秋なのに、目がかゆくなったりくしゃみが出たり、鼻水が出る。こんな悩みがある人もいるのではないだろうか?

それは、夏の終わりから本格化するという、“秋の花粉症”の症状かもしれない。“秋の花粉症”として、エステー株式会社がWithコロナ時代の「ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド」を作成し公開しているのだ。

ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド(提供:エステー)
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このガイドの監修は、花粉原因物質研究の専門家である、埼玉大学大学院理工学研究科・工学博士の王青躍教授だ。

王教授によると、秋花粉症は、スギ・ヒノキなどの春の花粉が飛び終わった後、初夏にピークを迎えるイネ科の花粉(=樹木の花粉)、8月上旬から飛散が始まるブタクサ、ヨモギなど草本類の花粉(=雑草の花粉)が主な原因。日本での注目度は低いが、大規模な草原が広がるヨーロッパや北米では社会問題化しているという。

“スギ”と“ブタクサ”の花粉に「共通抗原性」

また、王教授は、“春のスギ花粉”と“秋のブタクサ”には「共通抗原性」があるという指摘をしている。

2016年度に東京都が実施した調査では、都内のスギ花粉症の推定有病率は48.8%。 2人に1人が花粉症という計算なのだが、やっかいなことに、“樹木の花粉”と“雑草の花粉”には「共通抗原性」がある。

アレルギーの原因物質となるタンパク質の構造がよく似ているので、樹木の花粉症を持っている人は、雑草の花粉にも反応してしまうのだ。

例えば、スギ花粉とブタクサ花粉では、75%以上の人が「共通抗原性」を持っていると指摘されている。理論上、スギ花粉症の人の4人に3人は、雑草の花粉にも何らかのアレルギー反応を示す可能性があるのだという。

毎年、秋に不調を感じる人は、雑草の花粉症を発症していることも考えられるため、秋花粉も対策をしっかりとすることが大切だと注意を呼び掛けている。

スギ花粉症のうち4人に3人がブタクサ花粉症の可能性(出典:ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド)

秋花粉が注目されない理由「春花粉との特徴の違い」

秋花粉は、飛散状況が毎日報じられたりせず、話題になることはほとんどない。あまり注目されていないのは、このガイドによると、以下のような春花粉との違いがあるからだという。

「雑草の花粉は、背の高いスギやヒノキのように数百キロも遠くまで飛ばない」

飛散距離は、通常数キロから長くても数十キロの範囲で、同じ市内でも場所により飛散量はかなり異なる。例えば、雑草の多い河川敷や公園の近くには、たくさんの花粉が舞うが、2~3キロ離れた商業地域では花粉が少ないという状況が普通。

「人間の活動が大きく影響する」

人間の活動が大きく影響するのが、秋花粉の特徴。例えば、草刈りをすると、振り落とされた大量の花粉が舞い上がる。 日本の草地はヨーロッパほど広くないので、1週間程度で花粉の飛散は収まる。春のようにつらい症状に何か月も苦しむことが少ないので、なかなか花粉症が疑われない。 

「短い波が何度もやってくる」

短い波が何度もやってくるのが、秋花粉の特徴。症状は短くても、毎年、不調を感じる人は少なくない。 雑草の花粉はデータを取ることが大変難しいので、国はスギ花粉や黄砂、PM2.5のようなモニタリングを行っていない。研究もあまり進んでおらず、注意喚起や治療につながっていないのが実情だ。

秋花粉は不規則で予測が難しい(出典:ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド)

今年、秋花粉に注目すべき7つの理由

そこで「ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド」には、“今年、秋花粉に注目すべき7つの理由”も示されている。

7つの理由は、大きく2つに分けられていて、ひとつが「隠れ秋花粉症のリスクが年々高まっている長期トレンド」で、もうひとつが「新型コロナの流行によるニューノーマルな生活環境」だ。

【隠れ秋花粉症のリスクが年々高まっている長期トレンド】

(1)増え続けるスギ花粉症患者 高確率で秋花粉にも反応
(2)地球温暖化によって、雑草が元気に
(3)建物の高層化で都市の緑地が増えている 
(4)水害などで種が運ばれ、雑草の生息地が拡大

【新型コロナの流行によるニューノーマルな生活環境】

(5)散歩が増えると吸い込む花粉も増える
(6)花粉症を意識せず目をかくなど感染リスク
(7)秋花粉の体調不良が一部コロナの症状と重なる

 

今年、秋花粉に注目すべき7つの理由(出典:ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド)

