衆議院選挙の投票に行くと、「小選挙区」用と「比例代表」用の2枚の投票用紙を渡されますが、実はもう1枚投票用紙が渡されます。それが「最高裁判所裁判官国民審査」の投票用紙です。名前の通りで、「最高裁判所の裁判官を審査する」ことになるのですが、一体どういうものなのでしょうか。
「憲法の番人」を国民が直接チェック
最高裁判所は、日本で起きた裁判について最終的な判断を下す「司法の最高機関」です。法律や規則などが憲法に違反していないかを判断する最終決定権を持っているので「憲法の番人」とも呼ばれています。こうした判断を下す最高裁判所の裁判官は、最高裁判所長官と判事14人の合計15人います。今年6月の「夫婦別姓訴訟」など憲法に照らし合わさないといけないとても大事な裁判では15人全員で判断することになります。
その最高裁判所の裁判官が職責にふさわしいかどうか、国民が直接チェックするのが「国民審査」です。
不信任は投票用紙に「×」を書く
それでは、国民審査はどう行われるのでしょうか。
今回、国民審査の対象となるのは、最高裁判所の15人の裁判官のうち11人で、国民審査の投票用紙には、この11人の裁判官の名前が記載されています。
その中で、辞めさせたい裁判官がいれば、名前の上に「×」を書きます。辞めさせたい裁判官がいなければ何も書かず投票します。「○」とか「△」とか、他の印や文字を書くと無効票になってしまいますので注意してください。
そして、「×」が書かれた票が、何も書かれていない票より多かった場合、その裁判官は罷免、つまり職を解かれます。
(ただし、投票率が1%未満の場合は、「×」が過半数でも罷免されません)

これまで罷免された裁判官はゼロ
ただ、これまで国民審査で罷免、つまり「×」と書かれた票が、何も書かれていない票より多かった裁判官はいません。
これには、最高裁判所の裁判官が、裁判でどのような判断をしたのか、私たちが情報を得る機会が少ないため、判断する材料の不足が指摘されています。
最高裁判所のホームページには、各裁判官の情報が出ていますので、こうした情報も参考にするのも良いかもしれません。
【表紙デザイン+図解イラスト:さいとうひさし】