福島県の土砂災害危険箇所は8689カ所

福島県内の土砂災害危険箇所は8689カ所。また、土砂災害は県内で毎年発生している。

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過去5年間の土砂災害発生件数は、2016年は8件、2017年は21件、2018年は10件、2019年は163件、そして2020年は15件となっている。

2019年は東日本台風などで150件超え

特に2019年は、東日本台風などの影響もあり150件を超える被害が確認されていて、私たちにとって「身近な災害」といえる。

最近は特に発生が多いように感じるが、防災の専門家はどのように受け止めているのか?

東京大学大学院客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
土砂災害というのは、土の中の水分量が増えると発生します。そういう意味では、温暖化や異常気象のもとにあって、雨の量が増えれば土砂災害も増えるということですね。洪水は川の水があふれるから、何が起こっているかが分かります。ところが土砂災害は、土の中の水の量だから分からないんですね。ここが土砂災害から身を守る難しさだと思っています

東京大学大学院客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん

8年前に土石流被害…熱海の被害「他人事と思えない」

山形県との県境に位置する福島県喜多方市熱塩加納町。

熱塩温泉にある「帰郷のお宿 ふじや」。梅雨前線の影響などによる2013年7月の豪雨で、旅館のすぐ裏で土石流が発生した。

肩より高い位置まで水が押し寄せてきた

帰郷のお宿ふじや・安田美津枝女将:
この線までがもう川となって流れて…

2013年7月 福島・喜多方市 熱塩温泉

旅館の1階部分が飲み込まれたが、幸いにも当時旅館にいた従業員や宿泊客約50人は全員無事だった。

床も泥だらけの状態に

その記憶が鮮明に残っている女将の安田さんにとって、2021年7月の静岡県熱海市で起きた土石流は、他人ごとのようには思えなかった。

帰郷のお宿ふじや・安田美津枝女将:
やっぱりもう、切ないですよね、ああいうのは。埋もれた人たちはどんな思いだったんだろう…たとえ一瞬でも辛いですよね

街を土石流から守る”巨大な壁”の整備進む

その土石流の被害を軽減させるのが「砂防ダム」だ。

旅館が位置する湯上沢周辺は、2009年に災害発生のリスクが高い「土砂災害警戒区域」に指定されていて、砂防ダムの建設が進められてきた。

2020年にようやく完成した砂防ダムは、高さ15メートル・幅59メートル・厚さ最大11メートルに及ぶ「巨大な壁」が備えられている。

土石流被害を軽減させる砂防ダム

喜多方建設事務所 河川砂防課・加藤淳課長:
砂防ダムを整備することによって、上流の山側で発生した土石流を砂防ダムで抑えて、下流にその土砂がいかないよう食い止める、という構造になっております

この砂防ダムの完成により、2013年の豪雨で被災した旅館を含む33世帯などで被害の軽減が期待されている。さらに…

喜多方建設事務所 河川砂防課・加藤淳課長:
現在、工事中ですけども、こちらからあと約10メートル弱、ダムの高さが上がります

熱塩温泉の周辺には、2基の砂防ダムが追加で整備される計画。

喜多方建設事務所 河川砂防課・加藤淳課長:
県内には、熱海と同じように土石流が発生する箇所が多くございます。県としては、被害が大きくなるような場所から順次整備を進めてまいります

しかし、砂防ダムの整備には多くの時間が必要で、湯上沢では完成まで10年の月日を要した。ふじやの女将・安田さんは一安心としながらも、住民同士の備えも重要だと考えている。

帰郷のお宿ふじや・安田美津枝女将:
やっぱり、思った瞬間にはもう来てるから、逃げる時間ってないんです。「あ、おかしいな」って思った時には、もう目の前に鉄砲水が来てるから、そうなったら逃げられないんじゃないかな。その場になって戸惑っちゃうから、ある程度のマニュアルみたいなのは必要かもしれない

災害は人の都合に関係なくやって来る

土石流を防ぐ砂防ダムの整備には、なぜ長い時間が必要になるのか?

東京大学大学院客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
第一に砂防ダムの規模をどの程度にするか、ということがあります。上流から流れてくる土砂をどれぐらい受け止められるようなダムにするかを計画する。また、それに伴って用地購入や下流に住んでいる人たちに対する説明などがありますから、やはり数年かかります。
これは土事業全てに関して言えると思います。ですが、水害というのはその5年や6年の間に来ます。私たちの都合に関係なく。ですから、周りで何が行われているか、その施設の効果がどういうことなのかを理解した上で、どう逃げるか考えていただく。これが必要だと思います

どう逃げるかを考えるために、土砂災害の種類を知っておいてほしい。土砂災害には、これまで紹介した「土石流」のほかに「がけ崩れ」と「地すべり」の3つのタイプがある。

(1)大量の土砂が一気に下流に流れ込む「土石流」

(2) 斜面の地面に近い部分が突然崩れ落ちる「がけ崩れ」。崩れ落ちるスピードが早いため、人家の近くで起き、逃げ遅れて命を落とすケースが福島県内でもあった

(3)斜面の一部、もしくは全部がゆっくりと下方向に移動する「地すべり」。影響が広範囲に及ぶため、被害が長期化・大規模化する傾向がある

土砂災害は、大雨だけでなく地震などで引き起こされることもあり、日ごろからの備えが大切になってくる。

東京大学大学院客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
防災というのは、日頃の備え。「備えの積み重ね」と言いますから。備えは重要だと思っています

(福島テレビ)