福岡県内問わず、全国で被害が絶えない電話による詐欺。新たに福岡県内では、百貨店をかたった詐欺電話の被害が、ここ最近 急増している。

ある詐欺被害の被害状況。3~4月頃から始まり、夏に少し増え、9月に入って急速にその数が増えている。
この被害、実は百貨店をかたった詐欺電話の被害状況だ。
百貨店といえば、われわれの生活にも身近な存在だが、どういった百貨店かというと、福岡市内や北九州など、特に福岡の人であればなじみの深い店舗ばかりをかたった詐欺がはやっている。

なぜ、多くの人がだまされてしまうのか。
今回、実際に「岩田屋」をかたった、百貨店かたりの詐欺被害に遭った人から話を聞くことができた。

親切にされ…「催眠にかかったように信じた」

福岡市内在住・被害に遭った80代女性:
オレオレ詐欺、それから振り込め詐欺は念頭にありました。それと1人暮らしですから、家に訪ねてくる人とか気をつけるということは念頭にありました

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福岡市内に住む80代の女性は、ニセ電話詐欺の被害に遭った一人で、約150万円をだまし取られた。

被害者の女性は、普段から知人に詐欺の注意喚起をして気をつけているというのだが、なぜだまされてしまったのか。

2021年6月、女性の元に岩田屋の従業員を名乗る「モリグチ」という男から電話があった。

岩田屋の従業員を名乗るモリグチ:
JCBカードを使って7万円の買い物をしたご婦人がおられて、確認のお電話です

百貨店の従業員を名乗る男からの電話
百貨店の従業員を名乗る男からの電話

女性のカードが不正利用されているという内容だった。

岩田屋の従業員を名乗るモリグチ:
カードの利用を止めるために、銀行協会へ連絡してください

百貨店の従業員を名乗る男からの電話
百貨店の従業員を名乗る男からの電話

福岡市内在住・被害に遭った80代女性:
カードが偽造されている。預金から引き落とされたらどうしようということで、即、教えられた電話番号に電話しました

伝えられたのは、050から始まるIP電話の番号だったが、焦りから女性は不審に思わなかったという。

電話に出たのは、銀行協会を名乗る「クドウ」という男だった。

銀行協会という安心感から、女性は「クドウ」と名乗る男を信用し、カードの暗証番号を教えてしまった。

“銀行協会という安心感”で暗証番号を…
“銀行協会という安心感”で暗証番号を…

福岡市内在住・被害に遭った80代女性:
親切さに、私も催眠にかかったように信じたというところはあります

親身に防犯のアドバイスをしてくれたことや、手元にキャッシュカードがある安心感から、だまされている自覚はなかったという。

銀行協会を名乗るクドウ:
カードの処理を見届けるため、近くにいる係員を向かわせます

そう言って、クドウは電話を切った。
その後、係員を名乗る「タナカ」が家を訪れた。

次に現れたのは「銀行協会の係員」を名乗る男
次に現れたのは「銀行協会の係員」を名乗る男

福岡市内在住・被害に遭った80代女性:
3枚のキャッシュカードを出したら、カード入れを出されて、「ここに入れましょうね」と言われました。さらにB5くらいの茶封筒の中にそれを入れました

封筒に割り印を押すように言われた女性が印鑑を取りに行くすきに、「タナカ」は空のカードケースが入った封筒にすり替えたのだ。

夕方、女性がすり替えに気づいた時には、すでに3つの口座から約150万円が引き出されていた。

事件を振り返り、女性は次のように反省する。

福岡市内在住・被害に遭った80代女性:
岩田屋デパートのモリグチから電話がかかってきた時に、「岩田屋さんにもう一度確認させていただきます」で切ればよかった。そしたら、あとの被害は防げた。それが私の教訓です

被害防ぐため…「その場で判断せず誰かに相談」

では、こういった詐欺被害を防ぐにはどうすべきなのか。福岡県消費者センターに対策方法を聞いた。

福岡県消費者センター・山内文恵さん:
高齢の方にとって、“百貨店はとても信用できるところ”ですので、そういうところを狙ったのかもしれないですね

福岡県消費者センター・山内文恵さん
福岡県消費者センター・山内文恵さん

福岡県消費者センター・山内文恵さん:
電話がかかってきたら、まずいったん切ってください。その場で返事をするのではなく、いったん切って、どなたかに相談すると言うのが一番だと思います

やはり、予防対策としては誰かに相談をすると言うことが一番なのか。
話を聞くと、3つのポイントが詐欺防止には大切だということだった。

一つ目は、「カードの不正利用」などの話を電話でされたら、まずその場で判断せず、身近な人や警察に必ず相談をすること。
次に、電話で暗証番号を聞かれるようなことは絶対にないということを認識しておくこと。
そして、面識のない人を家に上げないこと。
当たり前のことのようだが、被害を防ぐには改めて認識が必要だ。

福岡県警では、東警察署などにニセ電話詐欺防止の垂れ幕をかざしたりと注意を呼びかけている。
また、カード不正利用の話をされたら、とにかくまずは警察に相談してほしいと話す。

周りの人も、こういった詐欺電話があるのを意識すれば、身近な人を被害から守ることができるかもしれない。
“電話でお金の話は全て詐欺だ”というくらいの注意を払って、日頃から意識することが防犯につながりそうだ

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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