ガソリン価格が値上がりし、ガソリンをはじめとする燃料価格の高止まり傾向が全国的に続いている。
特に鹿児島県は、レギュラーガソリン・ハイオク・軽油など、ほとんどの品目で全国的にも高値となっていて、運送業や農家などにも影響が出ている。
70台のトラックを持つ、鹿児島・南九州市知覧町の運送会社「幸和運輸」。
この記事の画像(13枚)タンクローリーが、給油所の地下タンクに燃料を入れ始めた。
田中慎介記者:
こちらの会社では、最大19.4キロリットルの軽油を保管できます。1リットル = 30円の値上がりだと、約58万円の負担増となります
資源エネルギー庁によると、2020年の11月ごろ、1リットル = 122.9円だった軽油の価格は、11月8日時点で158円と、実に35.1円も高くなっている。
幸和運輸・田中昭二社長:
去年はコロナ禍でダメージ。これから回復して取り戻そうという時に燃料高なので
“エコドライブ”でも…運送業者がもたない
この会社では、5年ほど前からドライバーの運転状況をリアルタイムで把握できるシステムを導入している。
幸和運輸・田中昭二社長:
このドライバーは、(エコドライブが)A評価
(Q.エコドライブの評価が高いということは、燃費もいい?)
幸和運輸・田中昭二社長:
当然ですね
このシステム導入以降、ドライバーのエコドライブへの意識も変わってきたという。
しかし…
幸和運輸・田中昭二社長:
今は努力の範囲を超えている、この燃料高は。燃費をリッター0.1km改善しても、追いつかない…追いつかない
会社で1カ月間に使用する軽油の量は、約150キロリットル。
2020年の11月ごろと比べると、ひと月に約450万円も余計な燃料費がかかる計算となる。
幸和運輸・田中昭二社長:
軽油引取税は地方税なので、県が対応できる。行政の取り組みをお願いできたらなと思う
同時に田中社長は、この問題は一運送会社だけの問題ではないと指摘する。
幸和運輸・田中昭二社長:
鹿児島で作っているお茶、野菜、焼酎、いろいろな物をトラックが運んでいるが、輸送するわれわれ事業者が持たないと。基幹産業の物を運ぶ担い手がいなくなるという危機意識がある
値上がりに悲鳴「マンゴー農家が減っていく」
一方、鹿児島県の特産品の一つ、マンゴーの生産者も原油価格の値上がりに戦々恐々としている。
ガソリンスタンドを経営しながら、農業用ハウスでマンゴーを栽培している大崎町の西平三郎さん。
マンゴーは、冬場でも室温を25度に保たなければならず、農業用ハウスの暖房には大量の重油が必要となる。
例年、12月から暖房を使用し、昨シーズンは燃料代が約250万円かかったそうだが、2021年は、重油の価格がすでに2割から3割上がっているという。
マンゴー生産者・西平三郎さん:
(マンゴーは)油が高いから温度を下げようとか、そういうことができなくて。下げてしまえば、果実が大きくならないんです
マンゴーを栽培する西平三郎さん:
今の状態だと、マンゴー農家が減っていくんじゃないかと心配しています
資源エネルギー庁は、今後の見通しについて「石油の需要が増えているが、供給が追いつかず、原油の価格が上がっている。来週も横ばいの状況が続くだろう」としている。
(鹿児島テレビ)