先の総選挙で衆議院に鞍替えし初当選を果たした林芳正元文科相は、第2次岸田内閣で外務大臣に就任する見込み。

岸田派(宏池会)のナンバー2で、将来の総理候補とも目され、経済や安全保障などの閣僚経験を持つ林氏はどのように手腕を発揮していくのか。BSフジLIVE「プライムニュース」は、林氏をスタジオに招きうかがった。

外務大臣内定が伝えられる林氏「しっかり勉強して臨む」

新美有加キャスター(左)松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員(中)林芳正 自民党衆議院議員 元文科相(右)
新美有加キャスター(左)松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員(中)林芳正 自民党衆議院議員 元文科相(右)
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新美有加キャスター:
林さん、第2次岸田内閣での外務大臣起用が内定と伝えられています。岸田首相からお話は?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
まだなく、報道辞令という状態。調整中と伺っています。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
外交は得意分野。担っていく意欲・自信は?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
岸田総理から言われれば、一も二もなくお受けしようと思っている。外務省にいたことがないので、自分が外交通だとは思っていない。しっかり勉強して臨む。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相、岸田文雄 内閣総理大臣(画面)
林芳正 自民党衆議院議員 元文科相、岸田文雄 内閣総理大臣(画面)

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
今までコロナ禍で難しい側面もあったが、感染数が減り、大臣が直接対面での外交を行う可能性も出てくる。積極的にさまざまな国に訪問して外務大臣外交を行う?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
外相になればの話ですが、必要に応じて。出て行けばいいというものでもないので、事務方とも相談しながらやっていければ。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
日米同盟については。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
岸田政権でも日米同盟を基軸とすることは一貫しており、当然のこと。その上で、他の近隣諸国との外交でどうバランスをとるかは課題であり続けている。今までの積み重ねの上で、世界の現状に照らしてどうするかが問われる。

9年を経て…参議院から鞍替えし衆議院初当選 

新美有加キャスター:
総選挙の結果について。林さんは参議院から衆議院に鞍替えして、衆院初当選。9年越しの悲願ともいえます。初当選は1995年参院選で、以降連続5回の当選。2012年、2017年に鞍替えを検討したが、地元・山口3区からは河村建夫元官房長官が出ており断念。振り返っていかがですか。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
長い経緯があった。感謝の気持ちからスタートして、車に乗って回るといろんな方から応援の声があった。9年間、特に直近の1年間は地道に回っていたことの成果。支えて頂いた自民党県連の皆さま、後援会の皆さまに感謝している。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
保守分裂の危険性もあった中で、鞍替えした理由は。総理総裁を目指す上で、参議院では難しいと考えた?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
山口県連としては、安倍元総理の次の総裁候補を作らなければいけない中、立てていただいた。国の舵取りが高度化・複雑化する中、閣僚経験を生かしていく責務がある。次を担える人が複数控えていることが自民党の強みだが、総裁選に出たときには、戦後参議院から総理になった人はいないことを実感した。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
河村氏の息子・建一氏は、党の判断で北関東ブロックに移動し落選。党内にしこりが残ったとの見方もあるが。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
河村(建夫)先生は長年議員として実績を積まれ、ご勇退の決断をされたことを感謝したい。その後の公認問題は、私も当事者なのでものを言う立場ではない。コメントは難しい。

憲法改正発議には参議院でも3分の2が必要。参院選から逆算の必要あり

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
現金給付の話に関心が集まっている。18歳以下に対して所得制限をつけずに一律10万円というのが公明党案だが、高市政調会長は自公で考えが別だとも発言。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
大変な調整だと思うが、自公の連立は長い。やりとりの中で折り合いをつけるところを探していくということ。11月9日の幹事長会談の中でいい知恵が出てくるのでは。

