いよいよ6年ぶりの優勝までマジック3となったヤクルトスワローズ。優勝が決定するのは最短で23日だ。

そんな中、優勝を引き寄せる価値のある引き分け試合があった。10月20日に行われた2位阪神との首位攻防戦で、ピッチャーは高橋奎二。今月10日に妻・板野友美が第一子出産を発表した。

今季活躍を見せる高橋には、陰ながら支える板野の存在があった。

今シーズン活躍を見せる高橋

今年1月に元AKB・板野友美と結婚し、良くも悪くも注目が集まった高橋奎二。

龍谷大平安高校で2年時に甲子園を制すると、2015年にドラフト3位でヤクルトに入団。潜在能力を買われながらも思うような結果を残せず、昨季までの成績は6勝10敗と振るわなかった。

しかし伴侶と、そして誕生してくる娘を前に、今年に掛ける想いは、例年以上に強いものがあった。

周囲にも期待された2021年、キャンプからオープン戦にかけて、数々のチャンスは貰えど、空回りが続き結果が残せず、思いもよらぬ2軍スタートとなった。

9月25日中日戦でも7回無失点の好投
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それでも家庭を持った自覚からか、腐ることなくファームでも結果を残し続けた高橋は、開幕から3ヶ月後の6月13日にソフトバンク戦で、ようやく1軍マウンドにたどり着いた。そこで勝利を上げると、その後1軍ローテーション入りを果たす。

好投を重ねながらも打線の援護が実らなかった試合が多いものの、今季は12試合の登板で3勝1敗、防御率2.49という好成績を残し、まさにヤクルトの左腕エースとも言える活躍を見せている。

力みすぎて不本意な結果に…

10月1日から連勝を続けていたヤクルトは、9日の阪神戦の先発マウンドを高橋に託した。実は高橋はここで勝ち星を挙げられたら、ヒーローインタビューで第一子となる長女の出産を発表しようとしていたという。

10月9日阪神戦では不本意なピッチング…

しかし子供の誕生や、チームの連勝、そして優勝争いという重圧もあったのか、立ち上がりからコントロールの制御が効かない、かつての悪いときの高橋の姿を見せ、5回1失点と最低限試合は壊すことは無かったが、本人としては不本意なピッチングとなってしまった。

チームのためにも、そして新しく産まれてきた家族のためにも、勝利を飾りたかった高橋は、20日の甲子園での阪神戦に全てを出し切ろうという想いを抱く。

優勝争いの厳しいタイミングで改めてマウンドに上った高橋は、3回まで一人の走者も許さない今季一番のピッチングを見せ、7回を8奪三振無失点で、先発の重責を十二分に果たした。

高橋がプロに入るきっかけとなった甲子園で、価値ある引き分けを手にし、自身でも満足感と達成感を感じたというマウンドだったが、その裏には高橋を支える妻・板野という大きな存在があった。

高橋を支える愛妻・板野

プロ野球では開幕の際に験担ぎで赤飯を食べる選手が多い。アスリートの妻となった板野は高橋のため、1軍に上がるときにも、登板のたびにも赤飯を作っているという。さらに夫には内緒で“勝負の神様”に赤飯を供え、勝利を願うという献身ぶりだ。

家族への思いは強い高橋だが、家の中では野球の話をしないという。その気持ちを理解した板野は、球場での試合観戦を控え、家庭内でのサポートに徹している。

9日の試合を勝利で飾れなかったことを悔しがる高橋を見ていた板野は、20日の試合で高橋が納得の投球が出来たことを喜んだという。

そして優勝が決まり、プレッシャーがかからない試合があれば、球場に夫の姿を見に行きたいという想いがある。

妻と娘という家族を支えに、高橋はヤクルトの左腕エースとしてこれからも活躍していきそうだ。

(取材・文 吉田博章)