融資仲介受けた会社関係者が証言、遠山事務所を介した融資の実態

遠山清彦事務所を介した融資とは一体どんなものなのか。家宅捜索から2ヵ月が経った10月中旬頃、実際に融資を仲介されたと話す一人の男性に出会った。

男性は、牧厚被告(※遠山被告とともに在宅起訴された環境関連会社会長)と以前から知り合いで、自身がオーナーを務める会社の事業資金として日本政策金融公庫から1000万円を借りたいと牧被告に相談した際、遠山事務所を介しての融資を勧められたという。

牧被告:遠山事務所の紹介だとほぼ間違いなく融資が下りる。遠山被告は俺がかわいがっている人間で、将来間違いなく公明党のトップになる人間だ。融資が決まったら、手数料として5%欲しい。

日本政策金融公庫の借用書控え(資料より)
この記事の画像(5枚)

牧被告に促されるまま、男性が融資を依頼すると驚くほどスムーズに話が進んでいったという。

融資を仲介された男性:日本政策金融公庫で申し込みをすると、後日面談があるので、『日程を改めて連絡します』と言われました。申し込みをしましたと牧被告に相談すると、『遠山事務所の方に話を通しておく』と言われました。その後、日本政策金融公庫の融資課長からも『遠山事務所の方から話は通ってます。こちらの方で担当者をつけておきますので、当日はその担当者宛に行ってください』と言われました。

「遠山事務所側から話は通っている」とすぐに担当者が決まったという。

融資を仲介された男性:当日の融資の面談の流れとしては、銀行の通帳や会社の決算書などの必要書類を持って行きました。『遠山事務所の方から話は聞いてます。後日、融資額を決定してまた連絡します』という形で、スムーズに終わりました。

その翌日には1000万円の融資金額が決定し、男性はとても驚いたという。男性は、その後、牧被告から喫茶店に呼び出され、事前に要求されていた5%に相当する50万円を手数料として現金で手渡した。現金を笑顔で受け取った牧被告が“コロナバブル“と言う言葉を口にしていたのが印象的だったと話す。

融資仲介を受けた男性は、すぐに融資金額1000万円が決まり、驚いたという

牧被告:連絡を取らなくなっていた人間が、コロナで大変だからと久しぶりに連絡をしてくる。都内だけでなく地方からも連絡が来て、1日に3~4件ぐらい融資の相談がくる。でも、手数料を取れるから、ある意味、“コロナバブル”なんだよ。

実際に牧被告は手数料を取っていたのか。記者が問いただすと牧被告は重い口を開いた。

牧被告:手数料は融資を受ける人によって変えていた。融資額の2%~5%に当たる額を手数料として取っていた。日本政策金融公庫など他の金融機関も含めて、遠山事務所を使って100件以上の融資に関わった。

「永田町の慣習」に捜査のメス、なぜ特捜部は遠山被告らを立件したのか

議員の事務所で主に秘書が口利きを行うことは昔からあり、永田町関係者の間ではそういった口利きは「永田町の慣習」とされ、いわば昔から当たり前に行われてきたことだという。つまり、これまでも日本政策金融公庫のみならず、金融機関の担当者を紹介することは議員事務所で日常的に行われてきたのだ。

では、なぜ今回遠山被告らが貸金業法違反の罪で在宅起訴されることになったのか。複数の法務・検察幹部は「永田町の慣習」にメスが入った経緯についてこう話した。

法務・検察幹部:一般的に公庫などへ口利きをする場合は、依頼者から頼まれてやる場合が多く、口利きを単発でやっている議員や秘書は他にもたくさんいる。しかし、遠山被告らの場合は、“ビジネス”としてやっていた。つまり、謝礼をもらって、“業”としてやっていたことが立件の一番の決め手となった

あす法務・検察幹部は『国会議員の名をかたったブローカーが犯した犯罪』と指摘した

遠山被告はあわせて111件の不正な融資仲介を行い、それに伴ってあわせて1100万円超の手数料を受領していた。特捜部は“業”として行われたこれらの行為に謝礼が伴っていることを悪質とみて、貸金業法違反の罪で在宅起訴した。

また、遠山被告は2019年9月から2020年の9月まで日本政策金融公庫を所管する財務省の副大臣を務めていた。財務副大臣在任中にも牧被告らから金銭が渡っていて、当初、特捜部は贈収賄事件での立件も視野に捜査していたが、財務副大臣在任期間に関係なく、無登録の貸金業を行って謝礼を得ていたことや、副大臣の職務権限を利用し指示を出したという証拠が薄かったことなども含めて捜査を続けた結果、贈収賄でなく貸金業法違反の罪で立件した。

ある法務・検察幹部は「『財務副大臣が犯した犯罪』というよりむしろ『国会議員の名をかたったブローカーが犯した犯罪』と事件を位置づけた方が本質的だ」とも説明した。

遠山被告の初公判は2月14日に期日指定された

コロナで困っている事業者のための“特別融資”が、ブローカーらの“食い物“にされた今回の事件。当時現職の国会議員で“公明党のプリンス”とも呼ばれた遠山被告が、事務所ぐるみで関与していたことも明らかになった。2月14日からは裁判も始まる。遠山被告らは、法廷で何を語るのだろうか。

公明党は「政治の信頼を揺るがしかねない問題を招いてしまった責任を深刻に受け止めている。信頼回復に向けて取り組んでいく」とコメントしているが、“プリンス”1人の失脚により再発防止に繋がるのか、どう信頼回復していくのか、有権者らから厳しい目が向けられている。

(フジテレビ社会部・司法クラブ 熊手隆一)

社会部
社会部
記事 620