秋花粉はホットスポットを避ける工夫が可能

また、このガイドで「ナビタスクリニック」理事長の久住英二医師は、秋の花粉症の症状は、鼻水や目のかゆみ、咳やくしゃみなど、春の花粉症と同様と説明。

ただ、スギやヒノキと比べて、イネ科やブタクサの花粉は、少しマイルドに症状が出る傾向があるという。

さらに、「今年は新型コロナウイルスが流行しており、いつもとは違った注意が必要」としている。ほんの少しだるかったり、せきが出るだけでも、新型コロナウイルスに感染している可能性があるのだ。

今年に関しては、「秋花粉かな?」と思うような軽い症状でも、会社への出勤や家族での外出は控え、必要に応じて検査を受けるのが賢明。例年なら、さほど気にしない人でも、振り返って花粉症の症状があるようなら、事前に万全の対策をとっておくことをおすすめする。

秋花粉?と思ったら…(出典:ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド)

「ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド」には、秋花粉対策も示されている。

それによると、広範囲に飛散する春の花粉と比べ、ホットスポットを避ける工夫ができるのが秋花粉。雑草の多い場所に近づかないようにできれば、吸い込む機会が減る。

それ以外の対策は、基本的には春と同様で、マスクを基本に、花粉防止メガネやスプレーなど、一般的な対策グッズが役に立つ。
症状が思い当たる人は、医師の診断を受け、早めに薬を処方してもらうのが大事。


たしかに、秋に花粉症を疑うことは少ないかもしれない。

このように対策をしっかりとすることが大切だというが、今年の秋花粉の飛散量は例年に比べて多いのか? また、秋の花粉症の症状は新型コロナウイルスの症状と似ているようなのだが、見分け方はあるのか?

エステーの担当者に聞いた。

今年の秋花粉の飛散量は例年の“10倍”

――秋の花粉症対策ガイドを作成した理由は?

ブタクサなどの秋の花粉は、スギ・ヒノキといった春の花粉と比べてあまり知られておらず、秋の花粉症と気付かずに、不調を感じながら過ごしている方も多いのではと思っています。

秋花粉についての情報をお届けすることで、秋花粉への気付きや正しい対策につながればと考え、ガイドブックを作成しました。


――今年の秋花粉の飛散量は例年に比べて多い?

埼玉大学の王青躍研究室の調査(さいたま市)では、例年、秋花粉のピーク時の飛散量は「約20~30個/cm2」に対し、今年では、秋花粉のピーク時(9月初旬から下旬)の飛散量は「200~300個/cm2」となります。

よって、例年の10倍とも言えます。

夏に高温や高湿度で、草本類花粉の生息に適した気象条件、今年の台風が少なかったことに加え、草刈りなどの人為的活動も影響されています。

秋花粉飛散マップ(出典:ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド)

――秋の花粉症を発症する人は増えている?

「ナビタスクリニック」理事長の久住英二医師によりますと、秋に限らず、花粉症を発症する人は増えています。


――秋に限らず、花粉症を発症する人が増えているのは、秋花粉の飛散量が例年より増えているから?

花粉症を発症する方が増えている理由について、明確には申し上げかねるのですが、花粉の飛散量が増加していることで、花粉症を発症するリスクにさらされる機会(花粉との接触の機会)が増えていると考えます。

その理由としては、埼玉大学の王青躍教授が以下の3つを挙げています。

・秋花粉については地球温暖化の影響で、ブタクサやヨモギが生命力を強めている
・建物の高層化により都市の緑地が増えている
・コロナ禍では河川敷などに行く機会が増えることで、吸い込む花粉が増えている


ただ、「花粉の増加=花粉症の発症増加」という明確な結び付けはしておりませんので、あくまでも、「花粉症の発症者は増加している。その背景には花粉の増加もある」ということです。


――秋花粉の体調不良は一部、新型コロナウイルスの症状と重なる。どのように見分ければよい?

久住医師によりますと、くしゃみ、せき、鼻水などは共通で、目のかゆみは花粉症のみの症状だが、両方、発症している場合もあるということです。「秋花粉かな?」と思うような軽い症状でも、会社への出勤や家族での外出は控え、必要に応じて検査を受けるのが賢明です。


――この対策ガイドをどのように活用してほしい?

今年はコロナ禍において、さまざまなリスクを伴いますので、秋花粉症かも…という方は、どのようなことに注意すればよいかなど、参考にしていただければと思います。また、秋花粉の特徴を踏まえた対策方法についても紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。


秋花粉に関する情報が幅広く紹介されている、エステーの「ニューノーマル“秋花粉”対策ガイド」。今年は例年の10倍の飛散量ということなので、目がかゆくなったり、くしゃみが出たり、鼻水が出たり、という症状に心当たりがある人は、チェックしてみてはいかがだろうか。