「日本も原子力潜水艦の保有を検討するべきか。総理になったら検討するという方は挙手を」。番組キャスターの問いに、河野太郎規制改革相(58)と高市早苗前総務相(60)の2人は、迷うことなく手を上げた。
自民党総裁選投開票日を3日後に控えた9月26日、河野氏、高市氏、岸田文雄前政調会長(64)、野田聖子元総務相(61)の4候補が、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分~8時55分)にそろって生出演した。
番組では、中国の海洋進出に対抗するため、米英豪3カ国がインド太平洋地域での新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設し、豪が米英の協力で原子力潜水艦を導入する方針であることが紹介された。
これを受け、河野、高市両氏が日本も原潜を持つことに前向きな姿勢を示した。一方、岸田、野田両氏は保有に慎重な姿勢を示した。
以下、番組での主なやりとり。
梅津弥栄子(フジテレビアナウンサー・キャスター):
皆さんに聞く。日本も原子力潜水艦の保有を検討すべきかどうか。総理になったら検討するという方は挙手を。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員・キャスター):
河野さん、真っ先に上げたが、どういう考えか。
河野規制改革相:
能力的には、日本が原子力潜水艦を持つというのは非常に大事だ。ただ、母港として受け入れてくれる地域があるかどうか。運用に関する能力、あるいはコスト、こういったものが現実的かどうかは検討していかなければいけない。能力的には考慮する要素だと思っている。
橋下徹(元大阪市長・弁護士・番組レギュラーコメンテーター):
河野さん、僕も原子力潜水艦を核兵器とは別にきちんと配備すべきだと思う。しかし、そうであれば原子力の技術はむしろしっかり持って、発展させていくという意味も込めて、大型商業原発は別としても、小型原発は推進していかないと、技術も持っていないのに原潜なんて運用できるのか。
河野規制改革相:
技術は必要だ。運用について、能力が身につくのかどうかは、しっかり検討しなければならない。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員・キャスター):
高市さんも原子力潜水艦検討すべきだということだが。
高市早苗前総務相:
オーストラリアが持ったのは、原子力潜水艦は非常に高速度で遠くまで長期間行けるということ。南半球から西太平洋、東シナ海辺りまで視野に入れて安全保障環境をつくっていこう、こういうことなのだろう。日本の通常型潜水艦もなかなか優れもので、近海で使う分にはじゅうぶんだ。原潜に比べて音も小さい。日本は非常に高度な潜水艦を持っている。ただ、今後の国際環境、最悪のリスクとかさまざまなことを考えると、共同で少し長距離に対応できるものはあってもいいのではないか。ただし、原子力基本法との整理は必要だ。原子力の平和利用ということをどう整理するか。原潜保有は憲法違反にはならないと考えている。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員・キャスター):
岸田さんは慎重姿勢ということか。
岸田文雄前政調会長:
はい。原子力の技術は大事だ。ただ、原子力潜水艦について、日本の安全保障体制を考えた場合、どこまで必要なのか。AUKUS(オーカス)でのオーストラリアの原潜導入は、活動範囲が大変広いのが1つ大きな理由になっている。日本はどこまで必要なのか。通常型潜水艦は、静寂性等では原子力潜水艦と比べて優位性があるとの指摘もある。わが国の潜水艦体制の最大の弱点は人員の確保だ。秘匿性が求められる、長期間勤務につかなければならない、こういったことで人が集まらない。潜水艦体制の弱点である処遇改善、人員確保を優先的に考えるべきだ。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員・キャスター):
野田さんも慎重な姿勢。
野田聖子元総務相:
(原潜を)保有するつもりはない。非核三原則を堅持する国だと明確にしたい。現実的には、すぐに買って使えるような話ではない。国民の合意をしっかりと作っていかなければいけない中で、どのくらい(費用が)かかるかもわからない。そういう(原潜保有を)議論するのは無駄なことだ。