首里城火災からちょうど2年となった2021年10月31日、首里城では夜間の火災を想定した消火訓練が行われた。当時浮き彫りになった多くの課題を再建の中でどのように乗り越えていくのか。

この記事の画像(10枚)

貯水槽に高い城壁…消防士が感じた困難

沖縄美ら島財団と那覇市消防局の消火訓練は、正殿など6つの建造物が全焼した首里城の火災から2年になるのに合わせて実施された。

未明に世誇殿から出火し、自衛消防隊が初期消火を行い119番通報したという想定だ。火災直後、職員は各所の門を一斉に開放し消防の誘導に走った。

消火訓練の様子
消火訓練の様子

当時の火災ではさまざまな障害が浮き彫りになり、首里城の消火活動には大きな困難が伴うことを消防士たちは思い知らされた。

首里城火災で出動した 照屋雅也さん:
2年目を迎えますが、あの日のことは1日も忘れることがないというか。我々、消防人にとってもすごい1日となりましたので

当時、照屋雅也さんの隊は施錠されたままだった久慶門を破壊し正殿まで駆け付けた。ものの10分で貯水槽の水が底をつき放水銃は使い物にならず、消防士たちは1000℃に達する輻射熱に苦しめられながら燃え盛る炎に立ち向かい続けたが、首里城の焼失を食い止めることは出来なかった。

首里城火災で出動した 照屋雅也さん:
きょうまたここの場所に立って、当時のことを思い出しながら、我々にできることは何かと常に考えて行動していたところです

首里城は6メートルを超える城壁に囲まれ、正殿まで消防車が近づくことができず、消防士たちは城壁の外から何本ものホースを繋げながら、勾配のきつい坂道や階段を往復した。

消火訓練の様子
消火訓練の様子

新たな消防設備を整備し、訓練を重ねる

これまで消防活動に十分な消防水利が確保されていたとは言えず、首里城再建にあたっては消火用の水を城郭内に送る連結送水管が整備されるほか、正殿内には自動放水するスプリンクラーも設置される。

消火訓練の様子
消火訓練の様子

また、消防の進入を妨げないよう火災報知が作動すると、それに連動して各所にある門を自動的に開錠できるようにする。首里城を管理する沖縄美ら島財団は防災訓練を継続していて、消防との連携も深めてる。

消火訓練の様子
消火訓練の様子

那覇市消防局 島袋弘樹局長:
今後も首里城を守る。また首里城を中心に首里地域の安全に寄与する。それが那覇市消防局の今後大きな課題であり、向かわなければならないと思っています

首里城火災に出動した 照屋雅也さん:
いち早い首里城の再建は我々も望むことなんですが、ただ再建するだけでなく火災に強い、災害に強い、我々消防も首里城スタッフと連携を取って活動できる、強い首里城を目指して頑張っていきたいと思います

2022年の正殿の着工に向けて今後、木材倉庫や建屋などが整備され変化していく城郭内の環境。那覇市消防局は工事の進捗にあわせてその都度、防火対策を見直し、2026年の再建の日を万全の体制で迎える。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。