場に冷蔵庫で保存する際も、冷蔵室ではなく野菜室で保存しましょう。いずれにしても、芽が出ないうちに、使い切ることをお勧めします。


ーー芽の他に、ジャガイモで注意すべきことはある?


ジャガイモを料理するときには、芽が伸びているかのほかに、表面が緑色に変色していないかについても、よく確認してください。皮が緑色に変色していたら、イモに光があたってしまった印です。緑色でなくなるまで皮を厚く剥いてから調理してください。

左:緑色に変わったジャガイモ 右:色の変わっていないジャガイモ(出典:農林水産省Webサイトより)

植物の生命力は私たちの想像を超えることもある。適切な保存方法で、変化の出ないうちに使い切るように注意してほしい。

記事 4304 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。