廃棄の約4000本をドライフラワーに
まだキレイなのに、不揃いだったり売れ残ったり、様々な事情で捨てられてしまう花は「ロスフラワー」と呼ばれている。一般的な生花店では、仕入れた花の3~4割が廃棄処分されるという。
このロスフラワーをドライフラワーにして再利用するなど、花に新しい命を吹き込む人たちがいる。彼らは、美しい花たちの悲しく儚い現実を変えたいと活動している。
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名古屋駅前の商業施設「KITTE名古屋」のエントランス。2021年の冬、大きなクリスマスツリーが設置された。
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高さ13メートルのツリーを彩る約4000本のドライフラワーは、もともと生花店や結婚式場で廃棄処分された花たちだ。
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KITTE名古屋の担当者:
様々な事情で、売り物にならないお花を再生させる取り組みをしているフラワーアーティストさんを知って、ぜひ当施設でも発信したいと。お花を主役にすることで「再生」を表しております
まだキレイなまま捨てられるロスフラワーが、ツリーに飾ることで生まれ変わった。
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女性客:
「ロス」ってついていても、最初気がつかなくて…。かわいいっていうイメージだけ
女性客:
「再利用」というより、もっといい名前をつけてあげたい。こうなるために生まれてきたって、お花に思ってもらえるといいですよね
花は色落ちしやすい 湿度調整を心がけて
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東京・渋谷区にある「RIN」では、全国の生産者や生花店などから廃棄処分される花を買い取り、ロスフラワーの再生などをしている。
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RINの担当者:
多いときだと20~30箱届く。お花って、咲いてしまったらあまり売れないんですね。お渡しをするときにキレイな状態でないといけないので、咲ききってしまったものは商品にならない
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売れ残ったり、出荷できなかったり、結婚式やイベントで短い役目を終えたり…。そんなロスフラワーを乾燥させてリースやブーケなどを作っている。
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RINの担当者:
早くドライにしないと色がどんどん落ちてしまいますので、湿度調整はかなり厳重に見ています
すでに色落ちしてしまったものは、ドライフラワーにした後に染色などを施す。新たな命を吹き込まれたロスフラワーは、ホテルや商業施設などを彩っている。
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2020年は名古屋駅のナナちゃん人形のフラワードレスに。2021年には、KITTE名古屋のクリスマスツリーになった。
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RINの担当者:
花が身近にあること、文化にしていくことのきっかけを作れれば。フードロスと同じように、お花にもロスが出てしまっている。まずはその概念を知ってもらうことで「どうやってそれを無くせるのか」と考える人が、1人でも多く生まれることが必要
道の駅で花を再生、色鮮やかな新しい菊の開発も
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全国有数の花の産地、愛知県田原市のバラ園では…。
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バラ園の経営者:
こちらが長くてしっかりした市場用で、こちらの短いお花を選別しています。枝がしっかりしたものを出荷しています。同じようにキレイに咲いてはいるが、ちょっと細かったり短かったりするので…
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茎が曲がっていたり細かったり開きすぎたり、愛情をかけて育てても出荷できずに廃棄される花がたくさんある。悩める農家のために、地元の道の駅ではある取り組みを始めた。
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道の駅の担当者:
売れ残ったものとか、生産者さんの方で市場の出荷に向かないものをドライにして販売しております
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3年前に購入した食品用の乾燥機をドライフラワー用に改造。試行錯誤を繰り返し、5時間で150本のドライフラワーを作れるようになった。
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鮮やかな色の新しい菊「カラーリングマム」は、2021年12月に初めて出荷した。
JA愛知みなみの担当者:
ハウスで満開にさせて、それを専用の染色液で染めて作っています。菊は今まで「仏花」というイメージがあったんですけが、これからはハレの日とか記念日、ブライダルに使って頂きたい
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菊の花は、コロナの影響で葬儀が減り需要が激減。小規模な家族葬も増えたため、今後も先細りの状況だ。そんな中、田原市は「カラーリングマム」を開発。勉強会を開き、約20軒の農家が生産できるようになった。
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また、地域の花を毎月自宅のポストに届ける定額サービス、田原の花の定期便「タハナ」(3カ月 4500円~)もスタート。ひと月で360セットが売れた。
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まだキレイなのに捨てられるロスフラワー。一般的な生花店で仕入れた花の3~4割が廃棄処分されるといわれている。
バラ園の経営者:
少し曲がっていても、「(市場に)出せないけどキレイだな」と。自分たちも嬉しいし、花も一生懸命そこまで成長して、喜んでくれるかなと
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美しい花たちの悲しくて儚い現実を変えたい…。ロスフラワーの再生などをしている「RIN」では、花が身近にある文化が広まり、花の需要が増えて花のロスが無くなる、そんな世界を願っている。
(東海テレビ)