“産業のコメ” 半導体が不足…巣ごもり需要にも打撃

スマートフォンやテレビ、ゲーム機など、身の周りの様々な製品に使われている半導体。新型コロナによって今、世界的な半導体不足に見舞われ、私たちの暮らしにも様々な影響が出ている。

名古屋市南区で住宅の水回りの設備工事を行っている西村美昭さん(60)。

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白鳥水道工業所の西村美昭さん:
ガス給湯器の「リンナイ」さんなんですが、納期遅延に関するお詫びとご案内となっております
(Q.どんな物が遅延している?)
全般ですね。ガスに関わる給湯器というのか、浴室暖房ですとか
(Q.ご主人のところには?)
入ってこないですね

寒くなる今の時期は例年給湯器の注文が増えるが、半導体不足の影響で手に入らないとのこと。

西村美昭さん:
寒いのにお湯が欲しい時に、普段でしたら1日・2日待ってもらえれば対応できるんですが、今はまったく目途がたってないので

影響は他にも出ているそうで…

西村美昭さん:
接触しなくても使える自動水洗ですとかウォシュレット、そういったものを提案しているんですけど、これも現在、工事そのものは受注いただいているんですけれども、納期の確定ができないので、まだ工事の計画が立てられない状況であります

トイレに欠かせない「温水洗浄便座」も、商品が届くまで工事が進められない状況だ。

給湯器以外にもスマホやパソコン、液晶テレビなど、暮らしに欠かせないあらゆる製品に使われ、「産業のコメ」とも呼ばれている半導体。

新型コロナによる「巣ごもり需要」により、パソコンやWebカメラ、ゲーム機などの「需要」が拡大していたが…

「供給」面では、コロナ禍で各地の半導体関連工場が操業を停止。物流の混乱が発生し、世界的に半導体が足りない状況となった。

半導体不足の影響を大きく受けたのが自動車業界。トヨタや日産など国内の主要8社の2021年10月の国内生産台数は、前年の同じ月に比べて約4割減った。

そしてゲーム機。ニンテンドーは主力の「スイッチ」について、2022年3月期の販売台数は当初の計画より150万台少なくなると見通しを発表している。

いわゆる巣ごもり需要で「スイッチ」の売上は伸びていたが、最も販売数が増えるクリスマス商戦を前に減産となった。

デジタルカメラも、ソニーは11月にデジタル一眼カメラなど一部商品について受注の停止を発表した。こちらも書き入れ時のボーナス商戦に影響が出そうだ。

電子ピアノなどの電子楽器も品不足に。

ヤマハミュージックリテイリングの担当者:
電子ピアノであったりとか電子ドラムとか。納期をお待たせしているというのが現状です

こちらのメーカーでは、人気商品だと納品に3カ月以上かかるとのこと。

例年、クリスマスや年末に電子楽器を購入する人が多いそうで、楽器店にとっては大きな痛手だ。

ヤマハミュージックリテイリングの担当者:
お客さまがここにお越しいただく際には、「よし、これから始めるぞ」もしくは「購入するぞ」と意思の強い方もいらっしゃいますので、そういう方には大変ご迷惑をおかけしている

影響が広がる半導体不足。専門家は当面、厳しい状況が続くとみている。

中京大学経済学部の内田俊宏客員教授:
半導体不足が解消される見通しは、数年間難しいのかなと思いますね。クリスマス商戦、年末年始の商戦にむけても品薄になっていますし、家電製品などでも本当に買い替えを直近で考えている方は、ある程度在庫があるうちに購入をしておく

(東海テレビ)

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