広島のがんばる人を応援するコーナー。今回は、思わず手に取ってしまう商品の「包み」を追求する人たちに注目。小さな工夫で印象を大きく変えるスゴ技と、その誕生秘話に迫る。

きっかけは東京のパン 3日で完売と大反響

パン屋さんでよく見かける食パン。特に珍しさはないが、包んでいる袋を笑顔のイラストが描かれたものに変えると、思わず手に取りたくなるかわいい食パンに大変身。

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ちょっとした工夫で印象がガラリと変わる。こうしたパンの包装を中心に開発販売しているのが、広島市西区のタイヨーパッケージ。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
カタログに載っている商品数は約3000。弊社は卸売りなので、扱おうと思えばいくらでも扱えます。扱い可能な包装資材は、数十万点になるんじゃないかと思います

数ある中でも一番のヒット商品は?

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
食パンが顔に見えるようなパッケージのシリーズになるかと思います。一番最初がこの「スマイル」。東京のパン屋さんに行った時、パンににっこり笑ったスマイルのマークの焼きごてを入れられて作っていらっしゃったのを見たんです

一つ一つパンに押された焼き印が、最初から袋にプリントしてあればもっと手軽なのでは…と考え開発されたのが、スマイル袋だったという。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
新商品で売れる商品は、だいたい半年から1年半ぐらいかけてジワジワ浸透して数字が伸びていくのがほとんどなんです。唯一この商品だけ、カタログが全国に届いて3日足らずで完売して、我々も反響に驚きました

現在、取り引きのあるお店は「アンデルセン」や「八天堂」など、全国展開する県内企業から町の小さなパン屋さんまで、その数なんと1万5000件。

創業時から付き合いがあるというパン屋では…。

手作りパン工房・ファジーペッグ:
タイヨーパッケージのは、かわいい商品が多いんですよ。食パンの袋も、もっといろいろ種類があるんですけど。お客さんの「あ、かわいい」という声はよく聞きます。毎年、カタログに色んな商品がどんどん新しく出てくるので、すごく楽しみにしています

パンの袋だけでなく、包装紙からシールにのぼりまで、パン屋を華やかに演出するための商品を幅広く取り扱っている。

「社員1人100案」コロナ知らず…新商品開発への熱意

このように順風満帆に見えるタイヨーパッケージだが、コロナ禍の影響は少なからずあった。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
特に2020年の2月~4月ごろは、この先どうなるのか分からないという不安感がありました。お客さまのご注文も減っていくとか、お店にうかがうと「閉めてます」とか、この先どうなるのか全くわからない、先が見えないというのは非常に悩むところがありました

そこで取引先のパン屋をまわり、お店の役に立てる商品を開発することにしたのだ。

タイヨーパッケージ従業員:
私は自転車を使って、2日間で40店舗近くのベーカリーをめぐりました。その中で、食パンの袋に「国産小麦」などのアピールするようなシールを貼ってPRされているような風景をよく見ました。

タイヨーパッケージ従業員:
いったん袋に入れたあと、さらにシールを貼るというのは手間なのではないかと考え、袋自体で食パンをPRできるような、「厳選素材」という文字が入った食パンの袋を2021年の春に販売しました。すぐに多くのお客さまから反応をいただき、多くのご注文をいただきましたので、やはり、それだけお客さまの心にヒットしたのではないかと考えております

こうした新商品の開発会議では、1つのルールがある。

タイヨーパッケージ従業員:
社員1人につき100案持ち寄るというルールがございまして。私も今回は50案くらいでちょっと限界を感じていたんですけど、なんとか視察のことを思い出したり、普段お客さまからいただくお問い合わせも思い出しながら、100案考え出しました。ですので、誰がといったものではなくて、全員が案を出し合って、話し合いを進めていく中で絞られていった商品になります

カレーパンを紙で包んだら売り上げUP「お客さま目線で」

さらに、コロナ禍で増えた個包装をヒントに誕生した商品も。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
飛沫防止でパンを袋に入れられるお店が増えまして、売り場的にどうしても難しいかな、というものもあったんです。特にそう感じたのがカレーパン。揚げておりますので、どうしても袋のフィルムに油が付いてしまって、個包装の袋に入れて販売していると、見た目的に商品の魅力が下がってしまうと思ったんです

そこで誕生したのが「カレーパン袋」。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
おいしくないカレーパンって食べたことがないと思うんです。カレー自体おいしいし、パン自体もおいしいし、揚げパンが本当においしいので、フィルムじゃなくて紙でいこうと。内側に油に強い材質を使って油染みを防ぎ、中身は見えないけど、おいしそうなカレーパンをイメージできるデザインにしようと。販売したところ、お客さまから「これに変えたら、安心・安全なだけでなく、パンの売り上げ自体が上がった」といったお声をいただきまして。本当にうれしく思っている商品です

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
お客さまのことをこれまで以上に考えるようになったと思います。お客さまが本当に求めているものは、声に出されるものではなくて、こちらから一生懸命考えて作ったものしか売れないんだと。

タイヨーパッケージ代表取締役・野村洋介さん:
言葉の先にあるものは何なのか、売り場や商品を見て、もしかしたらこれに困っているんじゃないか、足りないんじゃないか、こういう問題点があるんじゃないか、ということの解決を見つけていこうと。社員のみんなも私自身も、そういったお客さまの方をしっかりと向けるようになったというのが大きかったと思います

(テレビ新広島)