新美有加キャスター:
憲法改正の議論について、岸田首相は「与野党の枠を超え議論を深める」。維新・吉村副代表は自民の本気度に懐疑的で「『参院選で国民投票』などスケジュールを決めよ」、国民民主・玉木代表は「毎週憲法審査会を」。林さんはどうご覧に?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
前職は参院の憲法審査会の会長だったが、開くのにも苦労した。憲法審査会の手前で各党がある程度、自公の間の話も含めて水面下で調整するプロセスがなければ。いきなり憲法審査会で決めるのは難しい。また、衆参で3分の2の賛成がなければ憲法改正の発議はできない。参議院の議席数も考えて逆算しなければ。
そして、各党の意見を国民の皆さんに見て頂き、フィードバックしながらやっていく。予算や法律と違い、政府には憲法遵守義務があるため、あくまで国会主導で行う性格のもの。基本的には党がリーダーシップをとる。

「日米同盟は欠かせない」とアメリカも認識

新美有加キャスター:
外交・安全保障の課題について。COP26で岸田首相が外交デビューしました。効果は?

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
261議席という絶対安定多数を背景に行った。長い外務大臣経験もあり、非常に安定感があった。行ってよかったと思います。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
中国包囲網については。まず日米同盟がある。日米豪印のクアッドという政治的枠組みがあるが、ここでインドを安全保障の枠組みにも引き込むことについては。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
そこは今からクアッドで話して信頼を醸成する。積み重ねがなければ難しい。ただ、アメリカの相対的な力の低下を同盟で補っていくという点は、バイデン大統領の外交演説の内容にも反映されている。日米同盟がアメリカにとっても欠かせないという認識ができている。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
台湾有事について、バイデン大統領が「防衛する責任がある」と発言。サキ報道官は「政策変更の意図はない」と。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
この発言への見方はまだ固まっていないが、いずれにしても引っ込むということではない。台湾海峡の平和と安定は、日本にとってはもちろん、国際社会にとっても重要。平和的に解決されるべしというのが日本の立場だが、いかなる事態にも対応できるようにしておく。

“中国寄りすぎる”の批判に林氏「知中派も必要」

新美有加キャスター:
台湾有事のほかにも、対中国の課題が様々。まず、中国のTPP加入問題があります。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)ができたので、しっかりと決めたルールを履行してもらえるかがチェックポイント。加えてTPPは非常に高い水準のルールがある。本当に満たせるのか見極めないといけない。戦略的観点を入れ、国民の反応を感じながらやる必要がある。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
ウイグルなどでの人権侵害が国際的に懸念されています。岸田内閣では、人権問題担当の総理補佐官として中谷元元防衛相を任命する方針。外国では人権問題で過失のあった対象に制裁を課す「マグニツキー法」というものがあるが、これについては。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
総理が所信表明演説でも提起している。どう考えても深刻に懸念すべき問題。これからどういうやり方がいいのか。「マグニツキー法」は世界のスタンダードで日本だけ違う、というわけではなく、アメリカにはそれがあるが、EUでは必ずしもそういう国だけではない。きちっとやるには国際的な機関で中立的に。制裁は皆で行うほうが効果がある。そういうことも視野に入れて検討していくことになる。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
自民党内では、林さんは中国寄り過ぎるとの批判もある。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
日中友好議員連盟会長であるためそう思う人もいるが、やはり「知中派」がいなくてはいけない。「媚中」ではいけないが、まさに中国に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がある。戦うということではないが、交渉上、相手をよく知っているのは知らないよりいい。

総理大臣を目指すと公言「まずは岸田政権を全力で支える」

新美有加キャスター:
林さんは将来、総理大臣を目指すと公言している。総理への道筋は。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
最終的に総理を目指すというのは間違っていないが、舵取りをしっかりしていかないと大変だという、責任感に近い話。総理にならないとできないこともあるが、まずは岸田政権を支えることに全力で集中したい。

松山俊行 フジテレビ政治部長兼解説委員:
2000年以降の総理の系譜では、細田派(清和会)が続いてきた。岸田首相の宏池会は宮沢首相以来。

林芳正 自民党衆議院議員 元文科相:
10年ほど前に若手で勉強会をやったとき、宏池会的な中道派的なものと清和会的な保守的なもの、この2つがしっかりとしめ縄のように1本になっていることが強みだとおっしゃった宏池会の先輩がいる。岸田政権を支えていく中で、後から見るとそうなっていたというのがいい形。

BSフジLIVE「プライムニュース」11月8日放送