漂着から1カ月「キリがない…」

10月に初めて沖縄県の港や海岸に軽石が漂着して以降、約1カ月の間で北から南まで本島全域、それに離島まで被害が拡大している。依然として収束の見通しは立っておらず、漁業を生業とする海人たちは、漁の自粛を余儀なくされる日々が続き頭を抱えている。

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本島北部で漁業を営む与那城守幸さん。10月20日ごろから、与那城さんたちが拠点とする今帰仁村の運天原港に軽石が押し寄せた。

名護市で漁業を営む 与那城守幸さん:
とてつもない量ですからね。砂漠の砂をかき集めている感じで、キリがないだろうって思います

エンジンの冷却機能にも支障 オーバーヒートの恐れ

運天原港に押し寄せた軽石は、成分分析を控えているため大規模な回収や他の場所に移す作業が出来ず、今は小まめに取り除いていく事しかできない。広範囲に漂う軽石は、漁師の仲間が管理する養殖生け簀の中にも入り込み、誤って食べた魚が死ぬ被害も確認されている。

与那城守幸さん:
養殖用のマグロは、お腹が軽石でいっぱいになっているって言っていました。間違って食べてしまったみたいのが結構あるみたいですね

そして、漁師たちにとって最も深刻な被害は軽石による漁船のエンジントラブルだ。

与那城守幸さん:
ここから汲み上げる時にも軽石が詰まっちゃって。船体の中にも「こし器」っていうのがあるんですけど、その中にもいっぱい軽石が入るんですよ

与那城守幸さん:
そこから網目に詰まって、3つくらい構造があるんですけど、3つとも全部詰まる状態ですね

多くの漁船が、船底から汲み上げた海水でエンジンを冷やす構造となっているが、軽石がフィルターに詰まってしまい、冷却機能が働かなくなってエンジンがオーバーヒートを起こす恐れがある。

与那城守幸さん:
沖合でも軽石を避けるのが難しいくらいありますね。帯状に何キロも伸びていますから、どこ走らせても詰まるって感じですね。沖の方では魚がちょうど秋のシーズンに入ってくる時期なので、今一番いいときにダメージ食らった

玉城知事 政府に補償求める

沖縄県農林水産部 仲村哲統括官:
エンジントラブルの懸念から出漁を自粛している漁船が1200隻。これは県内の約4割に相当する漁船が営業自粛しているという状況です

沖縄県のまとめでは、11月2日の時点で実際にエンジントラブルが発生した漁船は、100隻に上っている。

沖縄県農林水産部 仲村哲統括官:
軽石の被害が、広範囲に渡ってていろんな業種の方に影響を与えていると認識していて、県としても非常に問題だということで、全庁あげて取り組んでいるというところでございます

沖縄県は軽石による被害額について現在「試算中」としているが、今後は養殖が盛んなモズクやアーサの被害も出てくることが見込まれていて、影響はさらに広がる見通しだ。

11月2日には玉城知事が上京し、漁船の損傷や養殖魚などの被害補償を政府に要請したが、現時点で漁業者への具体的な救済策はない。

大量の軽石が県内に漂着して約1カ月。与那城さんは現在、ほとんど漁に出ることは出来ないと話す。

与那城守幸さん:
軽石が船体とこすれて塗料がはがれ白い塗料が出てきて、茶色も出てきているんですよ。本体まで削れてしまう感じになりますね。この軽石が終わっても受けたダメージは大きいので、その作業に追われると思います

停泊しているだけでも故障のリスクがつきまとい、心配は尽きない。

与那城守幸さん:
災害なので止めることは出来ないと思うんですけど、(補償など)何も決まっていないというのが本当に怖くて。でも押し寄せてくるこんな状態だったので、何とも言えないですね

いつ収束を迎えるのか…。先行きの見えない不安が、海人たちに重くのしかかっている。

(沖縄テレビ)