2021年の9月は台風14号が大分県内に接近し、佐伯市では降り始めからの雨量が201mmと平年の9月 1カ月分の雨量の半分以上を観測した。

こうした大量の雨による被害を防ぐ役割を担っているのが「ダム」。
今回はその「ダム」について、新たな取り組みなどをお伝えする。

洪水防ぐ「ダム」にも貯水の限界が…

大分県内には、国や県などが管理する治水ダムがあわせて14ある。
そのうちの1つ、2019年に稼働を始めた大分市の「ななせダム」。

ななせダム(大分市)
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七瀬川の上流部に造られ、最大の貯水量は2400万立方メートル。水道用水や農業用水を供給するほか、洪水を防ぐ役割を果たしている。
しかし、ななせダムは48時間の雨量が530mmを超えると、貯水の限界を超えてしまう想定だ。

もし、それ以上の雨が降れば…

大分河川国道事務所 ダム管理課・染矢晃課長:
ダムの上流に降った雨が、ダムでためきれず下流に流れていきます。そうすると、下流の河川の水位が急激に上昇して、河川の氾濫の危険性が高まります

ななせダムの貯水量を超えて氾濫が発生した場合、下流域の最大約5万8000世帯に浸水被害が出ると試算されている。

“田んぼ”を使った「流域治水」に注目

多発する豪雨に対応しようと広がりを見せているのが、「流域治水」という考え方。

ダムや川の護岸整備だけでなく、流域にある土地などを活用し、地域全体で水を受け止めて河川の氾濫を防ぐというものだ。

その1つが「田んぼダム」。
使用するのは仕切り板で、下の部分は中央にわずかな隙間を作っている。

田んぼダムに使うのは、仕切り板1枚

この板を使うのは田んぼの排水口で、水が水路へと流れていく場所。
その排水口に仕切り板を設置すると、排水口に流れ込む水の多くをせき止めることができる。

つまり、田んぼにダムのように水をためて、水路に流れ込む水の量を減らすことができるという仕組みだ。
板を設置する前と後の水の量を比べると、勢いが弱まっているのが分かる。

田んぼダムの効果は一目瞭然

実証実験で「貯留」「洪水抑制」に効果あり

この田んぼダムについて、由布市内で実証実験が行われている。
8月の長雨の際に仕切り板を設置したところ、河川に流れ込む水の量を半分程度に減らすことができたという。

県農村基盤整備課・安東正浩課長:
実証実験の結果、田んぼダムの持つ貯留効果、そして洪水の抑制効果が確認できた。本当に期待通りの効果が見られたと思っております。この田んぼダムの取り組みを進めることによって、今後、河川の氾濫や冠水被害の軽減を少しでもできれば

田んぼダムが増えていくと、流域全体での治水能力も高まっていくということ。
板を設置するだけで田んぼダムになるので、迅速に導入でき、しかも費用もあまりかからないのが大きなメリットだ。

迅速に導入でき、費用もあまりかからない

大分県は2022年度から、この田んぼダムを県内の広い範囲に導入していきたいとしている。

【編集後記】

テレビ大分・田辺智彦アナウンサー

今回の防災企画の取材では、大分市にある「ななせダム」を取材させていただきました。
今回ななせダムを取材する際に見つけたものをいくつかご紹介します。

ななせダムが見渡せる展望所にいったところ…見慣れない顔出しパネルが。

その①「ダム式 万歳」顔出しパネル
耳慣れない「ダム式万歳」とは……↓↓

1:足は肩幅まで広げて安定感を確保する
2:腰を落とし足を90度に曲げ「自分自身がダム」だと思い込む
3:ダムが下から上に作られるように、できるだけ低い位置に手を構える
4:体全体で下からもたげるように三唱!「ブァン、ズァーイ!ブァン、ズァーイ!ブァン、ズァーイ!」

……おもわず写真を撮りました。
ななせダムの方に聞いたところ、ダム関係者の飲み会の締めに必ず行う儀式なんだそうです(笑)。「飲み会の際には田辺さんもぜひ!」と言われました(笑)

その②「ロックくん」
ななせダムのマスコットキャラクターだそうです。
森の守り神であるフクロウをキャラクターにしています。

ななせダムのマスコットキャラクター「ロックくん」

その③「ダムカード」
ななせダムの写真と貯水容量などの基本データが書かれたカード。私は知らなかったんですが、実はこのダムカード、各ダムによってそれぞれ違うそうで、日本全国の各ダムに行けばもらえるそうです。熱心なコレクターもいるとか。

「ダムカード」熱心なコレクターもいるとか

さあみなさんも、ダムに興味がわいてきたのでは…?(笑)

(田辺智彦 テレビ大分・アナウンサー)