トラック、船、鉄道といった「複数の輸送機関を利用する貨物輸送」のことを「モーダルシフト」という。CO2の排出量を減らせることから、全国的に取り組みが進んでいる。
こうした環境問題や慢性的なトラックドライバー不足、さまざまな課題を抱える長距離運送にも、働き方改革ならぬ「運び方改革」の風が吹いている。愛媛の最前線を取材した。
効率的に貨物を運べる「RORO船」
この日、開かれていた見学会。まるで何かの工場の内部のようだが、この場所は大きな船の中。全長約190メートルにも及ぶ巨大船の正体は「RORO船」。
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大王海運・曽我部雅司社長:
日本を走ってる船、RORO船としては最大級になります
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「RORO船」、この船が運ぶのはトラックの荷台部分をはじめとした貨物。
大王海運・曽我部雅司社長:
これはトレーラーが自走をしながら中に上がっていけて、船内でヘッド部分を切り離してっていうことで
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トレーラーを連結したまま、トラックがタイヤを転がして「ロールオン」。乗って到着して、今度は「ロールオフ」、降りるから「ローロー船」と呼ばれている。
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その内部はというと…
大王海運・曽我部雅司社長:
この船、4層構造になっておりまして、ここがメインデッキと言われる層になります。ここでトレーラーシャーシが約80台くらい積載が可能です
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夜になり、RORO船への貨物の積み込みが始まった。活躍するのはトレーラーヘッドと呼ばれるけん引車。
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この日、積み込む荷台は約50台分。これを6台のトレーラーヘッドで積み込んでいく。船に乗り込むとすぐさま切り離し、次のトレーラーを取りに行く。連結にかかる時間はわずか数十秒。地上の係員とも息ぴったりに、次々とトレーラーをつないでいく。
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一方、船内でもチームプレー。息つく暇もない作業が続く。熟練のドライバーが積み込むトレーラーの間隔は狭く、これぞプロの技。
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この日、約50台のトレーラーを積み込むのにかかった時間は50分ほど。効率よく積み込みの作業ができるのもRORO船の特徴。
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元長距離ドライバー:
(長距離トラックに乗っていたころは)睡眠とれんとか、事故・リスクも高いし、(RORO船で)運んだらリスクも減るし、僕らドライバーは。画期的だと思います
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トラックドライバーが目的地まで1人で長距離運転せず、船で運ぶため、ドライバーにかかる負担は大幅に軽減される。
四国中央市に本社を置く大王海運では、19年前に四国で初めてこのRORO船事業を始め、愛媛から関東に向けて3隻で週6便運航している。
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2021年に入って、うち2隻をさらに大きな船へと事業を拡大。その背景にはトラック輸送だけに頼らないモーダルシフトへの大きな波があった。
大王海運・曽我部雅司社長:
モーダルシフトは1980年代以前から言われてまして、70年代頃のモーダルシフトはその目的がオイルショック以降の省エネが対象だったんですね
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数十kmの運転で遠くに届けられる
大王海運・曽我部雅司社長:
さらに近年、この5年、10年は環境と労働問題を同時に解決できる手段として、モーダルシフトをしましょうと移り変わってきています。私たちは20数年前にこの事業を始めた時から、将来的にはこういうことになるんだろうと言われてましたので、その先駆けということで、四国で初めてRORO航路を持ってきたということですね
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慢性的なトラックドライバーの不足に加えて、2024年にはドライバーの時間外労働上限規制を定めた法律も施行されることから、貨物の発注主である企業側のモーダルシフトへの注目も高まっている。
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大王海運・曽我部雅司社長:
ほんの1日、数十km走るだけで関東まで荷物が行ってしまう。これは画期的だと思います
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大王海運・曽我部雅司社長:
今、SDGsを含めて環境というフォローの風が吹いていて、これはやまないと思いますので、この風にしっかり乗っかって、さらに事業が拡大して、お客さまの役に立てればいいなと
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環境に配慮しながら、働く人の負担を軽減し、生活も守る。物流輸送の新潮流は加速している。
(テレビ愛媛)