高知県内では8月に新型コロナウイルスの第5波のピークを迎え、自宅療養者も一時は500人を超えた。その最中、家族3人全員が次々と感染し、自宅療養を経験した女性に話を聞いた。
娘が発症、夫も陽性…38度超の高熱で自身も「コロナでは」

自宅療養を経験した女性:
筋肉も落ちてるなと思うし、気持ちもやっぱり…。頑張って復帰したいなと思って(動いていた)
自宅療養の体験を語る女性は、高知県内の医療機関に勤務している。女性は3人家族で、同居する娘と夫が先に陽性になり、その後、家庭内で感染したとみられている。
最初に発症したのは、成人している娘だった。

8月中旬、陽性になり3日間、自宅待機したあと軽症だったため宿泊施設に入所した。娘が自宅待機の間、女性は対面では話さず自宅内でもLINEや電話で連絡を取っていた。
【LINEのやり取り】母から自宅待機中の娘へ:
呼吸が苦しいなどないですか?お腹すいたら雑炊、温めます。お茶、ゼリーなども取るよ。呼吸がしんどい時は、遠慮なく(保健所の)スタッフに連絡してくださいね。
3人それぞれが部屋を分けるなどして感染対策をとっていたが、娘の自宅待機中に夫の陽性が判明し、医療機関に入院した。女性は、1回目の検査は陰性。しかし、娘が発症してから約1週間後、女性にも症状があらわれ感染が確認された。
自宅療養を経験した女性:
発症したのは24日。午後3時くらいに熱があるなと思って保健所に電話したら、PCR検査しに来てくださいと言われて

普段から風邪もひかないほど健康だった女性。5年ぶりに出た38度を超える高熱で、すぐに「コロナではないか」と予想がついたという。
自宅療養を経験した女性:
これ絶対間違いないと、陽性だと思って。翌日、結果出てもやっぱりなという感じで、特にすごく落ち込むとかそういうことはなかったです
軽症患者の受け入れ方針転換 自宅療養を”最初の道”に
この時期は、高知県内での感染第5波がピークを迎えていた。8月中旬から1日の感染者が急増し、女性の感染が確認された25日と翌26日には100人を超えた。

病床のひっ迫に備え、高知県は軽症患者の受け入れ方針を転換。8月20日の会見で濱田知事は次のように述べた。
高知県・浜田知事:
自宅での対応をなんとかお願いできる方には、自宅療養の道を最初の時点でとらせていただく

自宅療養となった女性には、保健所から毎日夕方に電話で症状の聞き取りが行われた。血中の酸素量を測るパルスオキシメーターは数が間に合わず、配布されなかった。

自宅でもし症状が急変したら…。という不安もあったが、緊急の連絡先はきちんと伝えられた。
自宅療養を経験した女性:
呼吸困難になったらどうしますかって聞いたら、いつまでやったらここに電話してください、何時以降やったら、ここにしてくださいってことを言ってくれたので。呼吸困難は一切なかったんですけども、一応安心しました
唾液や鼻水はこまめに出し、うがいを徹底
発症当日と翌日は、最高38度2分の高熱が続いた。3日目になると、熱は少し下がったものの鼻水などの症状があらわれた。

自宅療養を経験した女性:
(鼻水は)痰とか唾液とかと違って、本当サラサラのもので。よく花粉症の人がティッシュ詰めたりしますが、そんな感じで鼻からも出るし、咽頭から口の方にも結構湧き上がるようにたくさん出てきた
女性は唾液や鼻水などを飲み込まず、こまめに出すことと、出すたびにうがいをすることを徹底。

発症5日目には熱も症状もおさまった。自宅で1人だった間は、朝と夕方にドアノブやキッチン周りなどの触ったところを消毒していた。
女性の自宅療養中に、娘は宿泊施設を退所し夫も退院してきた。再び3人での生活が始まり、消毒や買い出しなどを任せることができたため、女性は2階の自分の部屋に離れて過ごした。
自宅療養を経験した女性:
娘は(宿泊療養を)解除されて戻ってきて、抵抗力もあるということだったので、私は最小限ちらっとキッチンやトイレに行きますけど、あとは2階(の自室)で過ごしていたので
症状が収まったあと、特に気をつけていたのが体力の維持。力が落ちないように、年末にやるような大掃除や庭の草むしりを行なっていたという。
発症後10日めどに療養解除…発症がきっかけで酒断ちも
自宅療養を経験した女性:
筋肉も落ちてるなと思うし、気持ちもやっぱり…。普段は仕事がしんどくても患者さんに喜ばれたり楽しい話をしたりしてるけれど、そういうのが全くないので。頑張って復帰したいなと思って(動いていた)
自宅療養者は、発症後10日をめどに療養解除となる。女性は9月3日に解除となり、週明けの月曜日から仕事に復帰した。
娘の発症から始まり、丸々3週間自宅で過ごしたことになる。

自宅療養を経験した女性:
やっぱりすごく嬉しかったです。スーパーも行けるし…。なんてこともないんですけど、スーパー行けるのうれしかったですね
自宅療養を経て、改めて思うことは?
自宅療養を経験した女性:
本当に、普通に健康がすっごく大事だなと思ったのと、普通にお仕事ができるのが本当に大事だなと思って。大事だし、貴重だし、何も代えられないなと思いました

発症がきっかけで、女性は毎日飲んでいたほど大好きなお酒を全く飲まなくなった。
熱が出る前の日に飲んだ酒がまずかったことが記憶に残っていて、今では酒そのものが嫌いになってしまったという。
(高知さんさんテレビ)