混雑緩和で顧客満足度アップ

レジャー施設の入場チケットを買うための行列、さらには園内での行列をDX(デジタルトランスフォーメーション)が解決する。

電子チケット予約サイトを運営する「アソビュー」と、人材戦略の「デジタルシフト」、そしてレジャー施設運営の 「日本テーマパーク開発」の3社が10月14日、業務提携を発表した。

その目的は、"レジャー施設のDX"だ。

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「アソビュー」山野智久代表取締役CEO:
デジタルの活用の1丁目1番地はデータのストックにあると。次の経営戦略、次の集客戦略に生かすことができます

アソビューの電子チケットを導入する施設の一つが「空飛ぶペンギン」の展示が人気のサンシャイン水族館。緊急事態宣言解除後は1日の入場者の上限を5000人に設定している。

2020年6月からは感染対策の一環で、日時指定チケットを導入した。

日時指定チケットの利用者:
平日を狙って来ています。簡単でした。特に問題なく買えました

日時指定チケットの導入で、密の状況を作らず館内に案内することができ、窓口の混雑緩和などで顧客満足度が1割アップしたという。

購入履歴から戦略的な集客も

また水族館側にもメリットが…

サンシャイン水族館運営担当・廣澤学さん:
今までは窓口でチケットを販売していたので、来るお客様の数がわからない中、スタッフの数も多めに配置しておかなくてはいけない状況だったが、WEBチケットにすることによって販売にかかる人件費のコストも少なくできました

入場者を管理できるだけでなく、スタッフの効率的な配置ができるようになったという。

さらに電子チケットの大きなメリットは、購入履歴から利用者の年齢や性別、居住地域やリピート率をデータとして収集できること。

例えば利用者の多い地域に集中して広告を出すなどして、戦略的な集客を行うことが可能になる。

こうした電子チケットを導入した施設の数は去年と比べて5倍以上に増えているという。

電子チケットサイトを運営するアソビューの山野CEOは・・・

「アソビュー」山野智久代表取締役CEO:
経営が効率化するというのはお客さまに直接的にメリットがあると思っています。例えば並ばずに入れる事に関しても、そこにかけていた人材コストを、満足度を上げる方に活用できたりします。投資の配分を変えることで消費者にも利益、便益性が提供できると思っています

今後はさらなるDX支援を進め、コロナ禍で苦境に立たされるレジャー産業のV字回復を目指す。

成功のカギは「ツール+オペレーション」

Live News αでは、全員がリモートワークをするなど新しい働き方を提唱する株式会社キャスター取締役の石倉秀明さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
休日のレジャー施設は行列を覚悟しなければならない、そんな風に思っている方もいるかと思いますが、こうした試みで解決してくれるかもしれませんね?

(株)キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
私も子供が水族館好きなので年に10回近く行きますが、その水族館も電子チケットを導入しています。子供が小さいとなかなかおとなしく待つことができないので、電子チケットを事前に買って並ばずに入れるのは、いつも嬉しく思っています。また、感染リスクなどを考えると、レジャーには行きたいけど混雑は怖いとためらってしまう人もいると思いますが、混雑状況がわかるとそういった方にも安心して来てもらえる部分があるんじゃないかと思います

三田友梨佳キャスター:
施設側のメリットについてはいかがですか?

(株)キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
VTRにもありましたけれど、スタッフの配置やシフトの適正化はメリットとしてあります。また来客数が可視化されることで、時間単位で価格を変えるなどのダイナミックプライシングも出来るようになります。さらにお客さまに合わせて割引の提案だったり、例えば水族館ならエサやりやふれあい体験などプレミア感のあるインセンティブを付けたり、細やかなサービスが提供できるようになるのは大きいです

三田友梨佳キャスター:
マーケティングへの取り組みも変わっていきそうですね?

(株)キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
これまではざっくりとしたターゲット像や過去の経験から来園者を想定するしかなかったと思うんですね。それがオンラインで来園データが取得できれば、本当に一人一人のニーズが解像度高く見えるようになりますから、マーケティング手法も大きく変化してくると思います

三田友梨佳キャスター:
今回はレジャー産業におけるDXでしたが、こうした取り組みをうまく着地させるためのカギはどんな点になりますか?

(株)キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
ツールやシステムを導入して満足しないことだと思うんですね。DXをやる上で重要なのは、ツールを起点として取得したデータをフル活用できるチームの構築だったり、それを実現できる人材の配置、日々の運用までセットでやりきれるかという「ツール+オペレーション」が大きなカギになると思います。データを取得して終わらせず、それをどう活用するかのノウハウとか、顧客に合わせて細かく改善を積み重ねるためのチームというのがやはり欠かせないんですよね。デジタル活用に適した人材配置だったり、スタッフの仕事内容を変えたり、スキルアップの支援も必要なポイントになってくると思います

三田友梨佳キャスター:
テクノロジーの進化とともに私たちの行動や社会の常識も変化していますが、レジャーにおいてもデジタル化を進めてそれをまた自在に活用していくことが重要なようです

(「Live News α」10月14日放送分より)