ミートショックと呼ばれる輸入牛肉の値上がりで家計への影響が続いているが、北海道民の食卓に欠かせないあの肉にも影響が及んでいる。

北海道民のソウルフードと言えばジンギスカン。北海道で焼き肉といえば、真っ先に思い浮かべる人も多い。

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北海道民のソウルフード「ジンギスカン」

1人前500円台で食べられる定食などもあり、その「安さ」も魅力のひとつだ。

客:
ジンギスカン大好き。10日に1回は食べます

しかし、牛肉に続いて、ここにも値上げの波が…。ジンギスカンが手軽に食べられなくなる日がくるかもしれないのだ。

札幌市内のスーパーでは値段が上がっている。

値上げの波がジンギスカンにも…

ホクノースーパー中央店 精肉部バイヤー 木下 善雅さん:
ニュージーランドのラムショルダーで、100グラム216円で売っていたものが248円になりました。年々価格が上がっていますが、夏にかけて急激に上がった状況です

客:
今まで食べていたのが、高くて食べられなくなりました

客:
考えながら食べようと思います

道民がちょっと戸惑う値上がりの影響は、コロナ禍で苦境が続く飲食店にも及んでいる。
このジンギスカン専門店では時短要請の解除で賑わいが戻りつつあるが、手放しでは喜べない状況だと言う。

ブレンドワークス 前川 裕一 社長:
オーストラリア、ニュージーランド産がだいたい1.4倍に高騰しています

実は、私たちが口にしている羊の肉の99%は、ニュージーランドやオーストラリアなど海外からの輸入肉だ。
この輸入価格が、2000年には1キロ200円ほどだったが、その後上昇傾向が続き、2020年は、1キロ699円と2000年と比べて3倍以上の値段にまであがっている。

ブレンドワークス 前川 裕一 社長:
過去から見ると考えられない値段になってきています。この状態が続くと、価格を改定する検討を始めています

一体なぜ、こんなにも価格が上がっているのだろうか?

ホクノー中央店 精肉部バイヤー 木下 善雅さん:
一番の原因は、世界的に羊肉の需要が上がったこと

世界的な"需要増加"に"コロナ禍"も影響…

以前から羊を食べる文化のある中国などに加え、アメリカや韓国などでも注目されていることがあると言う。
さらに…

ホクノー中央店 精肉部バイヤー 木下 善雅さん:
エサの高騰やコロナでの人員不足も要因

飼料高騰やコロナの影響も及んでいる状況。今後の見通しは?

ホクノー中央店 精肉部バイヤー 木下 善雅さん:
下がる要素がないので、上がる要素しかありません

一方、羊の肉の高値は、意外にも北海道の生産者にとっては追い風になるかもしれない。希少な国内産約160トンのうち、8割ほどは北海道産だ。

国産の約8割生産の北海道には追い風か…

北海道美深町の松山農場。羊の肉やミルクを使った加工品を生産している。現在500頭ほどの羊を飼育し、主に本州のレストランに出荷している。

松山農場 柳生 佳樹さん:
この15年くらいで羊肉の人気が高まり、非常に高い値段で取引されています

ジンギスカンを多くの人に広める活動を行う、北海道遺産ジンギスカン応援隊でも、羊の肉の価値が変わってきていると感じている。

北海道遺産ジンギスカン応援隊 本田 美穂子 事務局長:
(羊肉は)ヘルシーで体を温めるなどいろいろな効果があります。牛肉や豚肉より健康価値が高いので、注目されているというのもあります

松山農場 柳生 佳樹さん:
北海道でニュージーランドのような風景が見られれば、観光客も喜ぶと思います。羊がたくさんいる風景を見て、北海道に来た時に肉を食べてもらえれば

北海道だけでなく、本州でも需要が高まっている羊の肉。
注目度があがれば北海道産の肉にもスポットライトがあたり、より多くの人がジンギスカンの魅力に気づく時代になるのかもしれない。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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