ファッション分野での持続可能な取り組みとして 今、裁断くずで出来た環境に優しいハンガーが注目されている。
手がけたのは、東京から岡山に移住した男性だ。
裁断くずをハンガーに…移住した男性手がける
天然素材の洋服が人気で、国の内外に16の店舗を展開するファッションブランド「ネストローブ」。

高田亜矢子記者:
こちらの店で使われているハンガー、プラスチックや針金ではありません。何でできていますか?
nest Robe・永田佳那さん:
洋服づくりの過程で出る、裁断くずで出来ています
裁断くずとは、生地を切る際にでる端材。このハンガーは、これまで廃棄していた裁断くずを使って作られている。

このハンガーを手がけたのが、岡山・玉野市に住む岩尾慎一さん(49)だ。
「30%の生地は廃棄」アップサイクル目指して専門ブランド立ち上げ
兵庫県出身の岩尾さんは、東京でアパレル関係の会社に勤務していた頃、洋服の大量生産・大量消費を目の当たりにした。
岩尾慎一さん:
洋服に使われている生地は70%。30%は捨てられている。そういうのってどうなのと、作っているときから思っていて、現場に来ればヒントとなるものがあるのではと思い来た

岩尾さんが目指したのは、廃棄物や不用品に新しい価値を与え、魅力的に作り変えるアップサイクル。
岩尾さんは、繊維産業が盛んという理由で8年前に岡山に移住、玉野市でアップサイクル専門のブランドを立ち上げた。

岩尾慎一さん:
エプロンだとかっていうのも、こういう半端に余った(生地)を使ってデザインとしても着やすいものを作った

“裏方”だったフェルトを“表舞台”に…さらなる活用法も
生産現場を訪ねる中で、岩尾さんは裁断くずがフェルトに加工されていることを知った。

岩尾慎一さん:
残布がどうなるのかすごく興味があって、そこに何かヒントがあると思っていたので
これまでは、自動車や家電の消音剤として裏方の役割で使われていたフェルトだが、もっと表に出せないかと考えた岩尾さん。
活用法を模索していた時に声がかかったのが、フェルトを使ったハンガーの製作だった。

岩尾慎一さん:
この分厚いものをさらに熱を加えて、高圧でプレスして冷却すると、ボード状にそれを金型で抜く

岩尾さんは、インテリアなど活用法はさらに広がると可能性を感じている。
岩尾慎一さん:
今もまだ途中と思っていて、もっといろんな用途で使えるんじゃないか。建材として使ったり、内装とかインテリアとかに使っていけたら、グッと広がるのでは

裁断くずから広がるアップサイクルの可能性、持続可能な社会への取り組みが進んでいる。
(岡山放送)